コンフォートゾーンという言葉がある。「快適な空間」という意味だ。心理学などでは、ストレスや不安が無く、限りなく落ち着いた精神状態でいられる場所を指す。

 

 

ウィキペディアによると、ソーシャルワークの研究家ブレネー・ブラウンは、「私たちの不安、欠乏、および心の傷つきが最小限に抑えられている場合 - 私たちが十分な愛、食べ物、能力、時間、賞賛を得ることができると信じられる場所。そういったものが整えられている場所の事である」と説明している。また、心理学者ロバート・ヤーキーズは、「ある程度のストレス下では仕事の業績が上がるが、最適なレベルを超えると業績が下がる」ことを報告している。一般的にストレスは意思決定に悪影響を与えるとされていて、試行回数が減り、すでに役に立たなくなった一般的な方法を取るようになってしまう傾向になると書かれている。

 

 

昔から自己啓発の中でも「コンフォートゾーン」についての議論があるが、どちらかというと「ぬるま湯」的な考え方として理解されていて、このコンフォートゾーンを抜けることで、あらたに上位のコンフォートゾーンを作っていくことで、自らの基準値を上げるということが推奨されている。とはいえ、このコンフォートゾーンというのはあくまでも概念的なことで、明確に見えるわけでもないので、感覚として理解するしかない。

 

 

このコンフォートゾーンにあることは、今の自分に適したゾーンであるから、今の自分よりもさらに成長していきたいということであれば、上位のゾーンを自分のコンフォートゾーンにしなければならないという解釈はわかりやすいだろう。基準を上げるということと似ているが、どちらからというと感覚的に「楽をしている」と思っている行動や発想に対して警鐘を鳴らす意味合いから、コンフォートゾーンに安住していてはいけないといった論調が多いのかもしれない。

 

 

しかし、心理学者などは面白いもので、コンフォートゾーンを物理的環境としてとらえて、自分が最大限能力を発揮したり、集中できる空間を指しているとしているようだ。若干ニュアンスの違いがあるので、言葉の定義としては、何をもって「コンフォートゾーン」とするかは明確にしておいた方が良い。