これまで、ブースター接種率の高い国のほうが感染拡大している事実を紹介してきました。これは世界的傾向です。
 
ところが、4月20日首相官邸が以下の表を公表。総理は感染予防効果がある!と明言し、若い世代への接種を促しました。
この表によれば、未接種者はブースター接種者より現役世代で5倍ほど、高齢者では10倍以上感染しやすいように見えます。
しかし、他国のデータと整合しませんし、日本だけがオミクロンへの予防効果があるなどあり得ません。
厚労省も効果は、発症と入院(重症化)予防のみで、感染予防効ありとは明言していません。


そもそも、このワクチンは数か月で効果が落ちることが分かっているのに、ブースター(3回)接種が開始されてまだ間もない、4/4~4/10のたった1週間のデータをもって効果があると言い切ることはできません。
 
疑念が拭い去れず、根拠となった詳細資料(厚労省アドバイザリーボード)を見てみたところ「接種歴不明」の陽性者が相当数いることが分かりました。
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いつ接種したか不明の場合に「接種歴不明」とされると考えと、接種歴不明者のほとんどは2回、3回接種者と推定されます。しかし、首相官邸の公表データは「接種歴不明」を完全に無視しています。
 
調査期間が4/4~4/10のたった1週間
接種歴不明を無視のほか
脚注にも「結果の解釈には留意が必要」とありますが、全陽性者数を分母にした接種別割合は出さず、4/10時点全国の接種・未接種数の10万人当たりの数だけを指標とするのも不自然です。
 
高齢の未接種者は持病など接種できない場合があり、抵抗力も落ちて感染しやすい属性の者が多いのに、これを人口10万人換算するのはいかがなものかと思います。
※追記:高齢未接種者割合が異常に高いことについても、重大な問題が判明したため、2022/5/22に投稿↓しました。

そこで、先の表から接種歴不明も含めて、陽性者の接種割合を出してグラフ化してみました。

65歳以上の陽性者の約4割が3回接種者でした。
接種歴不明者に一定数3回接種者が含まれるため、陽性者の約5割は3回接種者と考えられるでしょう。
とは言え、高齢者の3回接種率は約8割で、陽性者割合は4〜5割なので、4月初旬はブースター接種により感染予防効果はそこそこ保たれていると考えられました(このデータを見る限りは)。

しかし、私の周囲ではあまり多くないものの、親族や知り合い夫の知人まで含めると、オミクロン陽性者は、3回接種が4名、2回接種が6名で、未接種の陽性者は1人です。未接種者の割合26%は、肌感覚よりかなり多いと感じました。

その原因は後ほど説明するとして、
 
最新の陽性者数データ(4/25~5/1)を見てみましょう。

2回接種者と未接種者のかかりやすさの差が縮まり、40代、60代、70代では2回接種者の方が逆にかかりやすくなっています。

接種歴不明の多くが接種者であることを踏まえると、ほとんどの世代で2回接種者の方が感染しやすくなっていると考えられます。

時間の経過とともに効果が減衰していくことは厚労省Q&Aにも書かれていますし、接種率の高い国でも同様の傾向ですから当然の帰結と言えましょう。

接種割合でみると、未接種者の割合は、各世代の接種率とほぼほぼ同じになりました。
さて、4/25〜5/1のグラフ↑を
先の4/4~4/11のグラフ↓と比較してみると
未接種者の陽性者が激減し、接種歴不明が増加していることにお気づきかと思います。
 
高齢者の接種割合は、未接種7%で、接種歴不明36%の多くが2回以上接種者と推定すると、先ほどの私の肌感覚とも一致します。

では、なぜ、接種歴不明者が急に増えたのか。
データの脚注にたいへん重要なことが書かれていました(青マーカー部分)。
 
なんと!4/20までに提出されたデータは、接種歴未記入の陽性者をすべて未接種にカウントしていたのです。つまり、未接種の陽性者数は水増しされたものでした。
 
そもそも、不明のデータが4割近くあるのに、そこから結論を導き出すなど、一般常識でおかしいと思えるレベルの話です。しかし、
これを根拠に岸田総理は、感染予防効果があるから3回目接種をと、国民への接種を急がせたのです。

2022/5/16追加
河野氏がこの首相官邸のデータをもとに3回目接種を激推ししたこともここに記録として残しておきます。




<編集後記>
あたかも感染予防効果があるかのように作為的に作ったデータで接種を勧めるなど、明らかな詐欺行為なのですが、これを国を挙げて行っていることに愕然とします。
おそらく、行政の実務者の中には、忸怩たる思いでこのようなデータを作らされている方もいらっしゃるのではないかと推察しました。

この時↓
悲報!厚労省のおどろきのワクチン接種大作戦〜接種後心筋炎を過小評価
の厚労省もそうでしたが、明らかにおかしいことをすれば気づく人は気づいてくれると、あえて、ありえないほどの恣意的データを出してきているのかもしれません。
気づく人が一人でも増えることを願っています。