からだの成分として最も多いのは液体成分(体重の約六〇%を占める)。次いで、約二〇%をタンパク質が占めている。
ほとんどすべてのタンパク質は、体内で生まれては消え、消えては生まれる。(代謝されている)。
タンパク質の存在量は、つまり、合成量から分解量を差し引いた量に相当する。
いっぽうで、タンパク質が分解されるまでの時間(寿命)は、タンパク質によって異なる:
そのため、遺伝子がタンパク質の合成を指示するmRNAの量に相当するタンパク質の量と、実際の体内のタンパク質の量には、ずれがある。
遺伝子解析からタンパク質の存在量を捉えることができない理由はそこにある。
からだの中のタンパク質存在量はどれほどか
わたしたちのからだには、多量のタンパク質か含まれている。その量は、体重の約二〇%を占める。、これに次ぐ主要成分がタンパク質である。脂質や炭水化物は数パーセント、DNAやRNAのような核酸は1~2パーセントしか含まれていないので、タンパク質の量がいかに多いのかがわかる(図311)。
ほとんどすべてのタンパク質は、生体内で生まれては消え、消えては生まれる。つまり代謝されている。
そのため、生体中に存在するタンパク質の量(発現量または存在量)は、タンパク質の合成量と分解量とのバランスで決まる(「タンパク質存在量」=[合成量]-[分解量])。大量に合成されるタンパク質(遺伝子発現量が多い)でも、分解が速いと存在量は少ない。逆に、大量に合成されなくても分解が遅い場合にはタンパク質存在量は大きくなる。
タンパク質の「寿命」
タンパク質は、細胞内に存在するリボソームとよばれるRNAとタンパク質の複合体で合成される。
個々のリボソームは、想像を超えた速度でタンパク質を合成する。好熱菌という細菌のリボソームでは、分子量か一万六〇〇〇ほどあるタンパク質でも数秒で合成されるといわれる。分子量が一万六〇〇〇のタンパク質は150ほどのアミノ酸からなっている(注2)。
ヒトをはじめとする真核生物では、もう少し時間がかかるが、とにかく速い。さらに驚くべきことにぱ、そのような速度で、何千、何万もの種類のタンパク質が特定の細胞、特定の部位に存在するリボソームで整然と合成される。ちなみに、合成されたタンパク質の大きさは、種類によって異なるか、数ナノメートルから数十ナノメートルほどである。