マタイによる福音
2・13占星術の学者たちが帰って行くと、主の天使が夢でヨセフに現れて言った。「起きて、子供とその母親を連れて、エジプトに逃げ、わたしが告げるまで、そこにとどまっていなさい。ヘロデが、この子を探し出して殺そうとしている。」14ヨセフは起きて、夜のうちに幼子とその母を連れてエジプトへ去り、15ヘロデが死ぬまでそこにいた。それは、「わたしは、エジプトからわたしの子を呼び出した」と、主が預言者を通して言われていたことが実現するためであった。
19ヘロデが死ぬと、主の天使がエジプトにいるヨセフに夢で現れて、20言った。「起きて、子供とその母親を連れ、イスラエルの地に行きなさい。この子の命をねらっていた者どもは、死んでしまった。」21そこで、ヨセフは起きて、幼子とその母を連れて、イスラエルの地へ帰って来た。22しかし、アルケラオが父ヘロデの跡を継いでユダヤを支配していると聞き、そこに行くことを恐れた。ところが、夢でお告げがあったので、ガリラヤ地方に引きこもり、23ナザレという町に行って住んだ。「彼はナザレの人と呼ばれる」と、預言者たちを通して言われていたことが実現するためであった。
今日の聖書と典礼の表紙はエジプトへの逃避の絵が掲載され、「子どもとその母親を連れて、エジプトに逃げなさい」という主の天使のヨセフへのお告げが書かれています。
第一朗読はシラ書です。集会の書とも言われます。知恵文学の一つで、カトリック教会や正教会では第二正典ですが、プロテスタントでは外典とされます。
シラ書は、聖書の中でも特に「家庭生活」に対して具体的、かつ現実的なアドバイスを多く割いている書物です。著者ベン・シラは、「家庭こそが社会の基礎であり、信仰が実践される最初の場所である」と考えていました。
その教えの根底は深い愛情と「家族の絆を守り抜く」という強い意志です。
本日の朗読部分の3章はシラ書の中でも有名な箇所の一つです
「父母を敬え」という十戒の教えを、さらに具体的に掘り下げています。両親を敬うことは、自分自身の罪を償うことになり、祈りが聞き入れられる助けになると説きます。
親が老い、たとえ「判断力が衰えても」、忍耐強く接し、見捨ててはならないと強く戒めています。
そして親を敬う者は、将来自分の子供からも敬われ、長寿の恵みにあずかると教えています。
第二朗読は、コロサイの信徒への手紙でした。パウロはキリスト者としての生き方をコロサイの教会の人々に示します。
今日の朗読の冒頭でパウロは、「あなたがたは神に選ばれ、聖なる者とされ、愛されているのですから、憐れみの心、慈愛、謙遜、柔和、寛容を身に着けなさい。」と言います。
パウロの勧告の根拠は、コロサイの人々が「神に選ばれ、聖なる者とされ、愛されている」からです。受けた恵みにふさわしい生き方がどのようなものかパウロは具体的に教えています。
パウロの勧告は、コロサイの教会の人びとだけでなく、夫婦関係や親子関係に悩むわたしたちにもあてはまるのではないでしょうか。
福音はマタイ福音書のイエスの一家のエジプトへの避難の物語です。
マタイ福音書は、イエスの系図から始まり、イエスの誕生、占星術の学者による礼拝、エジプトへの避難を経て、イエスがナザレに住むことになった経緯を物語ります。
この冒頭の物語の特徴は、「夢で与えられたお告げ」です。
ヨセフも占星術の学者たちも「夢で与えられたお告げ」を信じて、実行することによって神の救いの計画を実現することになりました。
ひとこと
聖家族といえば、立派な父親の役割を果たしたヨセフと神の言葉の通りになるようにと答えてイエスの母となったマリア、そしてその二人の養育者のもとで健やかに育ったイエスと言ったイメージを抱きがちです。
しかし、聖家族は、「主がおっしゃったことは必ず実現すると信じた」方がたでした。
大聖年閉幕
聖家族の日に聖ペトロ大聖堂を除くローマの他の3つの大聖堂の扉が閉じられ、世界中の各教区でも閉幕ミサが行われ、その日をもって地方教会での聖年が終了します。
名古屋教区でも布池教会で聖年の閉幕ミサが行われます。
2025年のカトリック聖年のテーマは「希望の巡礼者(Pilgrims of Hope)」で、メッセージは「希望は欺かない」でした。
2025年は、人生の困難な旅路の中で、信仰と神への信頼を基盤に希望を見出し、平和や友愛を分かち合う巡礼の年でしたが、今日を以て巡礼は終わるのではなく、神の国が到来するまで続きます。