ネットで波乗りしていまして、漂流先の記事等を読んで思いつきました。

 
gālī(ガーリー:罵り語)
女性形なので、複数形は gāliyāN(ガーリーヤーん)。
 
「罵る(動詞)」は原形では gālī dēnā(ガーリー・デーナー)。
直訳すると「罵り語を与える」。
 
使うかどうかは置いておいて(いや、使わないで…)。
普通に世界的に使う、形容詞そのまま使った「バカ」「のろま」から、イディオムや「隠語」「スラング」というカテゴリーに含まれるものまであります。
 
今回これを書き出すのは、実際に皆さんが「実践で使える」ようにでは決してなく(笑)、「これを耳にした時に理解できる」ようにです。
 
・名詞の罵り語
:愛情を持って言う場合もありますが、大概は嫌味で使います。
 
churēl(チュレール:魔女 / 小賢しい女性、嫌味な女性等々)
 
・形容詞そのままの罵り語
:ここに挙げたものは「パキスタンのドラマでも耳にする」ものです。つまり、「下品な(猥雑な)罵り語」はありません。
愛情を持って言う場合もありますが、ディスるためにめいいっぱい言う人もいます。それはその会話の流れでご理解ください。
 
makkār(マッカ―ル:おべっか使いの、二重舌の、小賢しい等々)
pāgal(パーガル:馬鹿な)
bēwaqūf (ベー・ワクーフ:愚かな)
 
「パーガル」は「馬鹿の、馬鹿な」という意味だけでなく、「精神病者」等も含まれます。
例えばzehnī marīz(ゼヘニー・マリーズ:脳神経系の病人・病気の)というふうに「精神病者」と言う言い方はありますが、パーガルでも表現もします。今は言い方に考慮して別の言い方をしているかもしれませんが、pāgal khāna(パーガル・ハーナ:パーガルの場所)は「精神病患者の収容所(精神病棟?)」という意味です。
 
・動物の名前の罵り
 
kuttā(クッター:犬 / 意地汚いやつ、悪い奴等々)
gadHā(ガダー:ろば / のろま、馬鹿等々)
ullū(ウッルー:ふくろう / 馬鹿)
 
あ、動画入れていきます(^^)
インド映画「きっと、うまくいく(原題:3 idiots)」の日本版予告動画。
この動画 0:11から0:17辺りまで、カリーナ・カプール演じるピヤが怒りながら婚約者に貰った高級プレミアム時計を突き返す場面があります。
 

「他の女にやれば?バカ!」とありますが。

この「バカ!」の部分、

 

ガデー(解説省略。呼びかけの形です)

 

そう、「ロバ!(単数:ガダー、単数の呼びかけ及び複数形:ガデー)」と罵っています。

因みに、この直前の台詞「他の女にやれば?」は元の台詞の直訳だと「他の手(hand)を探しなさい、この時計の為に」です。適切な意訳だと思います。
 
休題閑話
 
あと、殆ど耳にしないと思いますが(私は聞きましたww)
suuwar(スーワル)
khinzīr(ヒンズィール)
 
どちらも「豚」です。上がヒンディー、下がアラビア語です。
上の単語はヒンディーの「スペル」では「スアル」、ウルドゥーの「スペル」では「スワル」ですが、大概の人が「スーワル」と言っているようなので、このように書きました。
下の単語はクルアーンやウルドゥーの辞書では「ヒンズィール」ですが、「ハンズィール」と言う人もいます。
 
・「AのB」という罵り
 
一番有名なものしか知らないのですが(知らなくていいよ…)。
ullū ka paTTHā(ウッルー・カ・パッター :ふくろうの弟子 / バカ)
 
