知ろうとすることは相手への開示を求める行為だ


"最近仕事の方はどうなの"

"なんかいい感じの人とかいないの"

"彼氏出来た?"

"なんか可愛くなった?"


仕事、恋愛、外見、くだらない

どれも人生に大きく関わる要素だけれど、どれもそれを話したところでその人の本当の姿なんて見えてこない

それなのに貴方たちがそんなことを聞いてくるのは、その情報の中に自分への利が無いか探しているから

それは自分の人生設計へ役立てるためか、はたまた別の他人と繋がるための話題に使うためなのか

これは被害妄想なのだろうか?

プライベートにズカズカと踏み入って、そういう貴方は何がしたいんだろう

私があなたのなんの権利を侵害してしまったというのだろう

私に開示を求めないで


"どうしたの?話聞くよ"

"辛いことがあったって聞いたよ、大丈夫?"


心配も興味も全ては引き裂いて中を見ようとするメスだ

貴方は私が言葉を失った瞬間に、言葉を搾取しない選択をしてくれるのだろうか



「最近辛い。というのも、と書き綴りたいのに言葉が出てこない瞬間が非常に辛くて、」

と、言った人がいた。

あの人はあの時何に苦しめられていたのだろう

あの時何も聞かずにただ寄り添ってくれようとしてくれる人は、あの人の傍にだれかいたのだろうか


世の中、優しいを装った優しくない行為が多すぎる


知られるだけでも、話すだけでも、痛みを伴う心があるのに


分かり合いたい

世界や人と


私はそういうの嫌だから、やめて

今は辛くて話せないから、放っておいて


そんなふうに私も自分の境界線をはっきりと前面に映し出したい

あなたはあなたで、私は私だから

それはこうで、これはこうだから

私にはそんな勇気もない

勇気もないのに世界に自分を大事にさせる義務と期待を押し付ける

私は弱い。


世界から隠れ続けようと逃亡を続ける