『ロブスター』映画鑑賞 | うさぎくんのお薦め映画ブログ

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『ロブスター』映画鑑賞。男はそのホテルに45日間泊まることができる。滞在中にホテル内で伴侶ができないと動物にさせられる。男の兄は犬にされた。ホテルの女主人から「もし伴侶ができなかったらどんな動物になりたいか」と事前に訊かれ、男は「ロブスター」と答える。このようにして男のホテル生活が始まる。何という奇妙な設定の映画なのか。なにがなんだかよくわからないまま、我々は主人公とともにこの不可思議な世界の住人となる。

この作品は何かのメタファーとしてみることももちろんできる。むしろこの監督の意図はそこにあり、おそらくこの映画に何らかのメッセージを込めているであろうことは容易に想像できる(意図したいことはかなり難解だが)。kafkaesque という言葉がある。「カフカ的」と訳されることがほとんどだが、意味するところは、前衛的で難解な、かつ20世紀を代表する他に類を見ない孤高の天才作家であるフランツ・カフカの作品(『変身』、『門の外で』(これは訳によって『掟』『掟の門で』などとなっていることもある)、『審判』、『城』)などで明示・暗示される「不気味な官僚機構の構造に阻まれて身動きできないというような不可解かつ不条理な状況を表す概念」、として使われることが多い。カフカ的とは、通常上記のように不可解な状態を形容する言葉として使われるが、時には原義に戻ってカフカの作風のように象徴性を暗示するものとしても使われる。

さてこの作品はどうであろうか。監督の込めた暗喩に満ちたメッセージに頭を悩ますのもよいし、なんだかわからないまま奇天烈な物語世界を満喫するのもよい。知的好奇心を存分に満たすと同時に、そんなことはあまり考えず奇想天外な物語世界に身を委ねるのもよい。個人的には今年観たあらゆる映画の中でベスト3には確実に入る年間ベスト級の傑作である!あらゆる人にお薦め!とはとても言えないが、少なくとも変な映画好きには超お薦め!