成功するうえで欠かせないことに発想力がある。成功に必要な発想力というのは、突飛なアイデアや誰もやったことがなかった全く新しいもの、というわけではない。単にその業界では見落とされていたことであったり、誰でも思いつくけど、結局誰もやっていなかったことであったり、つまりは灯台下暗しといったことをいかに見出すかということの方が、はるかに多くの成功を生み出している。

 

 

昔からコロンブスの卵という言葉や灯台下暗しといった言葉があるように、考えてみれば当たり前だけど、誰も発想しなかったということは多い。では、そういったことを思いつく人は、そもそもどんなことからその発想に至ったのだろうか

 

 

よく言われることは、別の業界の成功事例を自分たちの業界に用いるといったことだ。これは業界が違えば成功要因が違うということで、アイデアを排除せずに、どん欲にいろいろな成功事例から学び取る姿勢だ。フォードなど有名だが、ベルトコンベアを使って大量生産するといった発想は、当時の自動車業界にはなかった。それをいかに大量生産するかということから、他に大量生産性ているものを探した結果生み出されている。

 

 

こういう発想を持てる一番のポイントは、業界に縛られないということだろう。その業界の中での成功は、すでにほかの企業が使ったやり方になってしまう。これでは二番煎じということで、なかなか頭一つ出すことが難しい。だから業界の外に目を向けることが大事だ。

 

 

業界の外に目を向けることは、比較的簡単にできるかもしれないが、ではそこから成功につなげる発想はどうやってもたらされるのだろう。おそらくそこには、横につなげる力がある。横につなげるというのは、自分の持っている見識を新たに発想につなげて考えるということだ。

 

 

例えばフォードは、大量生産するにはどうすればよいかということからベルトコンベア式をにたどりついた。ベルトコンベアで物を作るということは、別の産業で使われていたわけではない。実はものを作ることにベルトコンベアを本格的に利用したのはフォードが初めてだった。このフォードの成功を見て、他の産業でも次々と取り入れたわけだが、フォード発想したのは、一人が2、3日かけて作るということが当たり前だった車の生産の課題の認識と解決策へのつなげ方だった。

 

 

そもそも車の組み立ては難しい。いろいろな部品、いろいろな取り付け方をすべて覚えなければならない。まずはこれを分業にしたらどうだろうか、という発想になる。そして、もう一つは一つ一つが受注発注のような状況だった車であると、パーツや部品が1つ1つ違ってします。すると、その取り付けにも一苦労だ。であれば同じものを同じように作ればよいではないか、と発想した。これは滑車の大量生産や椅子の大量生産がなされていたことからつながってきたのだろう。そして、工程が多い自動車の組み立てを人が動くのではなく、物が動けばよいということでベルトコンベアにつながった。

 

 

こういう考え方を横につなげていくことができることによって、違う業界の1つの分解されたプロセスを自分の業界の持ち込むことができる。これはまさに横につなげる発想だ。

 

 

横につなげるには、ひとつはプロセスをちゃんと分解することと、それを再構築することがイメージできなければならない。ブロック遊びのように、違うパーツを取り寄せ合って全く血が作品を作っていくのと同じ作業だ。こういうことを業務分野で仕上げていく発想力は、いつの時代も重宝される。

 

 

とはいえ、年齢によってもこれは変わってくるらしい。若いころは記憶力が強く、知識を積み上げることが得意だそうだ。そして、年齢を重ねるとともに記憶力は低下するが、逆に積み上げた知識を横につなげる力が強くなるらしい。まったく新しいアイデアは、若い方が得意で、横につなげるアイデアは年齢とともに上手になるのかもしれない。

 

 

とはいえ、まずは業界を超える意識とプロセスを分解し再構成するという構想力は必要になってくる。横につなげる意識とともに、こういった意識や構成力なども同時に涵養することが大事になってくる。