『闇を生きる男』映画鑑賞 | うさぎくんのお薦め映画ブログ

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『闇を生きる男』映画鑑賞。冒頭、靄に包まれた森を背景に男の声のモノローグ。そしてオープニングクレジット。場面変わる。主人公は男を殴り、自分のところとの取引を継続するよう凄む。主人公は家に帰る。裸で座っている。全身が筋肉で覆われている。やおら立ち上がり、自室の冷蔵庫を開ける。中には小瓶に入った大量の薬品や薬物がある。その薬品を注射器で自分の腕に注射する。静かにしかし緊張感漲るこのようなシークエンスからこの映画は始まる。主人公は畜産業を営むが、成長を促進させるため違法な薬品を注射した牛を売っている。主人公は怪しげな精肉業者と関わるが、違法なホルモンの不正使用を調査していた刑事が殺されたことをきっかけに、主人公の20年前の忌まわしい少年時代が詳らかにされていく。現在と20年前の出来事が微妙に交錯し、事態は緊張感を孕んだまま思わぬ方向へと進んでいくこととなる。怒り、哀しみ、絶望、諦念。やり場の無い自分の心を筋肉で包み込まざるを得なかった主人公の醸し出す、暗い情念が全編を支配する救いのない凄まじい映画がベルギーから登場である。お薦め。