自分の人生の中でまさにバブルだったのがこの時期。

 

17歳の高校生が望むものは全部思い通りになったような気持ちの毎日がこの時期。

 

本気で藤原道長の望月の歌みたいな気持ちで、こんなことがずっと続くのか? もっと開けて行くのだろう。

 

人生ってこんなに楽ちんなもので良いのか? きっと良いんだろう、

俺が本気になれば何だって出来る、不可能なんて無いって本気で考えてた時期。

 

今にして思えば単に凄く痛いヤツだったんだろうけど、若さなのか何なのか。

 

17歳の誕生日の日、その日はたまたま学校の遠足の日で、行きのバスの中でクラスのみんながサプライズでハッピーバースデイを歌ってくれた。全く予想してなかったからすごく嬉しかった。

 

放課後に部室に向かう途中で、中学から同じ高校に進み、同じ野球部だった平賀君が、「17歳の誕生日は特別、お前にプレゼント買ってきたわ」白いマグカップに「MICHIKO」の黒い文字、三智子さんという当時の彼女の名前を選んで買ってきてくれたのだろう、彼の友情が嬉しかった。

 

その日その他でも忘れられない出来事が起きた日で、それは遠足帰りの近鉄の電車の中で、中年のおかまのおじさんにナンパされるという経験をした。

 

近鉄四日市から各駅停車で近鉄富田に向かう途中、「凛々しいわ。。」「たまらんわ。。」という独り言が聞こえてきたので、声のする方に振り向くと、梨本勝レポーターみたいなおっさんがめっちゃじっとこっちを見ながら、ぶつぶつ呟いてる。

やがてこちらに近づいてきて、「お金はいくらでも払うから、一緒に神戸に行かないか?」

 

横で一緒に帰ってる同級生の後藤君が声を押し殺して大笑いしてる。おっさんの圧が凄すぎて富田まで耐えられず、阿倉川で降りてしまったほどだった。現場を目撃した後藤君からはその後しばらく、「神戸の人どうしてるやろね」といじられることになった。

 

電車通学だったので他校の生徒やチンピラみたいなものからイチャモンつけられることは少なからずあった。

そういう相手には全然緊張もしないし、怖いというよりはむしろワクワクするほどであったが、おかまのおじさんは正直怖かった。痴漢にあった女性の気持ちが解る気がした。