県南地区の大学合格実績を振り返る | 中村進学塾塾長ブログ


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既に関係各所からお聞き及びの向きも多いかと思いますが、県南の進学校の進学状況が芳しくありませんでした。週刊誌によると、横手高校からは東大、国公立医学部が合格者なし、早慶も合格者がそれぞれ2、3名でした。医学部に至っては当塾以外からは合格者は出ていませんでした。唯一救われた点が東北大合格者が20名を超えている点です。一方、秋田高校は東大でも国公立医学部合格者でも10名以上輩出しています(詳しくは上記の表参照)。


その理由として私なりにいくつか原因を分析してみました。


原因①トップ層の流出と分散


全県一学区制に伴い、県南地区の中学の各トップ層が秋田高校に進学し始めたこと、また横手清陵中の出現で清陵高校にそのまま進学したり、横手高校の凋落に伴いわざわざ通わなくても近場の大曲高校や湯沢高校に進学したりする学生が出始めたことで、数年前には県南のトップ層が横手高校に集中していたものが分散、さらには秋田市へと流出して不在になり、平均すると一学級減もあり、さほど学力低下は見られずとも、個々に見るとトップ層の実力が不足していたようです。

原因②秋田市と県南の意識の違い

では、秋高の指導が圧倒的にいいのか?
必ずしも、そうではないと思います。横高や清陵、城南も工夫して指導されているのが、定期考査の問題や配布プリントから伺えます。しかし、あまりにも受験指導に熱が入り過ぎたためか生徒の実行可能性を欠いたり、十分に効果が考慮されてなかったりと、質より量の課題や宿題の出し方になっている面も見受けられます。教材は目的性があり十分に効果があるものでなければただの負担です。 確かに、秋田高校に比べ、横手高校、湯沢高校、能代高校や大館鳳鳴高校は数学や英語の教材レベルと進度が少し劣る面もあります。 しかし、私見では、上記の高校間の指導力の差よりも、入学してくる生徒とその保護者の意識の違いが主たる原因ではないかと考えています。
秋田市内の生徒は最難関コースを歩むとすれば、秋大附属中受験、秋田高校受験、そして大学受験と三回受験を経験します(これは、盛岡、山形などの強力な地方県立進学校がある都市にも共通の状況です)。首都圏や関西圏でも、中学受験と大学受験の二回(進学校は圧倒的に中高一貫が多いため)です。しかも、秋田市内は不合格者が100名も出る激しい競争であり、そんな中では生徒の競争が激化し、産業として中学受験、高校受験対策が成熟し、当然若いうちから受験という環境に身を置き、受験勉強慣れしてくる生徒が多いのだと思います。常に受験に対して研ぎ澄まされている状態です。そうした中で、自然と学習習慣や受験意識も育まれていくのでしょう。
これは、保護者の方にもあてはまります。県南・県北では、「横手、湯沢、鳳鳴、能代辺りに入ったら、とりあえず何とかなる」と思っていらっしゃる方が何と多いことか、と驚かされます。むしろ、そこからがスタートなのですが・・・

原因③小学生からの思考力鍛練


②とも関連してきますが、中学受験をすることで、幼いうちから問題をじっくり考える習慣が身につきます。
実は、この思考力、私が一番問題視している点です。県南地区の生徒さんは、一対一対応の問いには対応できても、ひねられた問題、初見の問題に対処する思考力が非常に弱い気がします。県南地区の生徒が初めて受験として接する秋田県の公立高校入試問題もそこまで難しいわけではなく、一対一対応でそこそこは得点できます。ただ、近年難化が進み、思考力・記述力・考察力・推察力・読解力が必要とされて来ているのは大歓迎です。こういった思考力や考察する力を早いうちから要求される附属中受験は、ただそこに入学することよりも、その過程で得られる財産が大きいのではないでしょうか?

原因④進路指導の偏り


秋田高校と横手高校等の違いの一つに私立文系クラスの存置・廃止があります。横手にも数年前には私立文系クラスがありましたが、廃止され、次第に文系・理系ともに東北大学、秋田大学といった国立大学志向に進路指導がなされているようです。もちろん、昨今の国立大学の人気上昇を考えると時流にあってはいるのですが、中には早慶や難関私立医学部に進学したい生徒もいるわけで、生徒の希望や得意科目に適した大学が話の前提にあるのとは違った進路指導がされているようです。結果、進路対策や入試情報も一部の国立大学向けの限られたものになり、進路・受験指導が上手く機能していないのではないでしょうか。

最後に、では、秋田県で受験するなら秋田市内にいることが絶対的にいいのかと言うと必ずしもそうではないでしょう。
週刊誌によると、秋田高校と横手高校の難関国立大学合格者はそれぞれ70名と30名ほどです。つまり、そうでない生徒がそれぞれ240名程度いるわけです。つまり、どこにいても個人の頑張り次第の範疇で説明可能な話だと思います(思い切って開成や灘に行くのならば話は全く変わりますが)。ただ、ある程度、受験を意識させたり、モチベーションを形成する環境が多少あるに過ぎません。
しかも、今年度の秋田高校からの東大合格者も文Ⅰや文Ⅱ、理Ⅲは出ていません。そうであれば、秋田県全体として大学入試の真の意味でハイレベルにあるわけではありません。まずは、個人個人が、どこにいても、当たり前のことを当たり前に受験生としてこなしていくことが、志望難関大学合格への近道だと思います。