『天才スピヴェット』映画鑑賞 | うさぎくんのお薦め映画ブログ

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『天才スピヴェット』映画鑑賞。主人公はT.S.スピヴェットという名の10歳の天才少年。父と母と姉とともに大自然に囲まれたアメリカのモンタナに住んでいる。父は時代遅れの西部劇に出てくるようなカウボーイのような生活を好み、母は昆虫学者として研究と昆虫の標本作りに明け暮れ、姉はミスコンテストに出たいと思ったり女優になりたいと思う年頃のティーンエイジャーである。主人公は科学に強い関心を示し、秀でた才能を持っている。どのくらい秀でているかというと、学校の宿題で出された課題を深く掘り下げ、「モンタナの湖の生成過程と渡り鳥との関係」について書いたところ、学校の先生にはC⁻と低い評価をされたが、同じ文章を送った「ディスカバリー」誌には掲載されたり、理論上存在しえないはずの「磁気を利用した永久運動機関」を発明したりするほどである。そんなスピヴェットに「磁気を利用した永久運動機関」を博物館を擁するワシントンDCのスミソニアン協会に送ったところ、賞を受賞したため授賞式でスピーチをしにワシントンまで来てほしいと連絡がある。父が発明し送った物だと嘘をつき、自身がワシントンに赴く主人公だが、はたしてどうなることやら。


コミカルで不思議な浮遊感のあるロードムービーかと油断していると、私と同じように終盤で思わぬ展開に号泣する羽目となる。この作品は確かに少し風変わりなロードムービーの感を呈している。しかし、主人公がスミソニアン協会で受賞のスピーチを始める終盤あたりから、この映画のテーマが明らかになる。ワシントンに行くまでの妙に長いなと思わせる序盤から中盤にかけての展開は、実は終盤の見事な伏線となっており、コミカルな要素や浮遊感のある視覚的効果に眩惑されているうちに、我々は思いも寄らぬ地点に着地させられていることに気付くことになる。主人公の発明した機関がある出来事と深く結びついていることに気付いた瞬間、あまりの素晴らしさに思わずため息が出た。とにかく楽しく、いい映画。エンドロールも洒落ており、いつまでも観ていたい気分になる。お薦め。