元祖『固茹で卵子の愛し方』〜日常ではあまり目にすることの出来ない稀有な脳内〜】


そーいえばワタシは気まぐれに文章を書くのであるが、どうやったら『文章を書くこと』が出来るのかいまだよくわかっていない。誰かから「書け」と言われて「おっし、まかせろ。書いたるでウェーイ!」と決意し、1時間後に「ほれほれ1キロ千円だよ、もってけドロボー!」的に文章が書けていた、という展開にこれまで至ったことがない。子供の頃から『某月某日、ある女が痴情の絡れで交際相手から殺されました。そのついでに男は女の顔にウンコして逃走した模様』などいう体験記しか文字が頭に入ってこない人生を歩んできたのだが、その割には「はああぁぁっ!なんか知らんが文章書くの気持ちいいっ!見てっ!お母さーん!!」。イタコ的に『文字LOVE』な不慮の事故あり、規則正しく文章を書くという術を知らんのですが、気まぐれに綴ってみようと思います。


とはゆうものの文字を書いてお金を稼いでいた、という白痴な時代がありました。時は20年近く前に遡るが、web界隈にて『出会い系サイト』という男女の盛り場があり、当時ヒマはあったが金のなかった私は、あわよくばその場で出会った男から派手に鐘を鳴らせればよろしいおますねと、手軽に登録したのであーる。当時の私の資本調達のスローガンは『楽して稼ぐ』『支援者募集』である。殺人までには至らぬが首都圏連続不審死事件の木嶋佳苗っちバリバリのノリだったのDEあーる。そんな時系列的にはワシのが早いがキジサナ見習いが出会い系にてお金を頂戴ねとする手法が以下である。


まずはプロフィールの作成が肝であるので、吉本ばななかどっかの本の表紙からパクッたオサレなイラスト画像をプロフィール写真に設定。実際の写真画像はNGである。どんな殿方にも好みが存在し、あらゆる殿方を範疇とするには、イラストでもってお相手様に自身の最上をイマジネイションさせるを正解とする。など姑息と虚飾と嘘を塗り固めた欲望の化身が以下となる。


【キジサナ的お相手してねプロフィール】

プロフィール:もちぷる

性別:女性

住まい:東京都文京区

年齢:21

身長体重:150センチ42.195キロ

趣味:アイロンがけ、コーヒーを丁寧にたてる

好きな男性のタイプ:中華丼だったらうずら卵を最後に食べるひと

ひとこと:とても静かなお気に入り喫茶店でコーヒーを飲むのが好きです。先日もハードカバーの『ロフト』というイギリスの写真集で、つまり、古工場を使いやすいよう改造して芸術家たちが使っている写真集を眺めてたんですが、ながらコーヒーのため、プギャー!コーヒーをこぼしてしまい、下着まで濡らしてしまいました。そこのお店のコーヒーカップは五角形なので、角から慎重に飲まないとそうゆうことに{摂取47℃。しょぼーん。どなたかお茶でもご一緒しませんか?


そしてPRの末尾に『少しだけ、お金に困っています』風味を添えて完成である。清楚文系でありながも、少し頭が足りない風味を加味するのがワッシ流です。プロフィールを作成すると鬼のごたる勢いで男性からメッセージが届くのであるが、大体が①とにかくすぐヤリたい族②まずは友達から始めませんか族③お説教族、にジャンル分類されるであります。


①【例)すぐにヤリたい族】

『3出せます、週末遊びませんか?』(杉並区・カイ)

『心のセックスなら得意かも(^^)まずは会いませんか?今晩なら暇です』(世田谷区・ヒロシ@絶賛中折れ中)

『もちぷるって名前、オモロッスね、じぶんオッサンす。巨乳好きっす。もしオッパイがデカければ返事待ってまーす、もちろん¥アリで』(中野区・サンプラザ)

『こんばんは中出しできますか優しくしますよ』(新宿区・K


②【例)まずはお友達から族】

『どーもー。都内に住む32歳です。週末DJしてます。あー、我が家の三角形コップでもタマにやらかします、コーヒー溢すの。なんでコンナ難儀なカップで飲んでるのかっ!と時折、考えたり考えなかったり。せっかくなんだから一緒にコーヒー溢す旅に出ませんか?』(杉並区・カンパリはロックで)

『五角形のコーヒーカップ?。。。知りません(>人<;)ロフトの写真集?。。。余計にわかりましぇ〜ん┌(; ̄◇ ̄)┘最近聴いてる曲は。。。ベートーベン、ショパン、バッハ。。。ってとこでしょうか。。美しい音色は心が洗われますよ。こんな40過ぎのオサーンですが(^^)にゃばっ🎵』(小金井市・もぅそぅ奇面組)


