主題:光延聖 「微生物で「銅」を集める」の内容が、私に与えた期待、に就いて
Index
序
§1. 光延聖 「微生物で「銅」を集める」は、何を伝えたのか
1-0. 原論文の要点
1-1.【バイオマイニング/BioMining】の価値は、非常に広範である。
1-2. どの国の鉱物資源採掘にも、【バイオマイニング/BioMining】は寄与する。
1-3.【バイオマイニング/BioMining】は、どんな技術なのか
§2. 和製英語【レアメタル】に関する懸念問題
§3. 科学史・化学史的興味
序
私がTVの電源を入れる時は、料理中か、食事をしている時の孰れかである。
その二つ以外の時に、TVの電源を入れるのは、地震や警報、また知人などに、速報を確認する様に促された時である。
そんな私が、TVで観るのは、大抵は、その様なニュースや速報の他、事前に録画予約をして、録画済みのものを観る。
私は、昨日(2026年4月15日)の午前4時05分に録画予約した、再放送枠の『#視点論点』を、先程(2026年4月16日午前3時40分頃)、視聴した。
私は、放送大学の講義『暮らしに役立つバイオサイエンス』(2021年開講。2026年現在でも開講中である)を、過去に観ていた事があり、現在でも、偶に、観る。
その影響だろう。
2026年4月14日放送の #NHK教育『#視点論点』は、私の関心を非常に惹く内容であった。
§1. 光延聖 「微生物で「銅」を集める」は、何を伝えたのか
1-0. 原論文の要点
NHK教育テレビジョンが、2026年4月14日放送に放送した回の、『視点・論点』の担当は、 光延聖で、 「微生物で「銅」を集める」という題目だった。
内容は、 後述する、光延らの論文 「銅耐性鉄酸化細菌により引き起こされる中性鉱山排水の高レベル銅濃縮(Percent-Level Copper Mineralisation Promoted by Copper-Tolerant Iron-Oxidising Bacteria in Circumneutral Mine Drainage)」の内容を、専門外の一般素人向けに説明したものだった。
★光延聖 「微生物で「銅」を集める」,『視点・論点』,
初回放送:2026年4月14日(火)午後0:50, NHK教育テレビジョン
(https://www.web.nhk/tv/pl/series-tep-Y5P47Z7YVW/ep/DNY4V5N3XB).
★光延聖
https://www.instagram.com/acei2016
https://researchmap.jp/7000015037
#谷本和也(#KazuyaTanimoto)、加藤真悟(#ShingoKato)、徳永紘平(#KoheiTokunaga)、濱村奈津子(#NatsukoHamamura)、#大熊盛也(#OhkumaMoriya)、#光延聖(#SatoshiMitsunobu)らは、「銅を“鉱石レベル”まで濃縮固定できる新規鉄酸化細菌を初めて純粋分離し、その強力な鉄酸化作用が銅の高濃縮を引き起こす仕組みを明らかにし」た
(理化学研究所,「2025年12月12日」,『研究成果(プレスリリース)2025』[https://www.riken.jp/press/2025/20251212_3/index.html])。
その論文は、愛媛大学の『プレスリリース』(https://www.ehime-u.ac.jp/data_relese/pr_20251212_agr/)の紹介に拠ると下記になる。
「Percent-Level Copper Mineralisation Promoted by Copper-Tolerant Iron-Oxidising Bacteria in Circumneutral Mine Drainage」,『Environmental Microbiology』,Wiley
(https://enviromicro-journals.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/1462-2920.70212).
[邦訳題]「銅耐性鉄酸化細菌により引き起こされる中性鉱山排水の高レベル銅濃縮」.
「研究成果のポイント
>鉱山跡地から銅を高濃縮する鉄酸化細菌を発見
>分離株は銅を鉱石レベルまで高濃縮
>複数の銅排出遺伝子群に支えられた堅牢な銅耐性を保有
>独立栄養菌であり“カーボンニュートラル型”の銅回収技術へ応用できる」
(Ibid.).
