スリランカの山旅16 シーギリヤロック | 森中あゆみの「山と薬膳で、ココロとカラダをまるごと養生♩」

森中あゆみの「山と薬膳で、ココロとカラダをまるごと養生♩」

「世界の国の人と自然」を愛するヨメが
「岩と雪と氷」を愛したダンナと
日々のつれづれを発信します。

旅の最終日に訪ねる地は、スリランカ旅行、最大の見どころといってもよいシ-ギリヤ。

広いジャングルの中に、忽然と現れる巨大な岩山。
そして、その岩に眠るかつての王の悲劇の物語。


王位継承をめぐって、王である父を家臣に殺させてしまったカーシャパ。それは家臣の

策略だったのだけれど、王位を手に入れてからも後悔の念にさいなまれる。同時に

本来、王位継承権のあった弟からの報復も恐れ、この巨大な岩山に王宮を作る

ことを思いついたカーシャパ王。


他を寄せ付けない要塞のような王宮で、弟から逃れ、罪を忘れようと造った理想の

楽園だが、シーギリヤロックでの暮らしは長くは続かず、11年後には、襲来した

弟の軍に敗れ自害をして、王の人生と共に、この岩山の歴史も幕を下ろす。


再び、この岩山が歴史上に登場するのは、1853年。

1350年もの間、ジャングルに静かに眠っていたロマン漂う世界遺産。


残念ながら、この日はお天気がイマイチ。

夜中じゅう、これでもか!というほど強い雨が降っていて、雷もゴロゴロなっていた。

明け方止んでくれて、やれやれだったものの、予想通り、ガスで岩が見えない…。



1年前の同日、同時間。

エレファントロック。

水のお庭から、石のお庭へ。そこがシーギリヤロック=かつての宮殿の登り口になる。

南側には貯水池があり、岩の周囲は外堀と内堀に囲まれている。

これは第一アーチ。敵が一気に攻め込めないようにとのこと。

左側の岩の下の空間は、瞑想に使われたそうで、台座が残っている。

ミラーウォール。

アーチをくぐり、テラス上の庭を越えて、階段を上り進むと、らせん階段があり、そこを

上がると、有名なシギリヤ・レディのフレスコ画がある窟にいける。この日はまだ係員が

来ていなくて、中に入れなかったので、後回しにして、先にミラーウォールへ。

岩肌にミツロウをぬってピカピカに磨かれた壁。
反対側に描かれた美女のフレスコ画をこの壁に映し出し、両側で絵を楽しむための

ものだったという。発想にも驚かされるけど、当時の王の権力もすごかったのだろう。

同時に、この岩の中でしか生きてゆけなかった王の寂しい日々の生活も偲ばれる。


そうそう、ミツロウで思い出したけれど、シーギリヤロックはところどころにスズメバチの

巣があるので、見つけたら刺激しないよう注意が必要。

岩の中段北側に回ると、真ん中に階段を配した巨大なライオンの足がある。


シンハー(ライオンの意)+ギリヤ(岩)でシーギリヤ。

岩の形がライオンに似ていたから名付けられたのだという。

当時はライオンの顔も造られていて、舌が階段だったそう。



岩山の上に上がると、王宮跡、王妃たちの部屋、ダンスホールにプール、玉座など、

当時を偲ぶ栄光のかけらが生々しく残っていて、おりしも降り出した雨が、王の寂しい

心の嘆きを醸し出して、何とも言い難い雰囲気に・・・。

王の心に寄り添ってしまったからか、涙雨は徐々に激しくなってきた。

滑らないよう気を付けて階段を降りる。


往路、閉まっていたらせん階段を上がって、シーギリヤ・レディーに会いに行く。

写真撮影が禁止なので、美人画をシェアできないのが残念だけれど、岩の中段に

彫りこまれた狭い窟に、当時は500人もの女性たちの絵が描かれていたのだそう。


切れ長で流し目のエキゾチックな顔、お椀というより、バレーボールみたいな球形の

豊満な胸には生々しく乳輪が描かれていて、腰は驚くほどくびれている。

蓮の花を持っていたり、食べ物を抱えたり、雲に乗っている女性もいる。


王妃や侍女たちが描かれているというが、まだまだ謎だらけのフレスコ画だそう。

崩落や盗掘などで、18人に減ってしまったシーギリヤレディーたちのことを思うと、

フラッシュで傷めないよう、カメラ禁止も致し方なし・・・。


スリランカに旅するのであれば、このレディーには必ず会ってほしい。

同性の私ですらトリコになってしまいそうなほど、美しくエキゾチックな女性たちは、
今なお、王様への無償の愛をもって優しく笑みを浮かべている。

岩の上の限られた生活の中、この部屋での500人もの女性との逢瀬は、王にとって

それはそれは快楽のひと時であったに違いない。