上のullū (ふくろう)とどう違うか、と言ったら… ullū よりも「感情移入の強い」言い方のようです(笑)。
呆れかえっているとか、憎々しいとか。
 
さて、ここから先は少しエグい内容です。
しかし「本題」と言えるかもしれません(えぇ…)。
 
決して特定民族をディスりたいのではない事をご理解ください。
私はこういう環境にいなかったので(笑)耐性が無いだけかもしれず、本人達は米国で「ファッ〇」を連呼するような感覚なのかもしれません(←時と場所によってこれもかなり心象が変わりますけどね)。
 
もし皆さんのお友達・家族がこういう言葉を発していたら「それは良くない言葉です。あなたが低い人だと思われます。言わないようにしましょう」と諭せるようにです。
 
ウルドゥーでは、私は映画「マイティ・ハート / 愛と絆」で、Irrfan Khan演ずるカラチの刑事が行き詰まった事態にいらついて口にした場面でしか聞いたことがありません。
 
bahn chōd(べヘン・チョード/ シスター・〇ァッカー)
※私は最後のdの音が聞こえなかったのですが…
多分この台詞が英語話者のものだったら Fuc* とか言ったのでしょう。
それを「ウルドゥーだったらどういう言い回しがある?」と脚本家か監督が聞いて、これが出てきたのでしょうが…ウルドゥーを5年学習後結婚して25年。30年間でウルドゥーでこのフレーズを「私が」聞いたのはこれだk・・・あぁ、あと一度、ある人が口にしたのを耳にしましたが、傍にいた人が窘めていました。
 
それにひきかえ。
前置きしますが。
超々個人差があって、「自分も言わないし、言う人を軽蔑する」人もいれば、「自分は連呼(常用)するし、他の人が言っていても全然平気。寧ろもっと酷い罵り語も使う」という人もいます。
 
でも。
パンジャーブではこれのパンジャービー版
 
pehn chōd(ペェーン・チョード / シスター・ファッ〇ー )
※これも毎度耳にした時に最後のdの音が聞えませんでした…
 
を結構耳にします。
 
米国のFuc* があまり気分が良くないのと同様で、これに耐性のない人も沢山います。
でも、結構聞きます…特に「野郎たちの集まり」或いは「仲間以外は彼らの言語(ウルドゥー・パンジャービー等)を知らない外国人だけ」という場面では。
 
私が確実に知っている「かなり汚い罵り語」はこれだけです。
しかし、「そんなのまだまだ可愛い部類だよ」と言われる程、汚い罵り語が沢山あります。
…まぁ罵り語だからこそ汚いのですがね。
 
なので。
もし周りの人が頻繁に使う言葉や誰かに向かって「お前は云々だ」というふうに言っている言葉の意味を尋ねた時に、「あなたは知らなくていい言葉だ」「良くない言葉だから(←ダメだろ)教えない」とお茶を濁す場合は、
 
「そんな私に教えられないような汚い言葉を使って平気なんですか?『もし口を開くならば、良い言葉を言いなさい。さもなければ黙っていなさい』というハディースがあるでしょ」
とか言って啓蒙してください。
 
だって。
「パーガルって何?」「ベーワクーフって何?」って尋ねたら、日本語や英語を知っている人ならば普通に教えてくれます。「ばか、アホ(fool)だよ」とか「まぬけ(idiot)だよ」とか。
 
以前ある方から聞いた話で。
旦那さんが日本語で子供たちを怒っていた時に、先程の「ullū ka pattā」をわざわざ日本語に直して「フクロウの生徒(弟子)!」て怒ったそうで…「日本人にはそのニュアンス通じないからカチンとも来ないどころか逆に笑える」という旨の事を日本人の奥さまが仰っていました。
 
それなのに。
bahn cho*とか pehn cho*とかの意味を聞かれて「知らなくていい」「良くない言葉だから」と笑いながらお茶を濁すのは、「それ程汚い言葉だという自覚がある」という事です。
 
もしかしたら上記のように諭したあなたを相手は鼻で笑ったり軽くあしらったりするかもしれませんが…
あなたは自分でやれることはやったのですから、あとは彼らにアッラーのお導きがある事を祈りましょう。