公園で知り合って仲良くなった猫
どう見てもどら猫に化した風貌にまだ人間の愛を信じている
私がテキトーに付けた「ミイ〜」なのだが他の人は「キジ」とか「イエロー」とか名付けてあの猫も戸惑った事だろう
しかしあくまでも役柄を演じてどんな呼び名にも近寄って甘えるからカワイイのだ
他の人は餌を与えるから必ず小走りに近寄って来たのだが私は餌をやることもなくただただ「よしよし」をするだけの関係だった
今年の夏は猛暑だ
あのぬいぐるみのような猫の毛はとてもとても人間には残酷過ぎる分厚いコートだ
エアコンがない世界で生き抜く捨てられた猫たち
飼い主の愛を感じていた時は幸せだったはずだ
無責任な人間が自分の都合で捨てた
過酷な世界での生存競争が始まる
それでも人間を憎まず私の声にも反応して愛嬌を振りまくからいじらしい
賢い人間が熱中症で運ばれる夏
猫たちの姿がない
別のエリアを陣取っている黒猫が二匹いるが呼ぶだけで近寄りゴロンと甘えて来る
私がヒイキにしている猫の行方を聞きたいが猫語が出来ない
いい子いい子して撫でてやって洗ってもない顔を繁々と見る
本来は美人の猫だった面影が残る
ひどい人間がいて申し訳ないとつぶやいて猫の一生の哀れさに心が痛い
私のヒイキの猫はまだ中年だったのだがこの夏とうとう登場しない
猫や犬は自分の終焉を愛する飼い主に見せないと聞く
いずれにしても人間との共存は束の間に過ぎた猫の団体が公園で第二の生き方を展開している
人間のわがままによる一生だ
公園をウォーキングしている時に微笑んでくれたあのベンチの上にいたあの猫の姿はない
動物と人間の巡り合いで得た愛情を人間だけが裏切り猫たちの一生を変えている
非情にも何も無かったように季節は動いていく