①の続き
そのまま三人は屋台作りを終え、ちょーこの提案で三人で一枚の紙に「記念の絵」を描くことになった。
一緒に物事をする時には大抵自然と会話が生まれるものだろう。
「大人になったら何がしたい?」
いろんな色を使いながら、まなみが二人にきいてきた。
「博士になりたい!かわいいものが大好きだから世界をかわいいでいっぱいにする博士に!!」
と、ちょーこがここでも元気に答えた。
ちょーこはいつもカラフルな服やぱっちんどめをつけていて、それを集めたり作ったり絵を描いたりしていた。
それを聞いたはるきは、自分の好きなものを考えた。そしてここでも素直に、
「わたし、やっぱり歌が好き!大人になったら、もっともっと歌を歌いたい!!」
二人の答えを聞いたまなみは、なんだかとても嬉しそうだった。
しかし、どこか寂しそうな顔もしていた。
絵が完成した。
ちょーこ、まなみ、はるき
紙いっぱいにカラフルな笑顔の三人が並んでいる。
まるで記念写真だった。
絵ができた達成感に浸っていたが、
質問してきた本人の答えをまだ聞いていないことにはるきは気づいた。
「あれー?まなみちゃんは?まなみちゃんは何がしたいのー?」
まなみは出来た絵をじっと見つめながら、
「…わたし、大人になったら、この絵になりたい!!」
と、答えた。
「この絵に?」と拍子抜けしたように聞き返すはるきに、
「うん!ねぇ、大人になっても、ずっと一緒にいてくれる?」
「もちろんだよ!!」
「一生、一緒?」
「「一生、一緒!!」」
まなみがなりたいと言った三人で描いた「記念の絵」は、写真よりも笑顔で、鮮やかで。それはきっと、それぞれの個性が描いた「憧れ」や「夢」なのかもしれない。
あぁ、こういう時に、いつも終わりのメロディーが聞こえてくるのだ。
5時の鐘が鳴った。
もうすっかり夕焼け空になっていた。
お家に帰らなくてはいけない。
三人はそれぞれに
「バーイバーイ!!」
と、お互いが見えなくなるまで手を振った。
手を振りながら、まだ笑い声に包まれる中で、
……
…
ーはるきちゃん……てね…ー
はるきは誰かにそう呼ばれた気がして、目が覚めた。
「…あれ?」
すっかり暗くなった誰もいない部屋で、パソコンの明かりだけがぼんやりとはるきを照らしていた。
「夢だった、のか…なんか懐かしい夢だったなぁ。大人になったら、か…」
はるきは今、東京にいる、どこにでもいるOLだ。
ーはるきちゃん………
「っ…わたし、やっぱり歌を歌いたいな…!」
そうして歌う”はるきねる”の物語が始まったのであった。
「ーはるきちゃんワンマンライブ頑張ってね!!ー」
2018年4月1日@池袋FIELD
はるきねるワンマンライブ
「三日月の森の音楽会」
ゲスト 美少女博士は友達が少ない(ちょーこ博士)
かききまなみ
まなみの夢は、まだ終わっていない。
いかがだったでしょうか~
読んでくれてありがとうね!
~Another world~
アンコール曲
「黄泉がえれ祭灯」
あの頃、みんなで集まって描いた夢を忘れず、どうか叶えて欲しいという思いを歌詞に込めました。
ステージではうまいこと言えずw
そう思うのはいろんな理由があるけれど、わたしのおじいちゃんが、自分のやりたいことを十分に出来ないままこの世を去ることになってしまったことがひとつのきっかけです。
そしてやっぱり、
「わたし達は今も、子どもかもしれない。」というのが、活動初期に決めた、わたしの活動のテーマですから。
長く読んでくれてありがとう。
そういえば生誕祭でしたね。
まなみちゃんは…きっと、これを読んだ皆さんの心の中のどこか遠いところで生まれていた子だったんじゃないでしょうか。
そういえばまだ言ってませんでした。
「まなみちゃん、お誕生日おめでとう。」
かききまなみより