③【例)お説教族】

『えっち好きなんですね。素人がお小遣い稼ぎでやるのは相手にしたくないですねぇ...』(品川区・パセラ)

『現代社会を憂う内容、コンビニ寄ってミニ大五郎でも飲むといいよwwww』(那覇市・ミユキLOVE


まぁ、発信元がロクな奴じゃないわけで、類は友を呼ぶというワケで、寄ってくる輩も地獄最前線であることは間違いないワケで。ワケで。ワケで。ワケばっかりで。違う、違う、俺の好みはぁ〜っ!by靖幸てな具合なんだが、このように男と女の騙し合いの成れの果て。旅の最終地点・ゲッツマネーに至るは『その男ゾルバ』なのでありました。以下やり取りの覚え書き。


ゾルバ『こんにちは、もちぷるさん。自己紹介でお金のこと読みました。本当にお金に困っているのならご両親に相談するとよいです。きちんと両親に説明して借りて返せばいいんです。あなたはもういい大人です。僕は安易に援助交際に流れて戻って来れなくなった女性を沢山知っています。まずは両親に相談してみてね。それだけを伝えたくてメッセージを送りました。失礼します』

私『はじめましてゾルバさん。メッセージありがとうございます。お金、親に相談できそうならしてみますね。心療内科に通っています。両親には相談したり頼ったことがないですが頑張ってみようかな』

ゾルバ『ご事情がおありなんですね。ご両親は無理そうですか? もしご無理なら僕が毎月支援することも可能です。しがないサラリーマンですから多くは振り込めませんが。僕はココで色んな女性と出会い、女性というものに失望してしまいました。僕が一方的に送金するだけでは貴方も困るでしょうからメール交換しませんか? 但し条件があります。僕は夢をみたいだけなので、貴方には会いたくないし恋愛感情はNGです。本当の年齢や住所、職場、リアルな情報も一切不要です。お金のお礼の言葉もいりません。ただ友達感覚でメールのやり取りをしてくれるだけでいいです。』

私『ほ、本当ですか?』


アッシは「うほほーい」と、早速お相手にメールアドレスと銀行口座を教え、半信半疑でメールのやり取りを始めた。すると月初めになると六万円が入金されるのであった。振込名は『サイトウ』だったがたぶん偽名だろう。


そんな彼(ゾルバさん)とのメール内容のほとんどは、日常の些細な出来事であった。昨今流行りのサイバーセックス的な性的な話題も皆無で、当時はたまーに本を読んでいたため、小説の感想を書いたり「好きな洋楽アーティストが来日するんです~!!(でも行けないけど)」と、ツラツラとそのバンドに関して熱く語ったり、「アルバイトの面接に落ちちゃいました〜(自己PRに干しブドウタベレマセンが良クナカッタカッ?)。来月はいいことあーれ」「ちっちゃいカタツムリ見つけた。小規模ながら暖かなファミリーを築くです(笑)」などという至極一方的な、まぁチャランポランな内容であった。お相手に対しても単なる『都合のいい金ずる』という認識しかなかった。


そのような関係が数ヶ月続いたある日。唐突に酔っ払った彼から「...しかし貴方は文才ありますねぇ。ひょっとしたら貴方のペンで他人の人生を変えてしまうコトが出来るかもしれませんね。それがボクだったり? ああ...いいねぇ。バンドブーム到来で、ボクもフォークギターでブームの『からたち野郎』最高だねーと、奏でてはみるけれど、さて自分のオリジナル曲ってなると恥ずかしいかなぁ。貴方が正直羨ましいです。実に。あ! そういえば友人の結婚式で音楽担当になりました。新郎新婦入場時に、一休さんとアンダーワールドのボーンスリッピーいじりながら、猪木ボンバイエで盆踊りはどうかなぁ〜。恥ずかしいなぁ〜』という、なんとも胸キュンものの内容であった。セ、センスいい...。文才あるのは君ジャマイカ。うおっとおっ!オトをいじるのが趣味だなんて初めて知ったじゃん素敵ッ♡ 文章を褒められることは初めてじゃないけど、キミから褒められるの、宇多田ヒカル風味に曖昧な態度で特別嬉しいよボク、だとか。会ったこともない相手というに、淡い感情が空にシュワシュワ舞って『し・ま・う・ん・で・す』な、桜の季節だった。そしてワタシはようやく気づくのだ。いつしか彼に恋心を抱いていたということに。だがこの感情は御法度であーる。『お互いのことを好きにならない』という約束を出会い当初交わしとったとです。気付けば出会って早10ヶ月が経過していた。好きな気持ちを隠し切ることのできない不器用なワタシは、なにを思ったかメールを連打してしまう。


