まいにちフランス語でルソ―に触れた時
実は、ルソーって曖昧に複数いるのか、と思っていました。
調べる必要性も突き詰める緊急性もなかったから…
社会の教科書に出て来たルソー
教職課程での教育原理か教育心理だったかで出て来たルソー
それに音楽家。(このルソーは知らなかった)
全てが同一人物でした。
大学で教職課程を受講していた時に
結婚前に小学校の教師をしていた母が ジャン・ジャック・ルソーの「エミール」を読んだと言ったのが印象的でした。
母は戦争中に女学校を卒業して助教として教員になり、検定試験だけで全科正教員の師範学校の資格をとった人で、平和だったら音大に行きたかったと常に話していたオペラ好きです。
- 思想:ルソーは、権力者のいない国民主権の共和国を理想として掲げている。
- 教育学:「エミール」は、母から凡その内容を聞いていたので読んでいない。
- 音楽:作曲家としてのルソーを見ていますが、同時に生い立ちを読むと、ヴォルテールが書いた「カンディード」も顔負けの とんでもない人生と知りました。
生まれて すぐに母親を亡くし
時計職人だった父親から本を読む英才教育を受けながらも「お前のせいで妻が死んだ」と泣かれたと。その呪縛がこびりついた。
父親は刃物沙汰の喧嘩をして逮捕を逃れるために逃亡。10歳のルソーは置き去り。
親戚に預けられ、13歳で司法書記(事務員)の見習に入るけれど すぐにクビに。
その後彫金師に弟子入り、親方の暴力への恐怖から16歳でジュネーヴを逃亡します。
ホームレス状態で放浪して、フランス南東部アヌシーへ
貴族のヴァラン夫人に拾われて召使となりやがて愛人にも。夫人が所有する膨大な蔵書を読み漁り独学で知識を付ける。
チェンバロを少し教えてもらいながら努力で才能を開花させ、聖歌隊の学長に数か月弟子入りして楽譜の読み方、音楽の基礎を学びます。
夫人の元を離れた後、独自の新しい楽譜の表記法を考案してパリに出て、作曲家としてルイ15世を唸らせる「村の占い師」を書くまでになるのです。
何をしても天才的なレベルまで辿り着く人だったのでしょう。もちろん努力も凄いのだけど。
とんでもないのが
結婚して子供が生まれるたびに孤児院へ送ったこと。計5人の子供は消息不明とか。
教育論を書く人が。。。
こういう話は、本人が書いた『告白』(Les Confessions)の中に載っているそうなので、嘘ではないのでしょう。
アンシャンレジームという時代の、フランスと運命が生みだした異常な天才だったのです。
ということで、その音楽に触れてみました。下のURLでそのオペラをみることができます
🎥 LE DEVIN DU VILLAGE, Rousseau | Captation - Théâtre de la Reine au Château de Versailles
まるでワトーの絵画のよう
このオペラ 「村の占い師」 はベルサイユ内のプチトリアノンにあるマリー・アントワネットの劇場で収録(2017年7月)。つまり、映画などでマリー・アントワネット自身が出演して歌ったのがこのルソーの「村の占い師」Le Devin du villageだったのです。
前奏曲は、バロックの重厚な旋律とモーツァルトのような軽快さが入り混じってる。
- ルソー『村の占い師』を作曲:1752年
- マリー・アントワネット誕生:1755年11月2日
- モーツァルト誕生: 1756年1月27日
ルソーの方が先だった!モーツァルトが影響を受けていたんですね
話を戻すと、マリー・アントワネットはこの歌劇のコレットという村娘を演じます。
前奏曲が終わって
最初に歌う人がコレット(マリー・アントワネット )で … … 物語が続いて …
歌った後に舞台の横に座って劇中劇のパントマイム(バレエ)を眺めてます。座っているのは恋人役のコラン(ダルマニャック伯爵 )と占い師(ギシュ公爵 )
マダム・カンパンの回想録などに1780年9月19日のプチ・トリアノン公演の実際の配役と名前が記録されているそうです。聞いても知らない人だけど、王妃の友人だとか。。。夫のルイ16世も観劇してます
フルートで「むすんでひらいて」を村娘がソロで踊っている
バレエは村娘が貴族に誘惑されて、心が揺れる。ここで「むすんでひらいて」の原曲のメロディーが流れます。「むすんで ひらいて 手をうって むすんで」までしかないし微妙に違うし。でも面影はあるかな…(43分辺りから始まります)
- 最初がフルオーケストラで「むすんでひらいて」を村娘が踊って
- 次に貴族が異なるメロディーで踊って
- もう一回がフルートで「むすんでひらいて」を村娘がソロで踊っていました。
そのフルートによるソロが印象的で可愛いんです。口ずさみながらステップを踏みたくなる。ルソーが村娘に踊らせるためにこの可愛い曲を書いたのかな。。。
この人は天才的に人の心をつかむから
マリー・アントワネットを当てはめなくてもいいんですけど
時代の悲劇が鮮明に見えてくる気がします。
ルソーの 教育学にもある「自然へ帰れ」的な部分が共感を呼んだのでしょう
このオペラがきっかけで王妃の村里 が作られていったのも皮肉なこと。
- 『王妃の劇場』の建設 :1778年〜1779年
- 『村の占い師』の王妃主演:1780年
- 『王妃の村里』の建設:1783年〜1786年
ルソーの提唱した国民主権のフランス共和国 République française が現在のフランスの正式名称ですが、この思想のいけにえになった マリー・アントワネット
2017年9月に王妃の村里 訪問の際に写した王妃の劇場 (右)




