ソファをおりてあたしの前に膝をついた先輩は、

あたしのくちびるを、人差し指でフニフニと触った。

意識的に、足を閉じるのにちからを込めて、身構えた

さっきの彼の言葉を思い出す。

お前に気持ちを残したまま…

あたしを、想ってくれてたの?

先輩の固い指先が歯のあいだを押し入って、あたしの舌先に触れた。

あっ、そういうのは…まずいよ

「ゆるしてください」

『許すわけないだろ、他の男にゆるしがって。

タダじゃ帰さねーって言ったじゃん』

そう言うと、

あたしの頬を両手で包み込んで自分の方を向かせて。

すると
グレーの瞳に、あたしだけが映る。

『俺以外の男のこと、1ミリも考えられないようにしてやるよ』

ひゃあ

「けど、先輩と結婚したら、あたし名前が…」

『名前がなんだよ』

「【ま】がふたつ続いちゃう」

『いいじゃねーか別に』

それ今言うことじゃねーよ、と
簡単にくちを塞がれる。

熱くてやさしいキスで、
肌まで溶けてしまいそう

「こういうつもりできたんじゃないのに」

『こういうつもりで来たんだろ
わかってるよ』

やっぱり意地悪だ…

『もうはなさねーから』

「…はい」

それから春を待たずに、あたしは妊娠して退学した。