テリエ・リピダル参加…マルクス・シュトックハウゼン『カルタ』(2000) | 愛しのジャンポール

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元BASSIST、現在ALTO SAX吹いてます♪

ヘンな音楽とかフツーの音楽とか、楽器、サクラ大戦、スズメ、カエルさんとか… 
ドーデモイイ日記ですがよろしくよろよろですのだ (・o・)

 
5月21日(土)晴れ


みなさま
ごまークマ



今日5月21日は何の日でしょうか?

2006年のこの日、モンテネグロ独立の国民投票が行われた日です。
この投票でセルビア・モンテネグロからの分離独立が可決され、6月3日に独立宣言しました。
(以上、今ネットで調べたガーン

正直に言うと私、東欧ジプシー/バルカン音楽好きのくせに、この辺りの国については全く無知です。
独立やらでコロコロ国名が変わったりしててややこしくてよく分かりません。

ところでモンテネグロの音楽ってどんなのでしょうか? 誰か有名なアーティストはいるのでしょうか?
因みにセルビアならブラスバンドが盛んでボバン・マルコヴィッチが有名ですけどね。


Boban Markovic Orkestar Hava Naguila

ハバ・ナギラ! (因みにこの曲はイスラエル民謡です。)

この粘っこいグルーヴ! チャラン・ポ・ランタンとかの日本人の演奏もたくさんあるけど、全然違うね!
メガシブ◎





昨日ブックオフで買った280円CD↓
160520_214144_ed.jpg
ファランクスのオムニバス『スカヴィル・ジャパン vol.1』とジプシー音楽2枚。
DIWのファランクス・レコード、懐かしいなぁ。

90年代後半に物凄い流行ったスカコア、スカパンク。
日本におけるその代表的レーベルだったファランクス。
スネイル・ランプやスキャッフル・キング、ルード・ボーンズなどを出していたレーベルです。

当時はCD店勤務でジャズ/ポピュラー/ワールド担当の私でしたが…
J-POP担当がインディーズ商品について全く無知で、私が日本のメロコア、スカコアの発注もしてました。
私、メロコアもスカコアも大嫌いやったけどね!
特にメロコアなんてパンクでも何でもない。あんなもんお子様向けのポップスやとバカにしてましたから。

CDの売れない今では信じられないほど異常に売れましたね。商品を並べた先から売れてました。
J-POP担当の代わりに仕方なくやってたのに、自分の担当ジャンルの商品よりも断然売れましたもん。





さて、今日の記事はスカコアでもバルカン・ブラスでもありません。
マイブーム中のECMの作品を紹介します。

ECMは1969年、西ドイツにてマンフレット・アイヒャーにより設立されたレコード会社です。
「沈黙の次に美しい音」をモットーに確固たるレーベルカラーを確立し、数々の名盤を生んでいます。
これもひとえにアイヒャーの徹底したプロデュースの賜物と言えます。(悪く言えばワンマン社長。)

ECMを代表するアーティストと言えば、みなさまは誰を思い浮かべますか?
キース・ジャレット? パット・メセニー? チック・コリア? エグベルト・ジスモンチ? ラルフ・タウナー?
皆そうですね。ECMを支えている(支えた)アーティストです。

私ならECMと言えばこの2人…ヤン・ガルバレクとテリエ・リピダルです。
どちらも北欧(ノルウェー)のミュージシャンです。
アイデンティティーとも言える北欧特有の透明感あるサウンドはECMレーベルと相性ピッタリです。

テリエ・リピダルって全然ジャズっぽさがなく、むしろロック、プログレと言ってもいいギタリストです。
とはいえ変拍子とか他パートとのユニゾンやキメがバリバリとかの類のプログレではなくて…
どちらかと言うとデイヴ・ギルモアみたいに空間を浮遊するようなタイプとでも言えばよいでしょうか。
ただしギルモアとは違いブルース臭は希薄(そこが私は気に入ってる)で、個性的なギタリストです。

リピダルはレーベル黎明期から現在もなおECM所属アーティストとして多数の録音を残してますが…
現在廃盤状態のタイトルが多すぎます!
しかも凄いプレミアが付いてて買えません。(リピダルに限らずECMの廃盤は凄い高値が付いてる。)
非常階段のJOJO広重さんフェイバリットの『アフター・ザ・レイン』なんてアマゾンで1万円しますよ!
物凄く欲しいのに買えません。誰か買ってくだちい (・o・)



最近のお気に入りリピダル動画↓

Terje Rypdal & Palle Mikkelborg Project - XXI Festiwal Jazz na Starówce (1/2)

ストラトの音色がたまりません!
リピダルのギターにはトランペットが良く似合います。

このトランペット奏者は、1941年デンマーク生まれのパレ・ミッケルボルグ。
リピダルの『ディセンドレ』(1979)や『ヴォッサブリック』(2003録音、2006発表)に参加してた人。
その2枚のアルバムもめっさ欲しいのですが、一向に国内盤の再発が行われませんねぇ。
ECMの国内盤再発ってちょこちょこ行われてるのに、いつも肝心なのが再発されてないという…





