指導者無き中米-だが、日本のリーダーシップのレベルは? | <現地発>中米政治・経済・社会についての考察&見聞録

<現地発>中米政治・経済・社会についての考察&見聞録

長年中米に在住する某国政府経済情報局部長である経済学博士が繰り広げる、最新の中米の政治・経済・社会に関するクリティカル・ディスカッション。日本との関係や違いを考慮し、小国ではあるがバライエティーに富んだ中米各国、また中米域全体の魅力についてのご紹介。

中米の国々の様な小国である発展途上国の大きな問題の一つに、指導者たるものもっていなくてはならない指導能力の欠如がある。指導能力の欠如は多分野の指導者に顕著に現れる。この問題は国家規模の重要な問題でありるが、これは企業や国の行き先を明確に示されない国民はなすすべが分からなく、経済発展の最短ルートを直進せずに迷宮入りし、さまよう事になるからである。行く手がはっきり示されなければ、発展なぞはまるで幻影のものになってしまう。

中米ではこの指導能力の欠如が民間セクターで確認出来るのだが、その代表的な結果が企業、及び雇用の数の不足だ。当然ながら指導能力を欠かさずに持っていなければならない起業者が十分に居なければ企業も少なく、雇用も少ないと言った事態となるが、中米の民間セクターではこのロジックが当てはまる。また、中米では零細企業数がより大きな企業に対して圧倒的に多いのだが、指導能力に劣った企業家が成功した挙句に事業を拡大出来る筈が無いので、この結果は当然のものである。更に言えば、中米の零細小企業の経済部門を代表する企業連盟は殆どなきに等しいのだが、これも貧弱な指導能力が生んだ結果である。

上記の現状は中米の政界でも反映されているが、その最も悪しき例の一つは各国会議員の国民による信頼の無さではないだろうか。各国の国民を対象としたアンケート調査によると、中米の国会議員は政治家どころか国を率先する如何なる組織に属する者の中でも最も悪評を誇るが、その理由は国の利益を優先した形で任務を実行していないからだ。

この悪名高き国会議員の的を得ない振る舞いの最近の例では、中米地域では既に高いレベルにあるコスタリカの国会議員自らの給料を月給US$9,000に引き上げ、現状の2倍に増やす法案を可決した。最低賃金が月給約US$200に満たなく、財政赤字にある中米でこの様な、政府予算を大きく増大させるとんでもない方策を施行したらどの様な政治問題になるかは、中米に居られない方々でも容易に想像がつくだろう。幸いにも先日就任したばかりのコスタリカ大統領は同法案に対して拒否権を行使したので法案は行き詰まり、それ以上の進展は見込まれないが、こう言った議員の傲慢な態度に国民からの信頼感を十分に得られない、指導能力の欠如が理解出来るだろう。

場所は変わって、日本はどうだろうか。実は今回の記事の題名は、小職が愛読する政治・経済週刊誌「The Economist(ザ・エコノミスト-イギリスで発行の英字新聞)」の最新号に掲載された記事からアイディアを得たのだが、その記事の題名は「指導者無き日本(リーダーレス・ジャパン)」。先週発行された号なので、この題名が鳩山首相の辞任の記事を指している事は即分かる事だろう。

同記事では、2006年から日本は5人の首相が就任した、と日本の政治家の弱き姿を嘆いているが、政局不安定の中米でも任期満了出来ない大統領は近年では珍しい。一方では日本の民間企業も、圧倒的な力を誇っていた過去とは裏腹に勢いの衰えが明確であり、変革をもたらすべくリーダーの姿は見当たらない。上述の記事に日本国旗の日の丸が抜け落ち、落下し続けるイラストがあるが、どこまで落ちる事やら・・・。