判決、ふたつの希望(L'INSULTE)

2017年　レバノン／フランス    
監督    
ジアド・ドゥエイリ
キャスト
アデル・カラム：トニー・ハンナ
カメル・エル・バシャ：ヤーセル・サラーメ
カミーユ・サラメ：ワジュディー・ワハビー
リタ・ハイエク：シリーン・ハンナ
クリスティーヌ・シューイリ：マナール・サラーメ
ジャマン・アブー・アブード：ナディーン・ワハビー
判決、ふたつの希望　オフィシャルサイト　http://longride.jp/insult/

　レバノンの首都ベイルート。パレスチナ難民でイスラム教徒のヤーセルは現場監督として住宅の補修作業にあたっていた。するとアパートの住人でキリスト教徒のトニーとトラブルになってしまう。翌日、ヤーセルは上司に伴われ、トニーのもとへと謝罪に赴く。神妙なヤーセルだったが、トニーの放ったある一言に感情を抑えられず、思わず手を上げてしまう。ついに２人の対立は法廷へと持ち込まれるが、弁護士同士の激論は火に油を注ぐ結果に。そこにメディアが飛びつき、事態はトニーとヤーセルの思惑を超えてレバノン全土を巻き込んだ巨大な政治問題へと発展してしまうだったが…。　-allcinema参照
    

　恥ずかしながらパレスチナ難民という言葉を聞いたことはあっても、その背景をきちんと把握しないままの観賞でしたが、それでも内戦後の民族間の軋轢は物語できちんと語られていたので、２人の主人公を興味深く観ることが出来ました。
　日本人には想像しづらい内戦や難民問題がベースにあるので、主人公の２人の互いへの反応が激しく感じる所もありました。（正直とても些細な問題には私は思えなかったのですが）
　特にトニーの態度は酷いと思っていたのですが、裁判で彼の過去が分かってくると彼の言動も納得できたりしました。
　個人対個人の裁判のはずが民族のプライドの争いになっていき、国民を巻き込む論争になり、トニーに災難が降りかかるのは観ていて心が痛みました。
　そんななか、トニーの妻のシリーンが感情的になりながらも、きちんと夫に意見を言っていたのが印象的でした。

　テーマは重い社会派の作品ですが、夫婦や親子の人間ドラマもあり、エンターテイメント性もあり、個人的には主人公２人や２人の弁護士を演じた俳優さん達の演技も素晴らしくて、今年ベスト５には入ると思った位見応えのある作品でした。

　
 

　４館から５０館に拡大公開されることですし、多くの方に観て欲しいと思います。
　ただパレスチナ難民とレバノンについては基礎知識があった方がストーリーは分かりやすいかも知れません。

　（余談）実はこの作品予告を観てから公開を楽しみにしていたというのに、なんだか東京の上映館がないと勘違いして、ファースト・ディに見損ねたのでした。きっと夏バテのせいよ。そうよそうよ～　（多分脳波が停止しているだけ）
　　

最後のランナー(ON WINGS OF EAGLES)

2016年　中国／香港／アメリカ    
監督    
スティーヴン・シン
キャスト
ジョセフ・ファインズ：エリック・リデル
ショーン・ドウ：ジ・ニウ
エリザベス・アレンズ：フローレンス・リデル
リチャード・サンダーソン：ハバート先生
ジェシー・コーヴ：ヒュー・ジョンソン
オーガスタ・シュウ＝ホランド：キャサリン・スタンディッシュ

最後のランナー　オフィシャルサイト　http://saigo-runner.com/

　1924年のパリ・オリンピックに英国代表として出場し、男子400メートルで金メダルを獲得したエリック・リデル。敬虔なクリスチャンである彼は、大学卒業後アスリートとしての栄光を追い求めるのではなく、両親と同じ宣教師の道を歩み中国の天津に渡る。1937年、天津が日本軍に占領される中、妻子をカナダに退避させる一方自身は現地に留まり、人道支援を続けるリデルだったが…。　-allcinema参照
    
