アプリCOCOAの開発業者が

1200万円を返納したとのニュースを見た。


COCOAがイケてない事件は

ずいぶん前に職場でもあった。


ある職員さんに接触ありとの通知が

スマホのメール届きましたよ!

LINE届きましたよ!の

お知らせと同じように届いたが、

cocoaを開いたところ、

接触はありませんと出た。

いろいろ調べた結果、

設定機能の奥深く入ってようやく

接触があったことが判明。

保健所に連絡して

PCR検査。結果は陰性で、

しばらくテレワークした後、

無事に復帰した。



前職の食品分析機関で

品質システムの構築に携わった経験から、

組織全体の仕組みを作るときは、

孫子の兵法〝巧遅は拙速に如かず〟の

逆でなければならないと知った。


身近な例だと

台所で取り出しにくいところに

鍋をしまったとする。

出すのにいちいち手間取るが

身体が慣れると不自由を感じなくなる。

とはいえ、長い目で見ると

相当の時間の浪費である。

最初に動線を考えて頻繁に使うものは

出しやすい場所にしまうべきである。


ましてや、多くの人が長い期間使う仕組みは、

一つの不便✖️使う人数✖️使う回数(期間)

で、トータルだと

ものすごい損失になってしまう。

一組織でも大変なのだから、

国レベルの仕組みならなおさらである。


兵法においては、

じっくり考えてからことを起こしていては

敵にやられてしまうこともあるだろうから

多少拙くも、早くやるほうがよいのはわかる。

しかし、多くの人が継続して使う仕組みは

拙速はまずい。


一度リリースした仕組み(システム)を

後から変えるのは

再構築の手間のほか、

今までやっていたことを一度捨てて

再び慣れてもらうという手間がかかる。

ついうっかり昔のやり方をしてしまい、

それがミスにつながることもある。


ゆえに、システム構築は最初が肝心

見切り発車は極力避けるべきと考え、

当時、こんな標語を作り、

中期経営計画のスローガンにした。

〝下手なシステム七代たたる〟


システム構築は

 拙速は巧遅に如かず〟


さて、報道によるとCOCOAの失敗は

業者任せにしたことが原因とのこと


おそらく、急いで作ることを

1番の目的にして、

業者に発注したのだろう。

急いでるから、

妥当性(バリデーション)も

検証(ベリフィケーション)も

テキトーなまま

リリースしてしまったのだろう。

ならばせめてしっかりモニタリングして

起きる不具合を待ち構えて、

速やかに改善して欲しかった。


イケてなさ度によるが、あちこち

絆創膏を貼って使い続けるくらいなら

見切りをつけて、

早期に廃棄する方が傷は浅くて済む。

しかし、例えば戦後の

食糧難の時代にできた

食管法、食糧庁さえなかなか捨てられ

なかったこの国は、

一度はじめたことを廃棄することが

下手である。損切りが出来ない。

だからこそ、なおさら拙速なシステムは

作らない、作らざるを得ない時は

しっかりモニタリングすることが肝要!


なお、アウトソーシングして

発生した不具合の責任は、

国際標準であるISO9001では

受け入れ確認をしなかった

発注側(つまり厚労省)にあるのは

言うまでもない。




<編集後記>

これまで日本は

政治家の能力が今ひとつでも

優秀な官僚が支えてくれた印象があったが、

近頃はかなりあやしくなって来たように感じる。


我々も誰かの情報を鵜呑みにするのではなく

自分の頭で考えて判断していかなければ、

これからの時代は立ち行かないように思う。


みゆきさんの「時刻表」にこんな一節がある


そして、「宙船」


我々は迷える子羊ではなく、

本当は宙船であるのに、それを

忘れてしまっているのかもしれない。