ジャズメンとしてのデヴィッド・サンボーン考察 (「大阪ヘンな看板の会」へ行ってきた) | 愛しのジャンポール

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友だちはスズメとカエルさんだけ


元BASSIST、現在ALTO SAX吹いてます♪

ヘンな音楽とかフツーの音楽とか、楽器、サクラ大戦、スズメ、カエルさんとか… 
ドーデモイイ日記ですがよろしくよろよろですのだ (・o・)

 
7月2日(日)晴れくもり


みなさま
ごまークマ



とても気になる駐車場があります↓

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1~4の車はどうするのですか?





今日は吉村智樹さんのトークショー「大阪ヘンな看板の会」へ行ってきました。
場所はふすま紙・和紙を扱う会社、カドカワ(株)さんのショールームで、昼の1時からの開催でした。

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吉村さんといえば宝島社「VOW」での面白看板の写真でご存知の方も多いかと思います。
町歩きをライフワークとし、ユニークな風景、場所、人などを発見しては写真に収めておられます。
そんな吉村さんがこれまでに撮り溜めた中から、大阪の面白看板をたっぷり紹介してくれました。


めっさおもしろかったです◎
吉村さんのイベントにハズレなしです!


おなじみの「中華料理キリン」の写真も登場しました。
ウチの近所なので私も今日撮ってきました↓

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説明するまでもありませんが「キリンやのになんでパンダやねん?!」ということですね。
現在お店は閉まってて「売物件」のプレートが貼ってありますが、パンダのテントはまだ残ってます。

お店は潰れたのではなく、実は少し離れた所へ移転しております。
その移転したお店の写真も撮って来ました。

こんなカンジになってます↓


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どうやらこだわりは筋金入りのようです。





さて、イベントの前に日本橋のディスクピアに寄りました。
CDのアウトレットセールをやってたので1枚購入しました。

またいつものスズメの公園に寄って記念撮影↓

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ボビー・ハッチャーソンの新譜『エンジョイ・ザ・ビュー』です。
新譜といってももう3年前の発売です。ボビー・ハッチャーソンも去年8月に亡くなってるし。


買った理由はデヴィッド・サンボーンが参加してるから。

以前からずっと買おう買おうと思いつつも、いまいち気が進まず買ってませんでした。
というのも私にとってのサンボーンは、80年代まででして…
そう、ライブ・アンダー・ザ・スカイに出演してた頃のあのギラついてたサンボーンが好きなのです。
彼のソロ・アルバムで言えば『クローズ・アップ』(1988)まで。


David Sanborn Group - Live Under the Sky 1988

ギラついてた頃のサンボーン。
ハイラム・ブロックもギラついてます。暑苦しいです。




サンボーンといえばフュージョン界No.1のアルト奏者であることに異論を唱える人はいないでしょう。
テナーのマイケル・ブレッカーと並びフュージョン・ブームを牽引した代表的サックス奏者です。
しかしマイケルと違い、サンボーンにはジャズの作品が意外にも少ない、というより殆んどありません。
その点でもこのボビー・ハッチャーソンのアルバムへの参加は貴重だと言えます。


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CDボビー・ハッチャーソン 『エンジョイ・ザ・ビュー』


ジャズ・ヴィブラフォンの巨匠、ボビー・ハッチャーソン(1941-2016)の37年ぶりのブルーノート復帰作。参加ミュージシャンはサンボーンに、現代ジャズ・オルガンの最高峰であるジョーイ・デフランセスコ、ボビーと同年代のドラマー、ビリー・ハートらによるクインテット編成。これらの面子が顔を合わせることになったのはブルーノートを低迷から甦らせた現社長、ドン・ウォズの提案によるものです。

ソロ活動が軌道に乗った80年代以降は、他ミュージシャンへの参加作がめっきり少なくなったサンボーン。彼が他人のアルバムに全面参加するのは近年では珍しいことであり、しかもそれがジャズ作品だったら尚更のこと。本作はジャズメンとしてのサンボーンを堪能できる、ファンには嬉しいアルバムです。といっても、ボビー・ハッチャーソンといえば60年代初頭のポスト・ハードバップとなる新主流派の人なのでビ・バップ~ハードバップの要素は希薄ではありますが…(ボビーといえば私はエリック・ドルフィー『アウト・トゥ・ランチ』の印象が最も強いです。)

以前に小川隆夫氏のブログで読んだのですが、サンボーンはジャズ畑出身のミュージシャンにコンプレックスを持っているそうです。ブレッカー・ブラザーズ在籍時にも「マイケルには敵わない」と何度も思ったそうです。アルト奏者は多かれ少なかれパーカー=バップの呪縛から逃れられないきらいがあるのですが、サンボーンの吹くフレーズには確かにバップ臭が殆んどありません。それがコンプレックスだったんですね。

サンボーンのアドリブ・フレーズを分析すれば分かりますが、主にペンタトニック・スケールで成り立っています。分かり易く言えばロック・ギター、ブルース・ギターと同じ音使いです。これこそが彼のバップ臭の希薄さの所以です。そこへフラジオやファズ・トーンを駆使した音色でギターのチョーキングやヴィブラートを思わせる表現が加わり、ハイバッフルのメタル・マウスピースによるかつてないサックスらしからぬ新しいサウンドを生み出したのです。ウォーレン・ヒルもサンボーンのフレーズを「エレキ・ギターのよう」だと評していました。

