これまで大丈夫だった花粉症の症状がで始めて体調が芳しくない家人がいるので、これまでのように好き勝手に外出できなくなった今日この頃です。
なので整理(断捨離)するつもりで旧い写真帖など繰ってみるのですが、古いものには古いものなりに趣があってなかなか踏み切れずにいます。
きょうはわが家に残る写真帖から一枚、昔の広島市街地の眺めを現在の姿と比較してみたいと思います。
三滝の丘の上から望む広島市街地。(昭和38年(1963)10月撮影)
60年前の広島です。手前には国鉄可部線の鉄橋が見えていて、そのむこうに山陽線の築堤がはっきり見えます。
右端には黄金山、その左手には多少ビルらしき建物が白く写っており、紙屋町や八丁堀の街並みと思われますが、特筆すべきは中央に黒く写っている広島城の天守閣でしょうか。どの建物より高く、大きく見えているのに驚いてしまいます。
太平洋戦争の敗戦から18年、当時の広島の人口は50万人ほどで市内全域に家だらけで活況を呈しておりましたが、まだひとびとに背の高いビルを建てる余裕、財力はなかったのです。
この大きさでしか表現できないのはとても残念ですが、上の写真の撮影地からひとつ南側の谷を上がったところにある公園からの眺めです。
60年の時の経過ともに広島がビルだらけになってしまったことがわかります。その間には失われてしまった大切なものが数多くありますが、そのうちの一つがビルの中に埋れてしまった広島城の天守閣でしょうか。
標高222mの黄金山でさえ、何となく小さくなってしまったように見えるのは、目の錯覚でしょうか。