前回の記事【こちらをクリック】で、英語の「口語表現」について書いた。これは、いわゆる「話し言葉」である。話し言葉では、発音が簡素化されたり俗語(スラング)が多く含まれたりして、教科書で勉強している学習者にとっては慣れるのが大変である。教科書や参考書で文法をちゃんと勉強して成績が良くても、すぐに流暢な会話ができるとは限らない。

 

じゃあ、「教科書で勉強しても意味がない」のかというと、それは違う。文法の勉強は大切だ!私の経験を述べてみよう。

 

私は、日本で生まれて、生活は日本語100%という環境で育った。英語の勉強は中学に入ってから。当時は、現在のようにALT(外国語指導助手)もいなくて、学校での英語の勉強は読み書きばかり。もちろん、英語母国語話者(ネイティヴスピーカー)と話す機会はゼロ。口語表現を学ぶ機会も、たまに教科書にある程度。これでは、英会話は上達しない。が、進学校で叩き込まれた英文法が、アメリカ留学時代に大変役に立った。

 

写真当時使っていた参考書。今でもたまに見返す。

 

文法をきちんと勉強していたということは、流暢さは別にして、「きちんとした英語が話せた」ということ。だから、教養のある年上の方(友人の両親など)や教授などからの受けが良かった。話し言葉としては丁寧すぎたかもしれなけれど、「きちんと勉強している」ということで信頼を得ることができた、と理解している。友人よりもその両親と仲良くなることもあったし、イースターやクリスマスなど行事の度にホームパーティーに招待してくれた教授もいた。

 

もし、私が俗語(スラング)を多用して、文法的に違いだらけの英語を話していたら、彼らに受け入られることはなかったであろう。この点に関しては、進学校で勉強させられた受験英語に感謝している。

 

よく言われる「日本の英語教育は間違っている」というのは誤りだ。間違っているどころか、優れている。間違っているのは英会話教育なのだ。

 

現在の私は、きちんとした英語とくだけだ英語を、場面に応じて使い分けている。