1962 ~ 1974 ~ 2024 「ゲットバック」を観る | 西野和馬のオーディオ西方浄土パート2

1962 ~ 1974 ~ 2024 「ゲットバック」を観る

この週末、ビートルズのドキュメンタリー「ゲットバック」を全て観ました。

 

あたしは、告白するが、ものすごく感動した。いろいろな意味で、、

 

土曜日は午後からやすみで、家事とかもいろいろやったのだけど、そ~いうのは午前中に終わらせて、午後のほとんどをゲットバックの視聴に費やしました。というか、長時間のドキュメンタリーだったのだけど、ビートルズファンのあたしは、一時も目が離せなかったというのがほんとのところでした(笑)。

 

なにしろ、あたしが長年愛聴してきた、あの曲、この曲がどういうふうに編曲されていくのかを「生」で知ることができるなんて、まさにファンにとっては奇跡みたいなことで、特にバンドなんかでオリジナル曲をやってるあたしみたいな向きにとっては、ほ~とかお~とか驚く場面の数々、、、やっぱこの人たちは天才だわ~とおどろいてしまう場面の連続。

 

特にアレンジにおいては、ジョージの果たした役割が実に大きくて、タイトル曲「ゲットバック」のアレンジの基本的アイディアはジョージのものであったことが分かりました。

 

その他の曲でも、ジョージの意見が抜群に活きていて、あらためてのこの人の才能を認識しました。ビートルズのほとんどの曲がレノン/マッカートニーのクレジットになっているけれど、いやいや本来ならハリソンの名前が付けくわえられるべきで、そうい意味でも、ジョージのフラストレーションは、この時期爆発寸前だったのだなあと思いました。

 

特にポールとの関係が微妙だったみたいで、バンド中で、ポールはがんがんやりたいけれど、やっぱりジョージの存在は、ちょっと邪魔っぽくなっていて、このドキュメントの中でも、撮影途中、ジョージがバンドを一時離脱する場面があるんだけど、最後まで見ると、なるほどなあジョージの気持ちが分かる。

 

リハーサル途中で、ポ―ルがいなくなって、ジョンと二人になったときに、実は自分はソロアルバムを出したい。作品がたくさんあって、それを人々に届けたいんだと打ち明けます。それに対して、ジョンが、それはいいアイディアだ。ビートルズの枠内で、君の曲をメインしてアルバムを出したらどうだろう==なんて提案しています。

 

かの有名なアップルビルの屋上でのライブの寸前、、、ポールが、そんなのやりたくない。そんな無謀はやめて、しっかり今回作った作品を録音して、アルバムにしたてるのがベストだ==なんて言いはじめる。ジョンは意外に律儀で、いや、決めたことだから、ともかくやろうぜ、、なんて言うと、ジョージが、俺も屋上ではやりたくないなんてごねはじめる。リンゴは、その状況を静観している==なんてことがことがあったなんて、あたしは、はじめて知った。おどろいた。なぜなら、屋上ライブでのビートルズは乗りに乗って、はちゃめちゃやって実に「ライブバンド」として楽しさの極致という姿であったからなのでした。

 

いずれにしても、あの時期、ポールとジョージの才能は頂点に達していて、ジョンは、あんまりビートルズには興味がなくて、むしろヨーコとの関係に専心していて、リンゴはドラム職人に徹していて、、これは、よくある人間関係がうまくいってない「組織」みたいなもので、だれか第三者がうまくバランスをとってあげないといけなかったのかもしれない。

 

アラン・クラインっていうやり手マネジャーをマネージメントに入れるなんて話も出てくるけれど、ビートルズ自身、このころ仲介者が必要だということを痛感していたのだと思います。

 

ずっと見てると、多分、解散は時間の問題なんだろうなあ、しょうがないなあと感じます。ジョージ・マーティンなんかが出てくるんだけど、この人は音楽専門なので、ビートルズの人間関係がど~のこ~のなんてあんまり関心がないみたい(笑)。

 

という訳で、モデレーターのいないビートルズの進む道は「解散」の他なかったとういうのがよく分かりました。そして解散の口火をきったのがポールだったというのは、このドキュメントを観てるとよくわかる。

 

つまりは、ポールのバンドに対する愛憎が、つまり可愛さあまって憎さが百倍みたいな心境で他の3人を「バンド活動に協力しない」ねんていう理由で訴えたということなんでしょうね、、、

