公的年金に関する理解度

生命保険文化センターが実施した「ライフマネジメントに関する高齢者の意識調査」と、同時期に実施した40歳~59歳の中年層への調査から、公的年金に関する理解度や実態を確認してみましょう(※1)。

公的年金の繰上げ・繰下げ受給について、そもそも受給開始年齢を自由に選んでよいことは、どの程度認識されているのでしょうか。

表1.

公的年金受給開始年齢についての認知[「中年層調査」との比較:参考]

年金をもらい始める時期や老後資金の準備って、みんなどうしているの?

年金をもらい始める時期や老後資金の準備って、みんなどうしているの?© ファイナンシャルフィールド

(出典:生命保険文化センター「ライフマネジメントに関する高齢者の意識調査」より転載)

受給可能年齢である60代でも「知らない」人がいると同時に、50代でも約2割というのは意外な数字でした。老後の生活設計を、まだ一度も正しい情報で考えていないということかもしれません。

なお、60歳以上全体を職業別に見ると、自営業や会社員・公務員、派遣・パートなどいずれも80~90%が「知っている」と回答していますが、自由業は70.3%と低い結果となっています。自由業の明確な線引きは難しいですが、多くは個人活動のウェブデザイナー、著述業、アーティスト、コンサルタント等が挙げられます。活動に注力し老後の生活まで意識が届かない、あるいは国民年金だけなので関心が高くない……そんな姿が目に浮かびます。

繰下げ受給を検討する際の基準

同調査では、年金未受給者に対して、繰下げ受給するとしたら何を基準にするか聞いています。みなさんならどうでしょうか。

表2.

受給開始年齢を遅らせる場合の基準 [「中年層調査」との比較:参考]※複数回答可

年金をもらい始める時期や老後資金の準備って、みんなどうしているの?

年金をもらい始める時期や老後資金の準備って、みんなどうしているの?© ファイナンシャルフィールド

(出典:生命保険文化センター「ライフマネジメントに関する高齢者の意識調査」より転載)

いずれの年齢層も、「健康状態」が最多です。たしかに健康不安があると、年金増額が魅力的でも、すぐ年金をもらう選択に傾くかもしれません。ただ、中年層では年金額や収入を挙げる回答も多く、繰り下げするかどうかは、生計維持の見通しにも大きく左右されそうです。

なお、厚生労働省の統計資料(※2)によると、令和2年度の厚生年金受給権者のうち、年金を繰り上げしているのは0.5%、繰り下げは1.0%です。

加給年金受給権との関係など、厚生年金は繰り下げを控える事情もありますが、国民年金のみの加入者でも、繰り上げが28.2%、繰り下げが1.7%と、年金全体としてまだ繰り下げ実績はほとんどないのが実態です。年金の受け取り方は複雑な選択肢があるので、早くから関心を持ち慌てないようにしたいものです。

あなたは何歳まで生きる準備をしていますか?

同調査では、「何歳まで生きたいと思うか」と「何歳まで生きると考えて経済的準備を行っているか」についても聞いています。両方の結果を次の表で重ねてみました。

表3.

「何歳まで生きたいと思うか」と「何歳まで生きると考えて経済的準備を行っているか」の回答結果

年金をもらい始める時期や老後資金の準備って、みんなどうしているの?

年金をもらい始める時期や老後資金の準備って、みんなどうしているの?© ファイナンシャルフィールド

(出典:生命保険文化センター「ライフマネジメントに関する高齢者の意識調査」より著者作成)

(準備)は準備を行っている年齢、(希望)は生きたいと思っている年齢です。高齢層は準備と希望がほぼ一致しており、90代まで生きることは、希望のみならず現実感として選択されているのでしょう。

一方、中年層は80代の「平均寿命」を意識した回答といえます。現在の高齢層より90代まで生きる確率は高いかもしれませんが、10%程度しか90代に目を向けていません。まさに「長生きリスク」の可能性が高いといえます。つまり老後資産は、90代まで見通して年金受給や預貯金残高の計画を立てなければなりません。

最後に

実際に、みなさんは老後資産をどのように準備しているのでしょうか。「老後資産形成の私的準備状況」(※1)によると、年代を問わず上位3つは、(1) 預貯金、(2) 生命保険、(3) NISAとなっています。75歳以上になると、不動産の売却・賃貸が3位に上がってきますが、NISAの存在感が大きくなってきているようです。

一方で、老後資産を「準備していない」割合が、高齢層で17.4%、中年層で25.5%に上ります。

年金に対して正しい理解をもち、それぞれの収入予想と事情に応じた老後資産準備を、早めに始めるようにしましょう。