『ゾンビ・リミット』映画鑑賞 | うさぎくんのお薦め映画ブログ

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『ゾンビ・リミット』映画鑑賞。感染するとゾンビになり凶暴化し無差別に人を襲う。しかし、適切な治療を施せば(最初のワクチン注射が効けば)ゾンビ化せず、今までと同じように生活できる。ただし継続的なワクチン注射は一生必要である。治療によってゾンビ化を免れた人々は「リターンド」と呼ばれる。リターンドは差別や偏見の的であり、おおっぴらに自分がリターンドであるとは言えず、リターンドであることを隠して市井に生きている。そんな世界が舞台である。主人公は女医。リターンド治療の専門医である。ある日、病院が襲撃され入院中のリターンドが大量に殺害される事件が相次ぐ。過激な反リターンド派によるものだ。ある重要な登場人物がリターンドであることによって、主人公のまわりにもにわかに殺伐とした空気が漂い始めるのだが。ゾンビが出てくるとはいうものの、ゾンビ出現率は極めて低く、いわゆるゾンビ系ホラーではない。設定こそゾンビ物だが、極めてシリアスな社会派サスペンスである。とてもよくできた脚本であり、構成も巧み。冒頭の謎めいたシークエンス、序盤から終盤にかけての豊かな物語性、暗喩としてのリターンド、そしてこれ以上は無いというくらいの哀切な終盤と、ぞっとする余韻に満ちたラスト。ゾンビやホラーが苦手な人でも鑑賞に耐える、非常によくできた作品。お薦め。