私の最も好きなサンボーンのソロは、ギル・エヴァンス・オーケストラのアルバム『時の歩廊』(1976)収録の「リトル・ウイング」です。このジミ・ヘンドリックスのカヴァーでサンボーンは、ビリビリに歪んだファズ・トーンでまるでエレキ・ギターのようなソロを披露しています。残念ながら音源がYouTubeで見つかりませんでしたが、別テイクらしきものならありました↓


little wing

やっぱりアルバム収録ヴァージョンの方がかっこいいですのだ。



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CDギル・エヴァンス 『時の歩廊』




フラジオ・トーンやファズ・トーンといった派手なテクニックばかりがサンボーンではありません。彼はハーフ・タンギングも実に上手いです。ジャズ・サックスの必須テクニックの1つに通称「DuDaDuDaタンギング」というのがあります。ジャズでは8分音符の続くフレーズは裏拍(「DuDaDuDa」の「Da」の部分)にアクセントが来るのですが、逆に表拍(「Du」)で軽くリードに舌を付けて音を籠らせて強弱を付けるというテクニックです。(因みにファンクだと表拍にアクセントが来ることも多いので、その場合は裏拍をハーフ・タンギングします。)

アルバム『ストレイト・トゥ・ザ・ハート(ライヴ!)』に収録の「ラン・フォー・カヴァー」を昔コピーした時、どうしても同じような雰囲気にならない、どうやらタンギングが通常とは違うなぁ、と思ったものでした。その時は今ほどネットが普及してなかったので、それが所謂「DuDaDuDaタンギング」というジャズ・サックス必須の奏法だと知ったのはずっと後のことでしたが…

下の動画は映像作品『ラヴ&ハピネス』収録の「ラン・フォー・カヴァー」ですが、マーカスのソロが終わった4:20~をご覧頂ければ分かり易いと思います。8分音符が「ドゥダドゥダ…」って聞こえるかと思います。これは表拍の所でいちいち舌でリードに触れて(完全に振動を止めるのではなく)「飲む音」を出しているのです。サンボーンはこれが上手く、ジャズの雰囲気を醸し出す要因の1つとなっています。


David Sanborn - Run For Cover (High Quality)

勿論この曲はマーカスのベース・ソロも必聴です。
アルバム『ストレイト・トゥ・ザ・ハート』とは別テイクなので聴き比べも楽しいです。




フュージョンでは間違いなく断トツのトップ奏者のサンボーンですが、一部の原理主義ジャズ・ファンには彼の実力を認めたがらない人も多いようです。特に80年代以降のサンボーンの人気ぶりは凄まじくグラミー賞も何度も受賞しており、そんな成功が余計に頑固なジャズ・ファンに「売れ線だ」とか「軟弱だ」と言わせることになったのでしょう。

ブルースやR&Bをルーツとし、ジャズにコンプレックスを持つサンボーンではありますが、勿論ストレートなジャズをやらせても一級品です。それを証明する動画があります。チャーリー・パーカー直系の白人アルト奏者フィル・ウッズと張り合えるテクニックとセンスを持つサンボーンの演奏をご覧下さい↓


Legends of Jazz: David Sanborn & Phil Woods - Senor Blues

凄く幸せそうなサンボーンの表情が印象的です。




サンボーンと共に私の2大サックス・ヒーローであるジョン・ゾーンは、過激でアヴァンギャルドな彼のイメージとは裏腹にかなりのハードバップ・マニアで、ブルーノート4000番台のレコード・コレクターとしても知られています。ハードバップ名曲をカヴァーした『ニュース・フォー・ルル』や、ウェイン・ホーヴィッツとのユニットでソニー・クラークのカヴァー・アルバムなどをかつてリリースしています。

それに対してサンボーンは、自己のルーツであるR&Bの巨匠、レイ・チャールズへのオマージュ・アルバム『オンリー・エヴリシング』(2010)をリリースしています。願わくはサンボーンによるスタンダードやジャズメン・オリジナルのカヴァー・アルバムというのも聴いてみたいものですが…けどいいです。1945年7月30日生まれ、今月末には72歳になるサンボーン。これからも達者で吹き続けてさえくれれば、それだけで十分です。



最近のサンボーンの動画↓

David Sanborn Live -Safaricom Jazz Festival

ずっと椅子に座ってて何だかしんどそうです。
晩年のオーネット・コールマンを思い出してしまい心配になってきました。


タバコもアルコールも口にせず健康には十分に気を遣っているという彼ですが… 71歳にしてはちょっとヨボヨボに見えます。84歳の渡辺貞夫さんのほうがずっと若々しく見えます。私はまだサンボーンのライブを観たことがありません。彼の元気なうちに生でサンボーンを観ておきたいです。


あとドーデモイイ話ですが、この動画を見てまず最初に気付いたこと。それは…

リガチャーが替わっているではありませんかっ!
(また、そんな話かいなっ。)

長年愛用してたハリソンではなく、どうやらビーチラー/ARBのメタル用のリガチャーのようです。
デュコフはビーチラー/ARBに比べて太いのでテナー用でしょうか。


因みに私のARBメタルのリガチャー↓

現行のは黒色ですが、同じ形をしています。





とまぁ、「サンボーンが元気なうちにライブ観ておきたい」という話で終わっておけばいいものを…
オタクというのはまったく困ったものですのだガーン


まー。






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