「あの、あのっ。『ボンバイエではなく猪木はボマイエ?』ってタイトルのメール届きましたっ?2時間チョットかけた文なんだけど、もしや送信に失敗してるかもしれないです。うるる、かなしひ。今から同じ文打てといわれても打てないよう!あー!届いててー!」

「あうあう。さっきのメール、やっぱり保存できてなかったです。送信メッセージ保存にしとけば良かった。あーーーーーー。ショック。はーーーーーーーーーーーー。いっぱい書いたのにーーーーーーー」

「あああああああああああああああああ

あああああああああああああああああああああああああーーーーーー@@@@@

「おいら漫才師かあああー」

「あの、、、あの、、ゾルバさん?」

Re:あの、ゾルバさん?」

ReRe:次のメール読まないで下さい」

ReReRe:絶対読まないで下さいね」

ReReReRe:・・・」

「あ、あの、あ、好きです。ゾルバさん。じゃ、なくて、アナタ、が、好きです。大好きです。これまで頂いたお金使って、ないです。全額、お返しします。どうか、どうか、一度、お会いし、て下さい』


ああっ!ゆってもた、ゆってもーたぁー!!ふにゃーん。好きです。ゆってもたワシ〜!!しゅん。うん、うん、確かに振り込まれたお金さ、全額使ってないのよね。なんか使えなかったんよね。やっぱお金より大切なもんあるよねっ絶対!ゾルバ、ゾルバ、ゾルバの行進!!


返信を待った。1分、2分、3分、1時間、2時間、3時間、3時間1分、3時間2分、3時間3分、1日、2日、3日進んで2日下がる、その翌日も次の日も待った。頭がおかしくなりそうなほど待った。狂うぞゾルバ。お願い間違いでいいから返事来いゾルバと、珍しく神様にお願いごとをした。けれどその後。2度と返事がくることはなかった。3か月後になるとメールアドレスも変わってしまったようだった。あっけない振られ方だった。そういえば大ヒットしたKANのシングル曲『愛は勝つ』のB面が『それでもふられてしまう男』なのって知ってた? 愛は勝つって宣言しといてフラれちゃマズいだろ。ハハハ、ハハハハハ...


さくら、さくら。いつもの公園を歩く。徒歩徒歩どうちゅう、桜吹雪に宿るは精霊くんを見てたら否、いぬのフンを思わずグニャっと踏んでしまう。あ〜、せいしゅんだなぁ。あのメールのやり取りはほんとだったのかなぁ。もし本当だとしたらあれから少しはマシになったヲイをすこぉしは見てほしいぞゾルバさまぁ、とチラリ思う。だが恐ろしいことにゾルバさんから送金してもらった60万円ものお金は、呆気なく散財し、何に使ったのすら全く覚えていない。ラクして得たお金なんざー大切に使わなんもんだなぁと濁った頭が実感。結局アホな女であった。で、えーと!なんだっけ?ん?ん?プシュッ!っとおーっ!各種取り揃えまして、つきましてはコチラ地下2階、木村なな恵さまお綴りの文章ルームです。昔話を嘆かれておりますが、人との摩擦を極力避けてきたワッシは、ホーミーなどで宇宙世界との共振を試み、超エクスタのスパパーン状態で、正確には全くホミってないであるが、己のホミのズレ感に「おおっ!今ホミがスベッとるぞ!」ってな具合で、これまた無茶苦茶新鮮、揚げたてエビフライの如しの感動なのである。かつて横尾忠則が著書『インドへ』で「インドではドラッグはいらない」と綴っていたが、ココ木村界隈にはドラッグなしで意識を軽く超越しそうな磁場であーる。人は表現の何に心を動かされるのかというと、技術やテクニックもあるだろうが、不器用でもナニかに向かうそのひたむきさであったり、ありのままの人となりだったりするのでござう。人生歌ったり喋ったりとピクニック気分でドットコム。そうこうメシ喰って帰宅したら時計の針は24時を回っていた。全くもって木村時間はフレッツ光通信と兄弟バンドである。


てなわけで数々の黒歴史を持つ木村なな恵であるが、その間、デカチンだが腹の肉が厚すぎて挿入に至れずの外国人やら、金玉88箇所お遍路ピアス男、黒電話かけながら義理母にイクイク叫ばないとヌケないマザコン男、ウンコ塗りたくりザーメン2メートル飛ばし男、死んだお父さんと二人羽織の3Pプレイ男などなど、珍味な方々が千人以上通過したとかしないとか。わわわっ!それはワシのことでおまんがな。ま、世の中には色んな人がいるのでござい。元祖『固茹で卵子の愛し方』。人間の原種に戻りた〜い! ほんにゃら、ほにゃらら〜。うを〜いッ!誰かこの人をどうにかして下さいッ⭐︎(文責・キムラ)