『ザ・ヒットマン』映画鑑賞。

『ザ・ヒットマン』映画鑑賞。舞台はベルギー、アントワープ。主人公は殺し屋である。依頼主から仕事を請け負ったが、ある人物を殺害することをためらい、結局殺さないままその場から逃げてしまう。主人公はなぜその人物を殺さなかったのか。そのために依頼主と警察の双方から追われる身となってしまうのだが。序盤からいくつかのシーンで暗示されるが、主人公は自身の内部で起こっているある異変に気付いている（それが何なのか明示されるのは終盤になってから）。そしてその「異変」はきわめて重大なものであり、そのことが主人公の苦悩の一つとなっている。依頼主は誰なのか。殺し屋を雇うほど必死なのはなぜか。主人公の抱える悩みは何なのか。冒頭の緊迫感あふれるシークエンスはその後の展開とどう繋がるのか。幾つもの謎を秘めながら物語はじっくりと進んでいく。ストーリーや主人公の人物設定について少しでも書いてしまうとネタバレとなり、興趣を削ぐ恐れがあるので一切これ以上触れない。実に見応えのある、充実した内容である。随所に散りばめられた伏線の数々と、その回収振りも見事。冒頭からラストまで全く途切れることなくストーリーは緊張感を保ちながら続いていき、エンドロール直前では胸のすくようなカタルシスが我々を待ち受けている。うさぎくんにまた騙されたと思って観て欲しい。お薦め！

 似たようなタイトルの映画がたくさんあるので注意。この作品は2003年のベルギー・オランダ合作映画。

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