　
  アカデミー賞受賞作『炎のランナー』が日本で公開されたのが１９８２年。もう３６年前ですね。公開時は映画館では観ていなかったけれど、その後多分ＴＶで初めて観て以来、ストーリーはもちろんですが、エリック・リデルの生き様に魅了されました。
　午前十時の映画祭でラインアップされた時は本当に泣きそうになるくらい嬉しかったし、死ぬまでに映画館で観れて良かったと感動もしました。
　アメブロでのリデルという名前もエリック・リデルからつけたものです。
　それくらい『炎のランナー』には個人的に思い入れがあって。
　その後のリデルの人生については『炎のランナー』のエンディングで触れられていましたが、映画化された作品が日本公開と聞いたら行かない訳にはいかないじゃないですか。例え上映館が都内で１つしかないとしても（笑）

　前置きが長くなりましたが、この作品はショーン・ドウが語るエリック・リデルの物語という形をとっています。
　中国生まれの彼が父親と同じ宣教師の道を選び中国に赴任して、現地の学校で子供たちに勉強を教えたりしながら現地の人たちとも親交を結んでいくのですが、第二次世界大戦末期の日本が中国に侵攻していた時代で強制収容所に収監されてしまいます。
　ショーン・ドウは収容所に物資を届けたりと最後まで彼を見守っている人物として描かれています。
　リデルは収容所でも子供たちに勉強を教えたり、自分に与えられた食事を他の人に分け与えたりと、敬虔なクリスチャンであり博愛の人として描かれていて、『炎のランナー』でも描かれた彼の人物像と繋がって嬉しかったです。

　
　外国人収容所での物語が半分以上あるので、日本人の軍人の行為は日本人からみるとキツい部分もあるのですが、当時の軍の上層部のプライドの高さとか残酷さは良く描かれていたのではないでしょうか。
　途中所長の気まぐれで競争させられるのですが、終盤に収容者の薬を得るためにリデルがもう一度勝負を申し出ると、日曜日ならと言われてしまう。
　この後の展開は本当に酷くて怒りすら覚えるようなもので。日本人憎まれて当然と日本人でも思ったり。

　正直他の方のレビューはあまり好意的なものが無かったのですが、私はそんなに酷い作品ではないという印象。決して名作とは言いませんが（笑）、観れて良かったです。
　やはり第三者が語るという形式を取ったせいか、心情に踏み込んだ印象がなく、さらっと他人事のように過ぎていく印象になってしまったのは残念。
　後これはしょうがないとは思うのですが…。
　所長役の方は多分日系の方なんでしょうけど、どうにも日本語が変。他の日本兵役の方の日本語が普通なので余計目立ってしまうんですよね。とても重要な役なので、日本人の方使って欲しかったなぁ。（って思うのは日本人だけなんでしょうけど。）
　もう１人の重要な日本兵　湯本役の方は本当に日本人ですし。（小林成男さん、『鉄道員　ぽっぽや』などに出演されています。）
　とはいえ、主役のジョセフ・ファインズの演技は素晴らしかったし、『炎のランナー』を彷彿とさせるシーンなどもあったのも良かったなと思えたし、何よりエリック・リデル氏の人生を最期まで描いた作品が製作されたことは凄いなと思います。

　そして今案の定『炎のランナー』が観たいです（笑）
 

君の名前で僕を呼んで

原題：CALL ME BY YOUR NAME
2017年　イタリア／フランス／ブラジル／アメリカ
監督
ルカ・グァダニーノ    
キャスト
アーミー・ハマー：オリヴァー
ティモシー・シャラメ：エリオ
マイケル・スタールバーグ：パールマン教授
アミラ・カサール：アネラ
エステール・ガレル：マルシア
君の名前で僕を呼んで　オフィシャルサイト　http://cmbyn-movie.jp/

