まいにちフランス語 9月号のメメントダルベリックに紹介されていた本
Au Bonheur des Dames (ご婦人たちの幸福の処)
エミール・ゾラの「ボヌール・デ・ダム百貨店」
600ページほどある大作ですが、面白くて止まらなくて、目がおかしくなりながら休み休み読み終えました 。
読み始めたばかりで書いたのはこちら↓
1852年に世界初の百貨店(デパート)がパリにオープン、そのボン・マルシェ百貨店を題材にした小説
世界初のボンマルシェ百貨店(写真はネット上より拝借)
今では理論化されている行動経済学を、2世紀も昔に実践していた天才経営者のオクターヴ・ムーレ(登場人物)
女性の心理と行動を見抜いて、買いたい衝動を盛り上げるための趣向を凝らす店内ディスプレーの数々は、とても170年も昔とは思えない。
エミール・ゾラによって細部まで写実的に書かれているので、色彩豊かで匂いまで感じてデパートの中を読者自身が歩いている感覚になります。
写真はBon Marché の動画からコピーさせてい頂きました
特に全館をあげて白一色のディスプレーに白物だけの商品の大展示会(バーゲンセール)は圧巻で、TVドラマを制作して再現して欲しいと思ってしまいます。
19世紀のフランスを代表する作品だから、その内できそうな気がするけど。。。
白物セールの広告
写真は「デパートを発明した夫婦」から
布地や服などの衣料品中心に始まり、銀行(貴族)からの巨額の資金で織元から大量に安く仕入れて、大バーゲンをする。
マイナス利益の安売りをしてでも在庫を残さず、売り上げの資金を常に回転させて店舗を拡張する。
その度に商品の販売量や部門が増えて、何でも買える巨大百貨店に成長していくのですが、それと並行して老舗の個人商店が次々に倒産していくという残酷な現実も書かれています。
もちろん物語なので主人公がいて、レミゼラブルを読むように波乱万丈で、その舞台がナポレオン3世時代のフランスのパリで、巨大デパートということです。
ジャポニズムの人気も少し書かれています。
新装開店の店舗は当時最先端の鉄骨で、中央部吹き抜け。正にエッフェル塔が生まれた19世紀の建物。
写真はネット上の Bon Marche から拝借
ストーリーを書くとネタバレになるので、読んでからのお楽しみに。
モデルになったボン・マルシェ(現在もある)に行ってみたいな
コンテンポラリーな今のボンマルシェ(写真はネット上より拝借)
ロンドンでは大体のデパートでお買い物しましたが、フランスではデパートに入ったことは一度もないので、次回は是非行ってみたい、って来年いけるかな?
(心配は円安だけじゃなく夫の健康もプラスされてしまった)
この本は1922年に英語からの翻訳(三上於莵吉訳「貴方の楽園」)で日本に紹介されて、
出版されてから120年目に原文のフランス語から初めて伊藤桂子訳で出されたとのことです。
つまり、戦前に読まれて以来の名著になるのですね、日本では。
これを読んだ後にどうしても読みたくなったのが
鹿島茂 著「デパートを発明した夫婦」
アマゾンから取り寄せて、読み始めたところです。
こちらから読んでも、あちらから読んでも、両方を読んでみたくなりそう。
今まで考えたことも無かったデパートの歴史について、知ってみると面白い。
それまでの買い物の意識をすっかり変えてしまったデパート。
(今はデパート自体が存続の危機にあるけど)
先日、三越日本橋本店に久しぶりに行ってみると、楽しかった。
デパートって入場無料で夢を与えてくれた場所ですね。↓
ボンマルシェ百貨店の歴史はこちらのURLからでみることができます。
https://www.lebonmarche.com/en/store/culture/heritage-lebonmarche
(後半にある動画は仏語が分からなくても本を読んだ人には楽しめる映像満載)
フランス語の電子版 kindle も購入していたので、気になる衣類や布地用語などは、
原文からネット検索してみました。
生まれて初めて、フランス語でネット検索する面白さを知って、感動です。
日本語や英語検索では見れないものが見られる。
伊藤桂子さんの翻訳はとても上手なので問題なくスムーズに読めました。