有名FIRE投資家がぶっちゃける「新NISAで何を買うべきか」…これ一択!「自分もなんでもっと早く買わなかったのか後悔」驚異の成長スピード

 

 2024年1月からいよいよ始まる「新NISA」。年間投資枠や非課税保有限度額の拡大、非課税保有期間の無期限化など、資産形成の手段としての注目度がさらに高まっている。この新NISAを「神NISAと名付けたい」と激賞するのが、2020年に47歳でFIREを達成した投資家の「おけいどん」こと桶井道氏だ。とくに複利の効果を期待すべき「つみたて投資枠」で選ぶべき商品のポイントについて、桶井氏が語る。 ※本記事は『お得な使い方を全然わかっていない投資初心者ですが、NISAって結局どうすればいいのか教えてください!』(すばる舎)から抜粋、再構成したものです。

「つみたて投資枠」では米国株の投資信託を!

 新しいNISAで大きく便利になった点の1つは、投資先を自由に選んで投資できる枠(成長投資枠)と、投資信託に積み立て投資ができる枠(つみたて投資枠)を併用できるようになったことです。  新しいNISAで私がオススメする基本戦略は、下記2つの戦略の組み合わせです。 ①「つみたて投資枠」を活用し、複利効果を最大化できるよう投資信託にできるだけ長期の投資を行って「資産の最大化」を狙う。 ②「成長投資枠」では、個別株およびETFの配当金や分配金を「じぶん年金」とすることを意識しながら、株価の上昇も狙える銘柄へ投資して 「配当金の最大化」を狙う。   厳選された投資信託のなかから選ぶ 「つみたて投資枠」では、あらかじめ金融機関が金融庁に届け出ている投資信託(条件に合致しているもの)や、一部のETF[上場投資信託]を積み立てることができます。  この「つみたて投資枠」では、私は米国株に投資対象を絞った投資信託を選ぶことを強くオススメします。次点で全世界の株式に投資するタイプの投資信託を、さらに次点で先進国の株式に投資するタイプの投資信託を推します。

時価総額ランキングの7割超が米国企業

 諸外国への投資のなかでも、私は米国株への投資をイチ押しします。この理由は、米国の企業こそが現代の資本主義社会でもっとも革新的な存在であり、またガバナンス(企業統治)にも優れ、実際に過去数十年、素晴 らしい実績を上げてきているからです。  みなさんの周辺を見回してみてください。コカ・コーラやマクドナルド、スターバックス、P&G、VISAカード、マスターカード、Windows、Amazon、Google、X(旧Twitter)、 Facebookなどなど……米国企業が開発したり製造したりしている商品・サービスは、私たちの日常生活のなかに当然のごとく存在しています。  日本だけではありません。世界中どこへ行っても、丸1日米国企業が開発した商品やサービスを利用しないで暮らせる国は、ほぼないと言っても過言ではありません。世界中に市場を持つ米国企業は、その商品やサービスをグローバルスタンダードとし、資本主義経済のトップランナーとして走り続けています。 それを裏づけるのが、世界の企業の時価総額ランキングです。  時価総額の2023年7月14日時点のランキングで、トップ10のうち、3位のサウジアラムコ以外の9社はすべて米国の企業です。30位までを見ても、22社(約73%)を米国企業が占めています。 世界のなかでいかに米国企業が強いか、明白にわかっていただけるデー タだと思います。

なぜ米国企業では後継者問題が起きないのか

 米国企業は、ガバナンス(企業統治)やコンプライアンス(法令遵守)の面でも世界的に評価が高いことで知られています。残念ながら日本企業ではここ数年、あっと驚くような不祥事を耳にすることが増えています。 ガバナンスが一般的に日本より厳格な米国企業では、こうした不祥事はほとんど起こっていません。  ニューヨーク証券取引所のルールで、上場企業は取締役のうち過半数を社外取締役にすることを義務づけられています。外の目を入れなさい、ということです。また米国は訴訟社会とも言われ、不正行為を行うと容赦な く訴えられる傾向が見られます。  こうした要因により、ガバナンスやコンプライアンスが効いた経営が行われているように感じています。  また米国企業では、日本企業ではよく聞かれるカリスマ経営者の後継者問題もほとんど聞かれません。アップルでは、カリスマ経営者だったスティーブ・ジョブズ氏亡きあとも後継者であるティム・クック氏が経営を引き継ぎ、企業を成長させ続けています。マイクロソフトも同様に、カリスマ性のある創業者ビル・ゲイツ氏からの世代交代に成功しました。  米国企業では創業者の引退=会社の衰退ではありません。常に新しい経営者が現れて、会社を改革・成長させています。それは特定の人物を神格化する属人的な経営ではなく、ルールに基づいた経営が実践されている企業が多いからでしょう。米国には経営のプロが多くいることも要因の1つだと思われます。

投資家に報いる米国、報いない日本

 加えて、米国企業は株主への還元に対して積極的です。企業から株主へ 利益を還元する方法にはいくつかありますが、米国企業は「株価を上げる」「配当を増やす(増配)」「自社株買いをする」の3つの手法で、投資家に報いようとします。「会社は株主(投資家)のもの」という考えが強く、同時に、株主からの要求もシビアだからでしょう。   米国企業は日本企業に比べると、新株発行による資金調達(増資)をするケースが少ない印象もあります。増資をすると、1株あたり利益が低下して株価が下落するため、既存の株主は損をしてしまいます。 日本企業は経営不振によって増資に走りやすい印象があるのですが、米国企業ではその可能性が低く、比較的安心して株式を保有できます。  こうした成長の結果として、全世界の株式市場の時価総額をすべて合計したとき、そのうちの40%以上を米国株が占めている、という現状もあります(ちなみに日本のシェアは5%ほどで、世界3位です)。

日本株よりも米国株が「安心」

 私自身、米国株(含む、投資信託・ETF)への投資を8年ほど続けていますが(投資歴は25年)、日本株への投資に比べてリターンが大きく、成長のスピードが速いことに何度も驚かされてきました。  なぜもっと早く米国株への投資を始めなかったのかと何度も悔やんだほどです。米国企業の強さと同時に、国としての米国の強さにも安心感があります。冷戦終結後の米国1強時代ほどの強さはもはやありませんが、それでも、GDPは不動の世界1位。軍事力でも、世界最強の米軍には、まだまだ中国 軍やロシア軍は逆立ちしても勝てないでしょう。  人口減少に悩む先進国が多いなか、移民の流入で人口増を維持できているのも経済成長を支えます。  さらに、国際貿易の基軸通貨としての米ドルの強さもあります。こちらも最近は強さに多少の陰りがありますが、まだまだ他通貨の追随を許していません。  米国株へ投資する投資信託を買うことは、間接的に米ドル建ての資産を持つということですから、仮に日本円の価値が低下しても、その分、米ドルの価値が上がることで為替面でのリスク分散もできます。  さらに言えば、米国政府の経済政策には、正直、日本のそれよりも信頼が置けます。  少なくとも2000年以降、金融危機や景気後退が来ても、米国政府や FRB(米連邦準備制度理事会。米国の中央銀行にあたる)は速やかに対策を実行し、経済を立ち直らせてきました。「失われた20年」を引き起こしてしまった日本の経済政策の舵取りより、よほど信頼できると私は感じています(アベノミクスは評価しています)。 こうしたさまざまな強さを持つ米国の企業に投資することは、「自国だから」と漫然と日本企業に投資するより安心ですし、投資のリターンも大きくなる可能性が高いと私は考えています。

桶井道