Julia Bacha: Pay attention to nonviolence 非暴力に意識を向けましょう!掲載元:
www.ted.com私の仕事は映画を作成することです。これまでの30年間、
イスラエルとパレスチナの間で戦争を終わらせるために平和的な非暴力の方法で運動をしている人たちの活動を収録してきました。
私がヨーロッパから米国まで自分の収録した映画の上映をしていく旅をしていると、いつも同じ一つの質問がされます。
「どこにパレスチナのガンディーはいるんですか?」
「なぜ、パレスチナの人達は非暴力でイスラエルに対して訴えないのですか?」このような質問は、特に私が中東から戻ってきたときにされる質問です。
私は中東でイスラエルの兵士や移住者たちから自分達の土地を非暴力的なやり方で守ろうとしている多くのパレスチナ人達を撮影し続けていました。
この運動のリーダー達は、国全体の大規模な非暴力運動を形成しようとしています。このやり方で、彼等の土地が占領されるのを阻止し、平和をもたらそうとしています。
しかし、殆どの皆さん方が彼等のことを一度も聞いたことはないと思います。
このパレスチナの土地で平和を目指した運動がある一方で、それらを知覚するものが遠く離れたところにあり、パレスチナでなにが起きているのか全く知らない状況が、パレスチナの平和的な運動がこれまで成功しなかった事の理由だと思います。
だから、今日は私はここにいらっしゃる皆さん達に彼等に
注意を向けることの影響力について話をしにきたわけです。
ヨルダン川西岸の
ウェスト・バンク、ガザ、その他の地域で、非暴力運動が起きていますが、今日は、私は
パレスチナのことについて話をしたいと思います。
非暴力な運動が更に成長するための最も重要な事は、パレスチナの人たちが非暴力を受け入れ始めるということではなく、
私達がパレスチナ人の中で既に非暴力による運動を行っている人たちに注意を向けることなのです。この事について分かりやすく説明するために、
ブドゥルス村について話してみたいと思います。
約七年前にその土地の人達は絶滅の危機に直面していました。何故なら、イスラエルが国境線に分離壁を設置することを発表し、その一部がこの村のど真ん中に設置される事になりました。
そのために、この村は40%の土地を失うことになり、壁で囲まれ、ウェスト・バンクの残りの場所へ自由に行き来することが出来なくなることが分かったのです。
その時、その土地から天性の指導力を持つ人が現れ、そのような悲劇が起きないようにするための平和的なキャンペーンを始めました。
彼らがその土地で実際にどのような運動をしているのか分かるように、その一部をご紹介したいと思います。
(ここで、ブドゥルスのビデオが流れます。)
私達は、分離壁がイスラエルからパレスチナを分断してしまう事を知らされました。この分離壁は私達の土地を盗もうとしていたのです。
イスラエルの活動家 非暴力の抵抗運動ほど軍隊を怖がらせるものは他にはありません。
<ファタ政党のメンバー>: 私達は自分の伝統的な考え方をなくし、頭の中を空にしなくてはいけません。
<ハマス政党のメンバー>: 私達はとても調和に保たれていました。私達はこの非暴力運動をパレスチナ全土に広めたいと思います。
ブドゥルス村の人達は武器を持たず、非暴力の行進を続けました。
イスラエルの国境警察が村人たちをいかなる武力を行使しても追い払うために、国境に向かいました。
しかし、村人はひるむどころか、行進を止めず更に声を高くして、行進を続けました。
彼らの中には、死ぬかもしれないと一瞬思った人たちもいましたが、仲間たちが怯むことさえ全くしなかったので、勇気づけられ共に行進を続けたのです。
ビデオの最後で少年たちが「私達はそれが出来る」(We can do it.)と繰り返し叫んでいる様が何ともいえない感動を感じずにはおれません。
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(管理人:ビデオが終わり、ジュリアさんがまた話し始めました。)
ジュリア・バッチャ:私が初めてブドゥルスのことを聞いたとき、メディアが、七年前にブドゥルスで起きた驚くべき出来事について特集報道をしなかったことに私は非常に驚きました。