 

とは言え、音楽をやってるときの4人は、実にいい! 楽しそうですし、ハチャメチャなことをやってるけれど、あたしらの愛聴する曲を「バンド」で実演する演奏する彼らのかっこういいことといったら! 中でもやっぱりポールが一番かっこいい! あたしがベースを弾くからっていうこともあるけれど、

 

ジョンはちょっといっちゃっているところがいい、、この人、リハーサル中も、へんな冗談ばかり言って、悪ふざけが大好きで、いかにもイギリス人のエキセントリックという感じの人で、実に面白い。音楽も悪ふざけと真剣さの紙一重で、そのスリリングなところが実に面白い。しかし、ポールと音楽をやってるとき、特に歌詞を一緒に作ったりするときや、ヘッドアレンジをしているときの、この人の目つきはこわいぐらいするどい、、おそろしいぐらい。半端じゃないなこの人は、、狂気がある、、

 

ジョージは、いつも淡々としているけれど、いつも全体を見てる感じ。バンドというか音楽全体をいつも俯瞰していて、ヘッドアレンジについては、いつも適格なアイディアを出す。理論家なんだろうなあ。インド思想に系統していったのも、宇宙というか生きてるってことそのものを、何等かの枠組みで理解したかったかもしれません。

 

リンゴは、他のメンバーが次々に出してくるヘッドアレンジに従って、適格にドラムをたたく。この人のドラムが入ると、ビートルズの音になるから不思議!この人もまさにビートルズ。

天才ドラマーに間違いない!  

 

しかし、それらを差し置いても、このドキュメンタリーのクライマックスである「屋上ライブ」は、やっぱりすごかった! 

 

あたしが、14歳のとき、はじめて買ったビートルズのアルバムが「レットイットビー」。

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なにしろ黒いジャケットに載る4人の顔写真が、無茶苦茶かっこよくて買ったのだったけれど、聞いてみたら、なにかこ~ラフな感じがして(ライブだから当たり前だけど、その当時はそんなことは分からなかった)、はじめは、う~んとっつきにくなあと感じていたけれど、何回も聞きこむうちに、このアルバムの曲にひきこまれていったのでした。そのようにして、これまで愛聴してきた曲が、あらためて、ほんとに昨日撮りましたというような美しい映像と音で見られるのだから、あたしを含めてファンにとっては、たまらない! 

 

ビートルズがデビューしたのが、あたしが生まれた1962年。あたしが、はじめて彼らのアルバムを買ったのが14歳のとき1974年(中2だった!)、そうして、このドキュメンタリーを観たのが2024年(あたしは、もう62歳だっ!)。レットイットビーのアルバムを買ってから、なんと、もう、50年! 半世紀も経ってますね! 

なんとまあ! 

 

しかし、中学校のときにビートルズにあこがれて、何回も彼らの音楽を聞いて、今も聞いていて、彼らのもっとも良いときの姿と音楽に、このドキュメンタリーは見せてくれて、あたしは、こころのそこから感動し、同時に、これを作成したみなさんにありがとうといいたい。クレジットを見ると小野洋子さんの貢献が多大のようだ。映像の中にも若き日の小野洋子さんがジョンと一緒にいるすがたが多く出てくる。なんとも静謐な感じで、ちょっとミステリアスで存在感が半端じゃない(笑)。

 

それにしても、この作品が撮られたのは、1969年。あたしが2年生のときだ。ある町から、実家に引っ越してきて、田舎の小学校に転校してきた小2のあたしは、いろいろといやな思いでばっかりの頃だ、、 その頃、はるか遠くのイギリスでは、4人の天才たちが、こんな音楽を作っていたのだと、そうして、その10数年後のあたしは、彼らの音楽に魅せられて、還暦を超えた今でも愛聴している。これはすごいことだ。

 

ジョンもジョージももういないが、この映像の中では、活き活きとして、すでに他界しているってことが、信じられないほど、、それほどこの映像は生々しい、、

 

なんだかとりとめもないことばかりを書いてしまったけれど、しかし、もっと書きたいこともあるけれど、、それは、とても個人的なものだから、もうやめましょう(笑)。

 

しかし、心底感動しました。ザ・ビートルズ! すばらしい!