この論文で継続的に【Isolation】と呼ばれる手順が、光延が『視点・論点』の放送内で【単離】と呼んだ方法だと思われる。
微生物学では、“単離されたもの(isolated one)”を、単に【Isolate】と呼んでいるので、間違ってはいないだろう。
1-1.【#バイオマイニング/#BioMining】の価値は、非常に広範である。
例えば、環境に対して、低負荷で、鉱物を抽出できる、技術は、生態系と環境との保全、乃ち、生命の保全に直結する問題に寄与する。
恐らく、近年のアマゾンの非合法な金採掘で生じる環境破壊(例えば、Dickie and Spring 2023)と、それが引き起こす、公害や、公害病が、国際的に問題視されている点にも、微生物学や土壌化学の理論的射程は向けられている筈である(…と、少なくとも、私は推測する)。
Gloria Dickie and Jake Spring(August 6, 2023. 4:07 AM GMT+9),
「Insight: Amazon rainforest gold mining is poisoning scores of threatened species」, Reuters.
(https://www.reuters.com/business/environment/amazon-rainforest-gold-mining-is-poisoning-scores-threatened-species-2023-08-05/),
[日本語版]「焦点:アマゾンの違法金採掘、水銀汚染で生態系に深刻な脅威」(https://jp.reuters.com/article/world/-idUSKBN2ZI05B/)
以前にも、言及したが、#水質汚染, #PoisoningWater, #土壌汚染, #PoisoningSoil, などの #環境破壊、畢竟、#公害 と #公害病 で呼び起こされるのは、#宇井純 の『#公害原論』(亜紀書房、1971年)である。
私の言葉に共感せずとも、目にした方には、上述の関心を惹起したい。
1-2. どの国の鉱物資源採掘にも、【#バイオマイニング/#BioMining】は寄与する。
資源小国の日本が、他国への鉱物資源依存を減らす事、或いは、無く事は、環境的、軍事的、経済的、政治的観点から重要である。
日本国内で、違法投棄された家電類や資源ゴミを見る度に、“これらが全て適切に再資源化される仕組みが成立していれば、違法投棄は起こらず、【夢の島】も不要ではないか”と、私は常々考えていた(…かと言って、それに向けて、自ら進んで活動した事は無い為体なのが、恥ずかしい事だが…)。
…というのは、多くの方も御同様であろう。
富裕層では無い、国民の過半数の誰しもは、自分の眼前の生活で将来に行き詰まる様な負担を現在掛けず、現状で出来る事を日々頑張る程度の事が、限界であり、他者や共同体全体に寄与する事の方を、自分事以上に優先する目的で、私財や労力を費やす事は無理を通さねば出来ないのである。
1-3.【#バイオマイニング/#BioMining】は、どんな技術なのか。
そんな中、微生物の“特性”(生化学的に説明の付く作用)を利用して、鉱物成分含有物から鉱物を抽出する【#バイオマイニング/#BioMining】技術の開発と向上、発展は光明である。
微生物の活性を利用して、鉱物成分含有物から鉱物を【溶出】(溶解し、抽出)する、【#バイオリーチング/#BioLeaching】。
【#バクテリアリーチング/#BacterialLeaching】は、バクテリアを用いたバイオリーチングと看て妥当だと思う。
日本の経済産業省は、「レアアース・レアメタルとは、…中略…を指す」と記述し、計31鉱種を、其れ「レアアース・レアメタル」と便宜的且つ総称的に定義している(経産省「レアーアース対策」)。
★経済産業省「レアーアース対策」(https://www.meti.go.jp/policy/nonferrous_metal/rareearth/index.html)
【レアアース/希土類/Rare earths】は、現在(2026年4月16日)迄に、計17種が【認知されている/recognized】筈であろうから、経産省の言う「レアアース・レアメタル」は、【レアアース】計17種に、和製英語【レアメタル】(どうも、“希少な金属”と言いたい様に響く語)に括られる14種を追加した、正しく、便宜的総称である処の《行政的定義/Administrative Definition》だと言える。
こうした、「レアアース・レアメタル」も、バイオリーチングを含む、バイオマイニングなどを駆使して、全て、再資源化、再利用できる様になれば、これまで、加工貿易の悪しき副産物として大量に蓄えた、ゴミから、多くの資源が得られる仮も知れない。また、それに由り、他国に依存しないで済む様になる仮も知れない。
利他的な考えを持っていても、それを実行できない、非富裕層の一国民には、光延聖らの様な研究は、工学的成果を明瞭に予測と期待とをさせてくれる点で、非常に好感が持てるものである。
