これまでエシカル消費や、エシカル商品を選ぶ際の参考となる認証マークの種類や意味をご紹介する記事を書いてきましたが、ここで原点に立ち返って、消費者運動そのものがどのようにして起こり、発展してきたのか、を見ていきたいと思います。まず今回は、消費者を守る法律がどのような内容を含み、どのような背景のもとで成立したものであるのかを調べてみました。

 

 1968年、消費者保護基本法が制定されました。この法律は「消費者の利益の擁護及び増進に関する対策の総合的推進」を図ることにより、「国民の消費生活の安定及び向上を確保すること」を目的としています。国や地方公共団体、事業者の責務を明らかにするとともに、計量・規格・表示の適正化等の具体的な施策が講じられるように定められています(1)。

 

 消費者保護基本法は2004年6月に大幅に改正され、消費者基本法と改称されました。新たに理念規定が置かれ(第2条)、消費者の権利の尊重と自立の支援が基本原則とされています。ここで挙げられている消費者の権利とは、①「国民の消費生活における基本的な需要が満たされ」る権利、②「健全な生活環境が確保される」権利、③「消費者の安全が確保され」る権利、④「商品及び役務について消費者の自主的かつ合理的な選択の機会が確保される」権利、⑤「消費者に対し必要な情報及び教育の機会が提供され」る権利、⑥「消費者の意見が消費者政策に反映され」る権利、⑦「消費者に被害が生じた場合には適切かつ迅速に救済される」権利です(2)。

 

 この消費者の権利の尊重という考えは、突然現れたものではありません。1962年3月15日に、アメリカのケネディ大統領がアメリカ連邦議会に送った「消費者の利益の保護に関する特別教書」の中では消費者の4つの権利、すなわち「安全を求める権利」「知らされる権利」「選ぶ権利」「意見を聞いてもらう権利」が挙げられており、ニクソン大統領によって「救済される権利」、フォード大統領により「消費者教育への権利」が付け加えられました。そして1983年には、世界消費者機構(IOCU , the International Organisation of Consumers Unions)によって、消費者の8つの権利が提唱されました。その権利とは、①生活の基本的ニーズが満たされる権利 ②安全である権利 ③知らされる権利 ④選ぶ権利 ⑤意見を反映される権利 ⑥救済を受ける権利 ⑦消費者教育を受ける権利 ⑧健全な環境の中で働き生活する権利で、このIOCUの考え方が日本の消費者保護基本法にも反映されています。なお、IOCUは1995年に国際消費者機構(Consumers International)に改称されました(3)。

 

 以上が、消費者に関する基本的な法律の概要と背景となります。これからは、1968年の消費者保護基本法の制定以前、消費者運動がはっきりとした形をとる前の様々な活動の発展の歴史についてさらに調べてみたいと思っています。

 

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(1)   消費者保護基本法 (昭和43年[1968年] 法律第78号) (aichi-u.ac.jp)

(2)   消費者基本法|条文|法令リード (hourei.net)

(3)   1 消費者政策の変遷と法整備 (kokusen.go.jp)