そして、さらに驚くことは、このブドゥルスでの平和的な抵抗により、十ヶ月後に、イスラエルは分離壁の位置を、ブドゥルス村から離れて、グリーンラインの位置にまでずらしました。そして、これが現在のイスラエルとパレスチナの国際的な国境線になりました。
このブドゥルスの平和的な抗議運動は、ウェスト・バンクのほかの村に広がり、そして、イェルサレムのパレスチナの人々にまで広がりました。
しかしながら、マスメディアは、ほとんどの場合、この事については、なにも報道せず、沈黙を続けていました。
この沈黙は、パレスチナで非暴力が育ち、存続していく可能性があることの深い重大さを感じさせます。
暴力的な抵抗も非暴力的な抵抗も一つの共通点があります。これら二つの抵抗は、劇場のようなものであり、両者ともその運動がもたらす結末を観客にみてもらいたいと思っています。もし、暴力的な役者が絶えずマスメディアのニュース雑誌や新聞、インターネットなどの第一面に現れ、国際間の人々の注目をパレスチナ問題に向けさせていると、非暴力抵抗運動のリーダーたちにとって、自分たちの地域の人達に、市民としての非暴力な抵抗がもう一つの選択肢としてあるということを、順序立てて説明し納得させるのが非常に困難になってしまいます。
注目する事の影響力は、子供の両親にとっては、彼らの部屋では何の驚きでもないでしょう。
子供にきちんとしたしつけをするためには、両親が子供に注目したり、または、その逆に注意を向けないようにすることで、子供は、両親に注目してもらうことで正しい行動の仕方を学んでいきます。これを、幼児心理学者は、機能的挙動と呼びます。
そして、これは大人でも同じことがいえます。実は、国際間の他の地域のマスメディアが、あるコミュニティー、または、ある国全体のどこに注目するかによって、その地域全体、または、その国全体の行動への影響の仕方までもが変わってしまい、その結果としてその地域や国の行動の仕方が変わってきます。
中東における対立を終わらせ、平和をもたらす試みの中心には、私達が今日活動している非暴力のリーダー達にもっと注目することで、非暴力を機能的挙動に変えていくことがあると思います。
ブドゥルス以外の土地で、ブドゥルスとにたような状況に陥っている村ワラジェのことを知りました。そこでも、村の一部が失われ、パレスチナとイスラエルが断絶されてしまう危険性がありました。そこでも、非暴力の抵抗が二年間にわたり行われていましたが、誰も注目しないため、思うような結果がでていませんでした。
そこで、私が撮影した非暴力のドキュメンタリー映画を上映しました。それから一週間後、彼らはこれまでで一番活気かでて、一番多くの人たちが参加し、素晴らしいデモ行進ができました。
イスラエルには、ソリダリウトゥという平和運動が起こっています。これは、ヘブライ語では、団結(ソリデリティー)という意味になります。この運動のリーダーたちは、ブドゥルス村の事例を初めの勧誘用資料として使っています。イスラエルの人たちも、それまで一度も運動に参加してこなかった人達が、このビデオをみて、非暴力の重要性に気づき、ソリダリウトゥに参加する人たちがいます。
ブドゥルスやワラジェ村の例は、ごく小さな資金によりこれらの運動に注目した独立系映画を制作し、上映することで、非暴力を機能的挙動に変化させることが出来るのです。
メディア・プレーヤーの持つ力を想像してみてください。中東のバーレーン、ニアリーン、ワラジェ、イェルサレムのジャハジャラなどの村々で毎週行われている平和的なデモ行進を放映すると、非暴力のリーダーたちは、より注目されるようになり、彼らの行う運動の価値が評価され、その運動が更に威力を発揮するようになるでしょう。
私たちは一番重要なことを理解しなくてはいけません。もし、私達が彼らに注意を向けなかったら、彼らは、誰の目にも見えず、まるで、何も起きなかったかのようになってしまいます。
しかし、私はじかに、もし私たちが注意を向けたら、彼らの数が増え、彼らが増加すると、彼等の非暴力な抵抗の持つイスラエルとパレスチナの対立全体に対する影響力も更に強くなっていくのです。
この世界的な危機的状況を解決できる影響が現実に存在するのです。
ブドゥルス村のように、非暴力のリーダー達は彼らの運動がうまくいき成功することを既に証明しています。
だから、非暴力のリーダー達に私達の注意を向けましょう。彼らが、
この非暴力運動は世界中のどこでも効果を発揮することができることを証明できるようにするために……。