映画ファンが酔っ払って仲間ととある作品の悪口になり、盛り上がる。「やるならこの位やれ」と出来るワケのない企画を矢継ぎ早に繰り出し、更にもりあがる。その、「やるならこの位やれ」を本当にやる数少ない監督の作品なので、期待はする。頭カラッポにして観たが、裏切られた。良い意味で。

小生が天邪鬼なのか知れないが、頭カラッポにして観る作品にかぎって、理屈を求めていた。

時は19世紀末、大航海時代へ新大陸に進出したジパング。12世紀から続く源氏と平家の勢力争いは舞台を大平原へと移しても絶えることはなかった。いつしか内戦の兵隊くずれの荒くれ者たちが跋扈する荒野となっていた時代。源平双方とも野盗山賊の類と成り果てていた。そのさなか、源氏の棟梁頼朝の一党と、平氏の策士清盛が、とある墓場に隠されたとされる埋蔵金争奪戦を繰り広げる。そこへ流れ者のガンマンが絡んで…とまあ、どこかで聞いたようなハナシだ。
ハネッ返り義経こと窪塚洋介は棺桶から機関銃取り出してブッ放す。清盛は本木雅弘、そのうえ居酒屋店主に原田芳雄、中西良太に片桐竜次に小沢仁志の殺し屋三兄弟、源氏のハンター桃井かおりと平氏のハンター根岸季衣のクイックドロー対決(しかも銃はパーカッション式!)あり、温水洋一の伝記作家はケッサク。惜しむらくはガンマン役は何とかならなかったか。せめて竹内力とか。
モーゼルミリタリーとヘンリー・リピーティング・ライフルとピースメーカーが同居しているあたりはご愛嬌。
和製マカロニ・ウエスタンを狙ったはずが、アメリカン・ニューシネマへの晩鐘になっていたラストには泣けた。しかしよくよく考えれば、マカロニにする必要はなく、娯楽に徹した和製西部劇を作り上げればよいのだから。
特筆すべきなは、『世にも怪奇な物語』で、原作からは最も距離があったにもかかわらず、ポオの作品世界の映像化に最も成功していたのがフェリーニのパートであったように、美術も衣装も設定も何もかもが違っているのにマカロニ・ウエスタンの、そして西部劇のスピリットの再現に成功し、しかも終わらせていること。黄金をめぐる小競り合いのはずがいつしか国軍(何と将軍役はアノ御仁!)相手に大立ち回りを演じることになる。時代劇じゃねーかって?
上等だ!それでこそワクワクしないか?
品川隆二氏扮する老野盗のセリフがケリをつけている。シ、シブい!