1983年、夏の北イタリア。両親とともに毎年夏休みを過ごしている田舎のヴィラへとやって来た17歳のエリオ。彼はそこで、大学教授である父がインターンとして招いた24歳のアメリカ人大学院生オリヴァーと出会う。自信に溢れて自由奔放なオリヴァーに最初は苛立ちを覚え、つい反発してしまうエリオだったが…。-allcinema参照

 

　この作品、苦手なジャンルはホラーと恋愛映画の私の心を本当に揺さぶってくれましたよ。どうしてくれよう（笑）
　正直観に行こうと思ったのは、前評判の高さと予告編のティモシーくんの表情、イタリアの景色の美しさに惹かれたからなんですが、終始ティモシーくんから眼が離せなかったし、ずっと一緒に居られないと分かっていながら、好きにならずにいられなかったオリヴァーとエリオの切ないストーリーにすっかり魅了されてました。

　
　

　とはいえ、ストーリーとしては特に大きな出来事がある訳でもなく、２人で自転車に乗って出かけたり、食事したりという日常の中のエリオの心の動きを丁寧に追っているだけなのですが、その心の動きが表情や仕草で伝わってくる。追体験しているような感覚というのでしょうか。
　なんだかドキドキしている自分がいたりしました。
　終盤はこの優しさは残酷だなと思ってたりもしましたが、もう会えないから、一緒にいたいってシンプルな気持ちほど強いものはないんですよね。
　エリオと一緒に泣いてました私も。
　ゲイの映画と先入観を持たずに、初恋、青春時代を描いた作品として素晴らしいと素直に思える映画でした。

     あと個人的にはエリオの両親の息子との関わり方が凄く好きでした。

　　 息子が男性に惹かれていると分かっても、自然に受け入れる母親も素敵でしたし、父親が息子に語る言葉は本当に素晴らしかった。

   脚本を書いたジェームズ・アイヴォリー監督は、この映画のベッド・シーンが綺麗すぎる
と少々ご不満のご様子ですが、主演の２人がちょっと彫刻のように美しすぎるので、あんまり生々しい感じは出ないような気もしますよねぇ。もっとも主演２人ともフルヌードはＮＧだったらしいのですけど。（でもあったような気も…）　　
　精神的なつながりにフォーカスさせるには、これくらいでちょうど良いのかなと私は思いました。余談ですけど。

　しかしティモシー・シャラメくん本当に素晴らしい演技でした。アカデミー賞にノミネートされたのも納得。彼が居なければ成り立たないといっても過言ではないと思います。
　この映画ではピアノ、ギターを演奏して、トライリンガルの役って結構大変だったと思います。彼は父親がフランス人だそうなので、フランス語は話せるみたいですけど。
　今後本当に楽しみな俳優さん。なので出演作は選んで欲しいなとも思います。似たような役ばかりでは、輝きも出ませんしね。
　ちょっと、おばちゃんうるさいですね（笑）
　
　原作では２０年後の２人が描かれているようで、続編の製作の噂もありますね。
　私の中ではこのまま２人のストーリーは終わらせたいかな…。

【個人的メモ】PENTATONIXアルバム発売

新メンバーを迎えたアルバム

『PTX PRESENTS TOP POP VOL.1』が

１３日に発売されました🎉✨😆✨🎊

待ってました‼  個人的に☺

収録曲は昨年のUSAチャートを賑わせた曲達ですが、１曲も知りませんでした(汗)

正直私は彼らの声が聴ければ幸せ🍀なので。

またライブで来日して欲しいなあ。

日本版にはステッカーとミニクリアファイルがついてました。

ジュマンジ／ウェルカム・トゥ・ジャングル

原題：JUMANJI: WELCOME TO THE JUNGLE    
2017年　アメリカ    
監督    
ジェイク・カスダン
キャスト
ドウェイン・ジョンソン：スペンサー／スモルダー・ブレイブストーン
ジャック・ブラック：ベサニー／シェリー・オベロン
ケヴィン・ハート：フリッジ／ムース・フィンバー
カレン・ギラン：マーサ／ルビー・ラウンドハウス
ニック・ジョナス：アレックス
ボビー・カナヴェイル：ヴァン・ペルト
リス・ダービー：ナイジェル
アレックス・ウォルフ：スペンサー（高校生）
マディソン・アイズマン：ベサニー（高校生）
サーダリウス・ブレイン：フリッジ（高校生）
モーガン・ターナー：マーサ（高校生）
ジュマンジ／ウェルカム・トゥ・ジャングル公式サイト　http://www.jumanji.jp/

