「レオさん、いる?」

夜、司と別れたあとでLINEした。

今バイト終わって帰ったとこ、どした?

「行ったらだめ?近くにいるんだけど」

何時だと思ってんの。

司のこと?

「それもちょっとあるけど違う。」

泣いたりしないんなら、いいよ。

ありがと

玄関に入れてくれたレオさんは、
なんだかムッとしてた。

どうしたの?

「夢、見ちゃって」

何の

「レオさんとキスしたの」

なんだよそれ。意味わかんね。

「それと最近、司が変で」



変って?

「なんか、不安だとか、あたしのことであたまがいっぱいとか言うの。」

自信たっぷりで、そんなこと言うひとじゃなかったのにさ

レオさんは、うんざりみたいなタメ息をついた

そりゃ、まなみたいな魅力的な子とつきあってたら不安にもなるよ。

フツーのことだろ。

「それに、このごろは、会ってもいつも…」

あたしはそこで、言葉を詰まらせた。
くちに出すのもためらわれる

いつも?

「いつもホテル行くだけだし」

それを聞いたとき、レオさんはわずかに眉を寄せて厳しい表情をしたように見えた。

…ちょっとわかるよ。

何しに俺のとこきたのかよくわかんないけどさ、

まながよそ見ばっかするから
不安で不安で、いつも抱いてないと
気がすまないんじゃないの?

司だってフツーの男だよ

あたしの視線が自然にレオさんのくちびるにあることに気づいて、
彼は口元を隠した。

そんで、何しに来たの?

「なんか冷たいね。」

そりゃそーでしょなに言ってんの?
だって、まなは司の彼女だし
ちょっとは察してよ。
こんな夜遅くに来るとかなに考えてんのかわかんねぇよ、

俺の夢見たとかいって、ほんと意味わかんねー

「レオさん…?」

頬を染めて怖い顔をしてる。赤いのは怒りのせいなのか、寒さのせいなのか

あんま、俺のこと惑わせないでくんないかな。

まなは司の彼女だ
俺は、ひとのもんに手出すとか、
そんなゲスなことできねえから

「じゃあなんで」

なんであんとき、キスしたのかって言うのかよ?

それは…あのときは、

お前を泣き止ませる方法が浮かばなかったのと。

司昔、やり逃げみたいなことずいぶんやってたから

勝手に、まなも捨てられたんだって思い込んだ

悪かったよ、行動が伴ってなくて。

「わかった、ごめんね。帰るね。」

背を向けようとつまさきの方向を変えた。

冗談よせよこんな時間に。しかも
こんな寒くて、
女の子ひとりで帰せるわけないだろ。

「けど…」

あたしのうしろでドアが閉まって、鍵が、かかる音がした。

「レオさん…?」

パチンと、玄関の照明が消されて、

レオさんが近づく。