ピアノ工房では、新しくスタンウェイの修復中。
私がこの工房で見る3台目のスタンウェイです。
今回のスタンウェイはちょっと悲しいお話。
25年前、バブル時代に、資産価値的に購入されて
一度も調律などメンテナンスを行われないまま
湿度の影響を受け、経年劣化・・・
持ち主は買ったときよりもっと高い値段で売れると思ってた様子。
バブルの時代って・・・いろんなもの転がせるとおもっってた人は多いけど
ピアノ転がし・・・の思惑ははずれてしまったようです。
でも、ちゃんと生き返るからね。
響板の塗装をはがしたところ。
とってもきれいにみえるけど・・・
これね、すごく根気がいるのよ~~
古いニスを削っておとすの。
根気欲ペーパーかけて・・・
響板のヒビをうめて、うめたところをニスをぬったときに
わからないように塗装してまたニスをぬります。
ニスは天然のニス。松脂を主成分としたもの。
乾くのに何日もかかります。
それを数回繰り返します。
いい楽器は響板に使う木材も、その使い方も、張り方も
すごくいい音のために計算されています。
楽器をつくった人の職人技・・・楽器や木への愛情を感じさせてくれるものです。
この工房でいろんなピアノを見せてもらっているけど
いろんな響板があって、作り手の智恵がうかがえて、
楽器はひとつひとつが唯一無二なのだと感じます。
だからね、新しいピアノ買える値段かけても修復するに値するピアノがあって
私はそういうピアノに魅力を感じてしまいます。
大量生産のピアノにしか出会えなかった頃は・・・
響板っていわば楽器の一番大事なとこ。
そこにヒビはいったりするの?
そんなのダイジョウブなの?って
(欠陥品じゃないの的な考え方ですが、本当に素材や作り方が悪くてそういうものもあるわけです)
それって楽器的に寿命じゃないの?って認識でした。
実際メーカーは「ピアノには寿命がある」といいきってます。
うーむーーー
私はお客さんにはそう言えなかったなー
とにかくね、そんなガンガン消費することを考えず
ピアノが大事につくられてたら
コストダウンや頑丈さより、
いい音がでるようにびしーーーっと響板を張ったりしない。
びしーーっと張れば割れることもなく長持ちするだろうけど、音はどうかな?ということ。
私はよく、調律に行った先で、響板の話をするとき
音叉をならして、テーブルにのせて
テーブルが響くのをお客さんの目の前で聞いてもらって
「これがピアノでいうと響板で、楽器ってそういうことなんです」って話してた。
木が音を広げてくれる。
テーブルを使っていたけど、フローリングの床でも同じことができるかもしれないし
ピアノの響板を説明するならそっちのほうがわかりやすいかな?
おうちのフローリングでも、年数たてば木は変化していくから
板と板の間に隙間ができたり、割れたり
目をつめすぎると逆にたわんだりする。
日本でフローリングが流行って
安い~っと南国の木材を使ったところ
湿度の変化でおおきく床がうきあがったことがあると
大工さんに聞いたこともある。
フローリングの床ほどではないけど
びしーーーっと張りすぎた響板でも同じことがおきたらしい。
古いフローリングを張り替えるか?それとも大事にメンテナンスして使い込んでいくか?
もちろんオリジナルにどれだけいいものや考えが使われているかにもよるだろうけど。
なんでも新しくしたほうがいいって話じゃない。
とにかく、割れた響板も修復することを知ったのはパリの工房。
必ずといっていいほど、この響板の補修をしていました。
それにしても・・・やっぱり木材って煩雑に使われるようになりましたね。
いくらでも代わりのきく素材ではないのに・・・むしろなくなっているのに・・・
あぁ・・・でも、ふとんの綿にしても・・・木材に限らずか・・・・
どんどん新しい安価な素材つかって消耗していけばいいよ・・・という考え方。
もうやめようよ・・・やめなくちゃ・・・でもやっぱりケイザイは大事だから仕方ないのかな?