場所を変えて、エルサルバドルは2001年から完全ドル化となっており、コロンはもう見かけることが無い。法的にはドル化以前に通貨だったコロン(コスタリカのコロンとは無関係)で売り買いが出来るが、その紙幣が一度銀行などの金融システムに入るとドルに変えられてしまうので、コロンを見かけなくなってから久しい。エルサルバドルでもドル化に突入した当時、ドル化支持者はコスタリカ同様の理由を元に通貨変更の必要を唱えた。
それから10年近くの日々が経ち、支持者が言う通りにエルサルバドルでは金利が下がった故に資金調達コストと共にインフレ率も下がった。但し、通貨の切り下げが出来ない為にエルサルバドルの輸出物品が、通貨切り下げ出来る競争相手の物に比べて競争力が減り、逆に輸入品が安くなった為に既に消費過剰になっていたエルサルバドルの消費経済の悪い性格が一層顕著になった。為替の安定に関しては、エルサルバドル・コロンは90年代の殆どの期間において安定しており、この要素においてはドル化がもたらす利益は当初より無かった。よって、もしドル化が実際に何かに役立てたのなら、サルバドルの長期経済成長へのインパクトだが、上記の如く10年近く経った今でもドル化の好影響は見当たらないどころか、エルサルバドルは中南米でも最低レベルの経済成長率しか達成出来ない国となってしまった。
エルサルバドルの場合は、アメリカ在住のエルサルバドル国民から送付される多額の家族送金が同国経済の生産に対して重要な抑制効果を課しているが、コスタリカにとってはこの問題は殆ど存在しない。だが、既に中米域内では経済レベルが高く、高度成長を達成しているコスタリカにとってドル化が本当に正当な経済政策であるのか、或いは、もしドル化をしてもコスタリカの高度成長は今まで同様、留まる事無く維持出来るのか、大いに疑問であり懸念される。