微生物学は、バイオマス発電で寄与する事が既に知られている。
原油危機に備える為に、脱石油と電化促進は、当に現在(2026年4月16日)、我々が対峙している課題である。
エネルギー資源の代替にも、微生物学や土壌化学の知見は寄与する。
この様な国家基盤に直結する研究を行っている研究者に対しては、科研費申請を研究者側にさせるのではなく、政府側から、研究者に研究費助成を申し出るべきだろう。
§2. 和製英語【レアメタル】に関する懸念問題
和製英語【レアメタル】は英語の【Minor Metal/少数"類"金属】に相当する。
英語の【Rare Metal】は、英語の【希土類/Rare Earth】と同義である。
この言語理解は、Website『Collins Dictionary』で引く事のできる『Penguin Randam House』と『Webster』に於ける、American English【Rare-Earth Element】の項に有る「Also called: rare-rarth metal」の記述で確認出来る。
★cf.Website『Collins Dictionary』.
『Webster's New World College Dictionary』, 5th Digital Edition. 2025, HarperCollins Publishers.
『Penguin Random House LLC.』1991ed., 1997ed., 2005ed. and 2019ed., Penguin Random House LLC and HarperCollins Publishers Ltd.
(https://www.collinsdictionary.com/dictionary/english/raree).
《行政的定義/Administrative Def.》とは、一般的表現では広く是認されたものではなく、“行政に依る定義”という意味で私が用いる【私的言語/Private Language】*である。
#LudwigWittgenstein (1953),『#哲学探究』
(#PhilosophischeUntersuchungen/#PhilosophicalInvestigations).
いずれにせよ、【少数類金属/Minor Metal】が、【基礎金属/Base Metal】の精錬過程で得られる副産物であり、少量であるにも関わらず、需要は増え続けている。
経産省の「レアアース・レアメタル」に括られる、元素及び金属の計31種は生産量の過多とは無関係に、需要が非常に多い、という点で共通している。
その共通点が、他国に於ける、【Minor Metal】に【Rare Earth/Rare Metal】を加えた場合の理解に於いても、同様に通じるから、各国政府間でも、意思疎通が出来ている、のだろう。
和製英語の様に、英語の装いをしながら、その本質は英語とは異なるものを、国際社会に於ける、意思疎通の障壁だ、と考えるもの、にとっては、和製英語【レアメタル】は排除為べき言葉に思える。国益、国民の命を左右しかねない性質の問題の一つの内の核を成す、共通の理解の一部だからだ。
尤も、日本の官僚は優秀だから、その点は上手く、表現を使い分けて、対処しているのであろう…が、国家間、国際間での齟齬が生じない様な対話を彼らがしてくれる事を、私は願うばかりである。
まあ、官僚達は、元素名と金属名とを明確に指定して、協定文書を互いに交わすのであろうから、その様な齟齬は必然的に回避される筈だが、時に、人は重要な点を明言せずに、協定を結ぶ場合が有るので、私はそれを懸念しているのである。
★経済産業省「レアーアース対策」(https://www.meti.go.jp/policy/nonferrous_metal/rareearth/index.html)
に話を戻す。
この経産省の記事は、現在(2026年4月16日午前6時14分時点)で現存し、閲覧確認が可能だが、
曾て(2026年1月頃)、私が閲覧した、経産省の記事「レアアース希土類」(https://www.meti.go.jp/policy/nonferrous_metal/rareearth/rareearth.html)は、
既に、削除されており、現在、閲覧確認は出来ない。
経産省も、他の省や、他者のWebsite同様に、断り無く、自身の記事を削除する事が有る。
先に、述べた記事「レアーアース対策」は、[高木 2016]の記述に拠れば、2015年1月5日時点で、既に存在していた様だから、息の長い、《行政的定義》と言えるだろう。
★高木哲一(2016), 「レアメタル資源の安定供給を目指して:レアアース資源確保のための取り組みと課題」,『Synthesiology』Vol.9, No.1, 2016, 国立研究開発法人 産業技術総合研究所
(https://www.aist.go.jp/pdf/aist_j/synthesiology/vol09_01/vol09_01_p15_p25.pdf).
