『ロスト・イン・トランスレーション』映画鑑賞

『ロスト・イン・トランスレーション』映画鑑賞。初老の映画スターである主人公はウイスキーのコマーシャル撮影のため、妻をアメリカに残して来日した。ひとりで東京のホテル住まいをしながら撮影やテレビ番組に出る毎日だが、文化の違いに当惑し、うんざりし、時には苛立ちを隠せないこともしばしばだ。一方、カメラマンである夫と来日している若いアメリカ人夫婦が同じホテルに泊まっている。夫は仕事で朝から晩まで多忙を極めており、妻はその間東京を観光したり遊びに出たりするもののどこか満たされない日々を過ごしている。そんな映画俳優とカメラマンの妻があることをきっかけに出会うことになるのだが。恋愛的・性愛的な要素は全くない。異国の地で自国と文化の違う国で困惑する2人を描きながら、誰とも共有できないでいる孤独感や疎外感を見事に描いた秀作である。監督であるソフィア・コッポラならではの空虚感・倦怠感が実に見事に描き出されている。決して劇的ではないラストシーンには思わず静かな思いが胸に去来するに違いない。

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