今日はテリエ・リピダルが参加したこちらを紹介します。
トランペット奏者との共演です。



UCCE-1003.jpg
CDマルクス・シュトックハウゼン with テリエ・リピダル 『カルタ』



1999年録音、2000年リリース。カタログ番号ECM1704。国内盤ではマルクス・シュトックハウゼン with テリエ・リピダル名義となってますが、マルクス(tp,flh,piccolo tp)、アリルド・アンデルセン(b)、パトリース・エラル(ds,per,live electronics)、テリエ・リピダル(g)4人の連名によるグループのデビューアルバムです。

マルクス・シュトックハウゼンとは、メシアンのセリーを発展させたトータル・セリー音楽を生み、またケルン派の代表的作曲家として電子音楽のパイオニアである戦後ドイツを代表する音楽家カールハインツ・シュトックハウゼン(1928-2007)の息子です。とまぁ難しいウンチクはネット中にころがっており、本作を聴く上ではトータル・セリーやらなんちゃらといった親父のことは関係ないので、ただ音に浸れば良いだけです。

マルクスは1957年生まれ。6歳からピアノ、12歳からトランペットを始めています。父とは異なりジャズの奏者を目指しますが、1974年からケルン音楽大学でピアノとトランペットを正式に学びます。トランペットについてはクラシックとジャズの両方を学び、ジャズは60年代のドイツ/ヨーロッパ・フリージャズ黎明期を牽引したかのマンフレット・ショーフに師事しました。学業と同時に1974年からプレイヤーとしても活動を始めています。同校では82年まで学びました。

ジャズのプレイヤーとして活動する一方、1976年には父の作品「シリウス」の公演に参加。以降カールハインツはトランペットをフィーチュアした作品を次々と書き下ろし、それらの初演奏者としてマルクスが必ず参加することとなりました。親バカですね。1992年からはEMI Classicsの専属契約も交わしており、まさにジャズとクラシックとの両刀使い、二足のわらじでの活躍ぶりです。

本作の誕生の経緯を遡ると、1996年にマルクスとベースのアリルド・アンデルセンがアテネでのギリシャ人作曲家の作品の演奏会で出会ったのがそもそもの始まり。2人は意気投合し、デュオを組んで活動を始めます。そして1998年、マルクスが35歳のフランス人ドラマーのパトリース・エラルの演奏を聴いてノックアウトされ、翌年にはそのデュオに彼を加えてトリオを結成します。

早速そのトリオでのデビュー・アルバムの打ち合わせをECMレーベル・オーナーのマンフレット・アイヒャーと行います。その結果、アイヒャーの提案でアンデルセンと同郷でもあるテリエ・リピダルが加わることになり、トリオ+ワンによる本作『カルタ』がリリースされることとなりました。因みにアンデルセンとリピダルはECM初期に既にヤン・ガルバレクのグループで共演しています。その後の共演はさほど多くはなくとも言わば盟友同士であり、その黎明期から現在もなおレーベルを支え続けている2人です。

あらかじめアレンジされたコンポジションを用意してレコーディングに入りますが、結局は4曲しか採用されず残りは全てセッションでの4人の自由なインプロヴィゼーションを編集したものが使われました。アルバムの全11曲中、初め2曲と終わり2曲にコンポジション作品、それらに挟まれる形で7曲のインプロ曲を配し、さらに言うと1曲目とラストの曲をアンデルセンの曲、2曲目と10曲目をマルクスの曲というシンメトリカルな構成になっております。

インプロの7曲は編集が加わっているとはいえ、とても即興とは思えない洗練された演奏です。5曲目「アウマ」なんて極上のバラード作品と呼んでいいでしょう。繊細で叙情的なトランペット、それに寄り添うようにベースとドラムが音を紡ぎ、中盤で闇の深淵からリピダルの歪んだギターが現れます。同様に7曲目「インヴォケーション」もコレクティヴ・インプロヴィゼーションから自然発生的に誕生した美しいバラードです。

本作ではリピダルのギターだけでなく、パトリース・エラルによるライヴ・エレクトロニクスも効果的でサウンドをより深いものにしている点で見逃せません。ライヴ・エレクトロニクスと聞くと私の場合、即座にデヴィッド・チュードアやイアンク・ドゥミトレスクなどの現代音楽、そして非常階段やインキャパシタンツ、メルツバウなどのノイズといった、耳をつんざく暴力的な音を思い浮かべるのですが… こんな洗練された使い方もあるんだな、と。



YouTubeに音源があまりないですねぇ。とりあえず見つけたのを1曲…
ラストの曲「ライトハウス」です↓

Markus Stockhausen, Arild Andersen, Patrice Heral, Terje Rypdal - Lighthouse





あと、比較的最近の彼らの映像も1つ。(リピダルはいませんが…)
ベースのアリルド・アンデルセンのクインテットの2012年のライブです。

Arild Andersen Quintet Plays "Basswave " at Oslo Jazzfestival 2012 Composer Arild Andersen

随分とジャズで今日紹介した『カルタ』の音楽とは全く別物ですが…
トランペット/フリューゲルホルンにマルクス、そしてドラムはパトリース・エラル。
この3人の関係が今も続いてると知って何だか嬉しくなりました。


まー。






※後日追記

4人のライブ動画を見付けましたので貼っておきます。
アルバム収録曲ではありませんが、アリルド・アンデルセン作の佳曲です。

Andersen, Rypdal, Stockhausen & Héral - Hyperborean






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