§3. 科学史・化学史的興味
この節の記述は、『WikiPedia』の「Rare Earths」(English ed.)の項を先ず参照し、其処に有った幾つかの情報に関して、出典を更に追って確認した事を断っておく。
【レアアース/希土類/Rare earths】は、現在(2026年4月16日)迄に、計17種が【認知されている/recognized】(loc.cit.)。
レアアースという用語は、【希(少)/レア/rare】という形容詞を冠しているが、それは、1787年の最初の発見当時や過去に於いて、充分には理解されていなかったために、稀少だと看做されただけで、今日の観点では、レアアースは、「稀少でもなければ、土類でもない(neither rare, nor earths)」ので、「誤称」だという見方も有る(Rowlatt 2014;Lee 2021)。
Justin Rowlatt(March 23, 2014), 「Rare earths: Neither rare, nor earths」. 『BBC News』(https://www.bbc.com/news/magazine-26687605).
Lee, Jordy (July 26, 2021), 「Rare Earths Explained」,『Milken Institute Review』(https://www.milkenreview.org/articles/rare-earths-explained).
1787年、スウェーデンの【イッテルビー/Ytterby】村の採石場で、【カール・アクセル・アレニウス中尉/Lieutenant Carl Axel Arrhenius】が発見した鉱物が最初のレアアース(Gschneidner 1964:p.9)。
Gschneidner, Karl A. (1964). 『Rare Earths: The Fraternal Fifteen』, U.S. Atomic Energy Commission, Division of Technical Information (https://books.google.co.jp/books?id=04ghAQAAMAAJ&redir_esc=y).
その、アレニウス(29 March 1757 – 20 November 1824)は、軍人であり、素人の地質学者・化学者であった(Hofberg 1906;p.48)。
Hofberg, Herman (1906),『Svenskt Biografiskt Handlexicon. Vol.1』, A. Bonnier(https://books.google.co.jp/books?id=yfEYAAAAYAAJ&pg=PA48&redir_esc=y).
その鉱物は、現フィンランドのトゥルクに在った【トゥルク王立アカデミー/Royal Academy of Turku】の教授【ヨハン・ガドリン/Johan Gadolin】の手に渡る。
彼が、それを分析し、発見した、「未知の/unknown」「土/earth」 は【イットリア/Yttria】と名付けられ(Science History Institute 2019)。
「 “土”は18世紀の地質学用語で、酸に溶ける岩石を指していた(“earth” because that was the 18th-century geological term for rocks that could be dissolved in acid)」(Ibid.)。
Science History Institute(October 18, 2019), "The History and Future of Rare Earth Elements"
(https://www.sciencehistory.org/education/classroom-activities/role-playing-games/case-of-rare-earth-elements/history-future/).
私の記憶の中で、スウェーデン(曾て、フィンランドを支配していた)は、結構な領域を占めているから、上述のアレニウスやガドリンに関して、知識を再確認した意味は大きい。
スウェーデン人が密かに誇っているのは、リンネだけではないのだ。
脱稿までに約5時間半、俺は一体何をやっているのか。
簡単に感想言うだけの予定だったのに…。
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