2017年 フランス
監督
ロバン・カンピヨ
キャスト
ナウエル・ペレス・ビスカヤール:ショーン
アルノー・ヴァロワ:ナタン
アデル・エネル:ソフィー
アントワーヌ・レナルツ:チボー
BPM ビート・パー・ミニット公式サイト http://bpm-movie.jp/
90年代初めのパリではHIV/エイズの脅威に対し、ゲイや麻薬常習者の病気との間違った理解が広がり、政府や製薬会社もエイズ対策に真剣に向き合おうとはしていなかった。そうした社会の偏見や差別を打ち破るべくパリを拠点に活動をしていたのが市民団体の“ACT UP - Paris”。そこには感染者だけでなく、それぞれの事情や問題意識を抱えた様々な人々が集っていた。グループの中心的メンバーのショーンは、自身もHIV陽性という切実な現実を抱え、その抗議活動は次第に過激さを増していく。新たにメンバーに加わった青年ナタンは、そんなショーンと活動をともにしていくうち、いつしか互いに惹かれ合うようになるのだったが…。
初めてAIDSという病気を知った時は今でも覚えているくらい衝撃的でした。
免疫が作用しなくなることで身体全体に腫瘍ができ、極端に痩せた患者の姿はショックだったし、為す術もなく死んでいく恐ろしい病気という印象が強く残っています。
ゲイの男性や麻薬常習者の発症率が異常に高かったことから、そういう人にしか発症しない病気という誤解もあったり、差別に繋がったり。研究が進み今は抗HIV薬でHIV陽性でもAIDSの発症が抑えられ、薬を飲んでいれば70代まで生きることができるようになったことは本当に良かったと思います。
ACT UP-Parisのミーティングでは時にジョークや(悪)ノリもありで、議論する彼らの活動が、フォーラムに乱入して担当大臣に偽物の血を投げつけたり、製薬会社に乗り込んで偽物の血をまき散らしたりと、やりすぎな感じが否めない。
この部分だけだと疑問が多いのですが、ショーンの病気が進行していく過程が描かれているので、どうすることも出来ない病気への焦燥や苛立ちが理解できて、彼らがどうにか政府や製薬会社に本気でHIV対策をさせようとしているのが分かる。
ACT UP-Parisの活動とショーンのストーリーが同じくらいあるので、映画としては冗長になっているところもあるのですが、当時のHIV患者のリアルさが、せつせつと伝わってくるのではないかと思います。

ショーンとナタンのベッドシーンなど、かなりリアルな表現もありますが、2人がお互いを本気で好きになり、思いやる気持ちなど、人間が人間を愛する事に何の問題があるんだろうと改めて思ってみたり(綺麗事かも知れませんが)、いろいろと感情を揺さぶられる事が多い作品でした。

ストーリーとは別に印象的だったのはショーンの母親の毅然とした強さ。終盤しか登場しないのですが、死期が近い息子に取り乱すことなく向きあう。覚悟はしていたのでしょうが、最後まで凛としていて立派だったなと思いました。
実は観たのが1週間前なのと、その後は楽しい年度末ということで、毎日帰宅が23時過ぎのハードさもあり、大分細かい部分が薄れています(汗)
でも観れて良かった。上映館も少ないけど、いろんな考えの人に観て欲しい作品でした。
ショーンを演じたナウエル・ペレス・ビスカヤールはアルゼンチン出身の方なんですね。
映画の中でもアルゼンチン(違ったかな?)とフランスのハーフという設定でした。フランスではエキゾチックなお顔だちなのかしら。
ちょっと少年ぽい表情なども印象的でした。彼の他の作品も観てみたいけど、あんまりDVDとか出てないみたいで残念。

















