『ジャッジ　裁かれる判事』映画鑑賞

『ジャッジ　裁かれる判事』映画鑑賞。主人公は弁護士。誰が見ても有罪確定と思われる案件を次々と無罪にすることで知られている。有能であることは間違いないが、全ては金のためだ。正義のためではない。大金を積めばどんな詭弁を弄してでも無罪にする。傲慢で、自信家で、弁が立ち、豪邸に住み、高級車を乗り回す。ある日、母親が亡くなったとの連絡が入る。葬儀に向かうが、妻と娘は連れていかない。このあたりで、どうやら主人公が父親に複雑な感情がありそうな雰囲気が漂い始める。実家に帰る主人公。微妙に浮かぬ顔だ。主人公、判事である父、主人公の兄と弟と家族が出揃ったところで、物語が動き出し、父にまつわるある深刻な出来事が起きる。それは、主人公と父親の葛藤の元と繋がり、さらに、父の下した過去のある判決とも関係がありそうだ。その後の主人公の行動は過去と現在の父との関係の在り方とリンクすることになっていく。法廷物、謎解き、父と息子の複雑な思い、そして父子関係の軋轢とそれを修復しようとする試み。巧緻な脚本、劇的な展開。極めてよくできたストーリーに時間を忘れて見入ってしまう。深みと広がりと静けさを同時に併せ持つ、素晴らしくよくできた逸品。お薦め。