こんにちは!
ボイストレーナーの不破です。
こんな感想をいただきました。
私は音がとれないのが悩みでしたが、こんなに早く音程が良くなって嬉しいです!レッスンに通ってて良かったです。(原文そのまま)
レッスンに通って良かったと思ってもらえることは、ありがたいことですよね!
トレーナー冥利につきます。
彼女は、元々アイドルとして活動をしていました。
しかし、当時は『声』で魅せるよりも、『姿』で魅せることが中心であり、ダンスの練習をメインにしていたそうです。
ボイトレも一応は受けていたらしいのですが、音程を全くとれないのが悩みの種。
アイドルとしての活動を終えた今、本格的に歌を勉強したいと、私のレッスンに来るようになりました。
そんな彼女は、感想のとおり、確かに早い段階で、コンプレックスを解消できました。
理由は簡単・・・彼女に必要な独自のカリキュラムを組み立てて、レッスンを行なったからです。
今日は、実際に行なった幾つかのトレーニングの中から、ひとつピックアップして紹介させていただきます。
決して難しいトレーニングではありません。
誰にでもできることですので、是非トライしてみて下さい!
では、質問です。
アナタは、一体どんなトレーニングだと思いますか?
答えは、こちら。
ひとつの音をロングトーンする
です!
え?なんだかシンプル過ぎるのでは?!・・・と思ったかもしれませんね。
『ひとつの音をロングトーンする』トレーニングとは、一体どういうことなのか?
くわしい手順とともに説明していきましょう。
1、自分が歌う課題曲の『1番最初に歌う音』を選ぶ。
Aメロはじまりの曲もあれば、サビはじまりの曲もありますよね。
ただし、そういった構成自体は、あまり気にせず、とにかく『1番最初に自分が歌う音』を、まずはしっかりと覚えておいて下さい。
その際『ドレミファソラシド』のうちの『どの音階』なのかを明確にしておくと、尚良しです。
(ピアノや楽譜などでチェックして、最初の音が何なのかを把握しておきましょう。)
2、上記の1で選んだ音を『ア』の発音でロングトーンして、秒数を計測。
例えば、『君が~』という歌詞からはじまる曲の場合、『き』がはじまりの音になりますよね。
その際、『き』という歌詞を『ア』という発音に変換して、ロングトーンして下さい。
これは、はじまりの歌詞が、どんな歌詞であろうと同じことです。
『ア』という、発声しやすい母音の基本形にしてあげることで、練習効果は上がりやすいです。
さて、アナタは何秒間、同じ音でロングトーンが続けられるでしょうか?
時計や携帯のストップウォッチ機能などを使って、計測してみて下さい。
これまでの経験上、最初にロングトーンをさせてみると、10~13秒あたりの人が多かったように感じます。
(もちろん、人ぞれぞれですので、まずは自分の出せる範囲で頑張ってみましょう。)
3、計測した記録をこえられるよう、ロングトーンに挑戦 。
→ これの繰り返し。
最初に記録したロングトーンの秒数が、例えば『10秒』だった場合。
次は、『10.1秒』・・・つまり、0.1秒でも良いので、記録更新を目指してロングトーンに挑戦してみて下さい。
記録更新できたら、また同じことを繰り返します。
補足ですが、息が苦しくなって『声にならない声』になってしまう部分は、計測の対象外にして下さい。
(音として認識できない声では、意味がないからです。)
ちなみに、このことを繰り返して、どんどん記録更新をしていると・・・。
1番最初に出した記録は、意外と楽にクリアできていることに気づくはずです。
4、今度は『2番目に歌う音』を選んで、上記の2~3を挑戦。
上記の3で、ロングトーンを出せる限界のところまできたら・・・。
次は『2番目に歌う音』で、上記2~3のことを挑戦しましょう。
もちろん、発音は『ア』に変換して、ロングトーンして下さいね。
『2番目に歌う音』でも、ある程度の限界がきたら、『3番目』『4番目』・・・と。
チャレンジしてみると良いでしょう。
・・・と、このようになります。
ここまで大丈夫でしょうか?
では、なぜ?
『ひとつの音をロングトーンする』トレーニングが、音をとれる体質づくりに役立つのでしょうか?
もちろん、これには理由があります。
大抵の人の場合、長い音符を歌う時には、長く伸ばした後半部分で、音が減衰していきます。
読んで字のごとく、『減って』『衰える』わけですから・・・。
声を出しているうちに、本来出したいと思っている音階から、どんどん下がって離れていく・・・ということです。
ざっくり言うなら、同じ音を出し続けていると、音がフラットして(下がって)、ズレる傾向があるのですよ・・・というわけですね!
また、大抵の人の場合、出したい音階に対して、フラットした(下がった)状態から発声し始めて、徐々に出したい音階へと合わせていく・・・という傾向も見受けられます。
つまり、出したい音階の『最初』の部分も、ズレやすいですよ!・・・ということですね。
この2つの傾向をまとめておくと。
たったひとつの音でさえも、音の最初部分はズレていて・・・
何とか途中で音が合ってきて・・・
でも結局、最後は減衰して音がズレてしまう・・・
という、何とも残念な現象がおこってしまうわけです。
こういった『音ズレ』の傾向を知らずにいると・・・音がとれない原因も曖昧なままになります。
そのまま放置しているうちに、『自分は音痴なんだ』『歌手の夢はあきらめよう』と、勝手に自信を失ってしまうかもしれませんね。
非常にもったいないことです。
今回のトレーニングは、そういった傾向に対して、効果があります。
なぜなら、ロングトーンをするたびに、『同じ音を保とう』という意識が、頭と体に芽生えるからです。
実際、プライベートスタジオでレッスンする時は、レコーディング機材を使って声をデータ録音。
トレーニング前は、ロングトーンをすると、音が減衰しているのに対して。
トレーニング後は、同じ音を真っ直ぐ出せるようになっていることが、『目』で見て分かるようになっています。
長い長いロングトーンをブレなく出せるようになっている時。
それは、同じ音を最初から最後まで、真っ直ぐ保ちながら出せるようになっている時でもあります。
このトレーニングを丁寧に行なえば、音がとれる体質づくりの一歩を踏み出すことができるはずです。
では、本日はここまでです!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
このブログが、アナタの役に立つなら幸いです!