貧乏競演 | さなじゅんオフィス

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小説「売春婦を愛した男」や「運は学歴に勝る」他




俺ほど 貧乏だったのはないよ
いやいや 俺が貧乏だよ
俺なんか 麦めしで白ご飯なんて 食べたことないよ


ばっかだなあ 俺なんて食パン 耳しか食べたことない
小さい頃 ずっとパンツ1枚で 裸だったよ
俺の台所なんて ゴキブリと共存してたんだぞ 


母ちゃんがコメ買うお金がなかったから 小学校から新聞配達 隠れてやってたんだ
そんなの序の口だよ
俺なんか 夜中になったら 畑からネギや大根盗んで 生きてたよ


言うねえ
万引きなんて 数え切れないよ
昔は 警察なんて来なかったから 結構助かったねえ


穴のあいたズボン 今こそ流行だけど 俺ずっと膝小僧が寒かった
同級生は 幼稚園に行ってたけど 俺、川に地金落ちてないか 探し回ったものさ
真鍮は高く売れるんだぜ


トイレって座り込むもんだと ずっと思っていた
お風呂のシャワーなんて じょうろでやるもんだと思ってた
お客さん来たら 居場所がないんで 押し入れで寝てたもんだ


魚の煮つけなんて 片側半分ないから 俺、魚って片方だけ太ってるって思ってたよ
そんなん 常識だよ
我が家なんて 1匹のサンマ4人で食べていたから 原形わからなかったよ


まだまだ 青いねえ
そんなん 貧乏でもまだいいものさ
我が家なんて 1つの布団に足 突っ込んで5人で寝てたんだぜ


いいや 俺の方が貧乏だ
メロンなんて 子供図監の中のもので この世に存在しないって親に聞いたんだ
バナナは黒い皮だって ずっと思っていたよ


柿はあちこちで長い竹竿持ってきて 先っぽを割ったものに横棒差しこんで
ぐるぐる巻きして 落としたものだよ
柿の木なんて 誰のものでもなかったけどなあ


隣の町に行くのは アメリカ行きって姉が教えてくれた
バスに乗るにも 蝶ネクタイいるって 聞かされていたからなあ
俺のあだ名 もやしだったんだ


カレーライスはじゃがだけ入っていて ルーの固形物が 肉と長い間 思っていたよ
結構 いい勝負だな
だけど 貧乏では負けないよ


家って 屋根が1つで 左右住んでいる人が違う
だから 同級生は それ「いえ」じゃなくて 「い」だと言ってたなあ
今で言う2DKに 親子7人で住んでたんだ


おやつは芋さ
えっ、おやつ あったんか?
俺なんて 冷蔵庫の氷 食べてたぜ


借金取り来るたびに 母ちゃんはトイレ入って 居留守使うんや
何度も俺が 怒られていたよ
俺んち 借金も出来るとこなかったから 1度 皆で心中しようかと会議したことあるよ


お・お前 よく生き残って来たなあ
どうや 俺の方が 貧乏だろ
参ったか!