　　学校で居残りをさせられていた４人の高校生スペンサー、フリッジ、ベサニー、マーサは、地下の倉庫で“ジュマンジ”という古いテレビゲームを発見する。ためしにそれぞれキャラを選んでプレイしようとしたところ、いきなりゲームの中に吸い込まれてしまう。気がつくとそこは鬱蒼としたジャングルで、４人は性格も性別も真逆のゲームキャラの姿になってしまっていた。現実世界に戻るためには、敵キャラ、ヴァン・ペルト一味の追撃をかわしながら、難攻不落のステージをクリアしていかなければならなかった。しかも与えられたライフは３回で、使い切ったらゲームオーバー。あまりにも理不尽な状況に放り込まれた４人は、それでも生きて現実世界に戻るべく、それぞれのスキルを駆使して目の前の難関に立ち向かっていくのだったが…。-allcinema参照
    

　ロビン・ウィリアムス主演の『ジュマンジ』が製作されたのが２３年前なんですねー。何回か観た記憶があるのですが、詳細はもう記憶の彼方で…。
　でも最初の作品へのオマージュはいくつかあるものの、前作を知らなくても十分楽しめる作品でした！
　
　前作から約１年後（１９９６年）にボードゲーム『ジュマンジ』が男子高校生の手に渡るところから始まるのですが、ＴＶゲーム世代には見向きもされない。するとＴＶゲームに姿を変えるジュマンジ…って、ここちょっと怖かったです。そうかジュマンジって生命体だったんだって（違うかも）
　それから現代の高校生４人が１９９６年のＴＶゲーム、ジュマンジの世界に取り込まれてしまい、悪の手に渡った宝石を取戻し、ジュマンジに平和を取り戻すというゲームに強制参加させられてしまう。
　ゲームの世界では各自選んだアバターになって闘うのですが、ドウェイン・ジョンソンの中身がオタクで神経質な高校生なので、あの見た目なのに臆病な感じとか、ジョン・ブラックの中身がセルフィー大好きの女子高生なので、仕草や言動が女子っていうのが、本当におかしくて、おかしくて。
　特にジョン・ブラックの芸達者ぶりが本当に凄い。アドリブが多かったみたいですけど、場内大爆笑のシーンなどもありましたよ♪

　

またゲームのキャラクター設定も良かったです。弱点：ケーキのキャラがケーキを食べると…。後は映画でのお楽しみ♪

　ストーリーは本当にロール・プレイング・ゲームを体感している感じなので、突然の爆発や動物の襲撃などにドキドキしたり、ゲームでしか出来ない方法でピンチを切り抜けたり。
　ＣＧを多用した映像もゲームっぽい雰囲気で良かったです。
　あまり予備知識が無い方が楽しめると思うので、何も考えずに世界観に浸って楽しんで欲しい作品だと思います。　

　最近は自宅でも、心を強く揺さぶられたり、考えさせられたりする作品を観る機会が多かったので、こういう「コタツでみかん食べながら観れる作品」（褒めてます。）って、やっぱりいいなぁと。
　とはいえ、展開が早いので目は画面から離さないほうがいいと思います！

　４月は観たい作品が多いので、毎週楽しみがあって嬉しいです。
　とりあえず来週は『聖なる鹿殺し』（まだ観てなかったけど、やっぱり観たい）『パシフィックリム・アップライジング』『女は二度決断する』を観に行きたいと思ってます。

  後、ＰＥＮＴＡＴＯＮＩＸの新しいアルバムも出るので楽しみが多いな今週♪