休日の朝。
目覚ましをかけずに起きる、
あの最高の瞬間。
みなさんは、
どうでしょうか?
こういうのって、
やっぱりいいですよね。
外を見ると、
お天気もなんだか良さそうです。
せっかくのお休みだから、
どこかお出かけしようかな。
そんなふうに、
ちょっとワクワクしながら、
リビングへと向かいました。
けれど、
今日の私の心には、
ひとつの強い決意があったのです。
それは、
家事を最低限にする。
ということでした。
完璧な主婦を目指すわけではありません。
むしろ、
その逆です。
今日は、
とにかく何もしない。
最低限のことだけやって、
あとはのんびりダラダラ過ごすんだ。
そんな強い意志を胸に、
私は朝のスタートを切ったのでした。
では、
いったい、
最低限の家事とは何なのか。
ここで、
問題になるのが、
『家事の境界線』
というものです。
洗濯は、
どうするのか。
料理は、
どこまで手抜くのか。
掃除は、
完全に見なかったことにするのか。
私の場合は、
まず洗濯は、
ほんの少しだけ回すことにしました。
完全に放置すると、
あとで山のような洗濯物に囲まれて、
『絶望』
を味わうことになります。
それは、
絶対に避けたい。
なので、
最低限のタオル類だけを洗濯機に放り込み、
ボタンを押しました。
よし。
これで洗濯はクリアです。
次に、
問題になるのが、
『朝ごはん』
という難題です。
いつもなら、
お味噌汁を作って、
焼き魚を焼いて、
卵を割って、
と、それなりに頑張るのですが。
今日の私は、
違います。
なんと、
冷蔵庫の奥から発掘された、
賞味期限ギリギリの菓子パンを、
そのままテーブルに置いたのです。
お皿すら出しません。
袋からそのまま食べるという、
究極の省エネスタイルです。
こういうのって、
普段やらないからこそ、
妙な背徳感があって、
ちょっとドキドキしちゃいますよね。
パンをかじりながら、
私は思いました。
「私、今、
すごく自由かもしれない。」
まるで、
日常のしがらみから解き放たれたような、
そんな軽い解放感を感じていたのです。
でも、
事件は、
ここからでした。
家事を最低限にして、
浮いた時間で、
何をしたと思いますか?
ソファに寝転がり、
スマホを片手に、
ただひたすら、
どうでもいい動画をエンドレスで見ていたのです。
気づけば、
一時間。
二時間。
と、時間が溶けていきました。
ソファと私が、
まるで一体化しているような感覚です。
『無生物(むせいぶつ)』
になったかのように、
動かない私。
ふと、
リビングの隅を見ると、
そこには、
見ないふりをしていたはずの、
昨日の洗濯物の山が、
じっとこちらを見つめている気がしました。
気のせいでしょうか。
いや、
確実に私を見ています。
「おい、
本当にそれでいいのか?」
洗濯物の山が、
無言でそう語りかけてくるのです。
ここで、
不思議な現象が起きました。
家事を最低限に抑えたはずなのに、
なぜか、
心の中に、
妙なざわめきが生まれてきたのです。
これは、
いったいどういうことなのでしょうか。
楽をしているはずなのに、
なぜか、
少し落ち着かない。
不思議ですよね。
人間というのは、
何もしない時間を手に入れた途端、
『罪悪感(ざいあくかん)』
という名のモンスターを、
自分で勝手に呼び出してしまう生き物なのかもしれません。
せっかくの休日なのに。
もっと有意義に過ごすべきなのでは。
そんな声が、
頭の中で響き始めました。
でも、
ここで負けるわけにはいきません。
私は、
自分に言い聞かせました。
「いや、
今日は家事を最低限にするって決めたんだ。」
「ダラダラするのも、
立派な休日の過ごし方なのだ。」
そう自分を正当化しながら、
再びスマホに視線を戻そうとしました。
その瞬間です。
我が家のリビングに、
異変が起きました。
風もないのに、
キッチンの隅から、
かすかな音が聞こえたのです。
カサッ。
えっ。
今の音は何だったのでしょうか。
まさか、
お化け。
それとも、
野生の何か。
一瞬にして、
私の背筋が凍りつきました。
恐る恐る、
音のした方へと歩いていきます。
まるで、
ホラー映画の主人公になったかのような、
そんな緊迫した空気感です。
一歩、
また一歩と近づき、
キッチンを覗き込みました。
そこにあったのは、
想像もしなかった光景でした。
なんと、
昨日買ってきたはずの高級なプリンが、
冷蔵庫から勝手に飛び出し、
床の上で、
無残にも転がっていたのです。
正確には、
冷蔵庫のドアがきちんと閉まっておらず、
自重に耐えかねたプリンが、
重力に従って、
ダイナミックに落下しただけなのですが。
私の頭の中では、
まるで人生を左右する大事件が起きたかのような、
そんな大パニックが巻き起こっていました。
「ああっ!」
思わず、
声が出てしまいました。
せっかくの、
ちょっとしたご褒美プリンが。
私の、
大切な甘味が。
床の上で、
無惨な姿になって転がっているのです。
こういうのって、
ショックすぎますよね。
言葉を失うとは、
まさにこのことです。
私は、
その場でしばらく固まってしまいました。
家事を最低限にしようとサボった結果、
なぜかプリンが犠牲になるという、
謎の因果関係。
これは、
神様からのメッセージなのでしょうか。
「楽をしてばかりいると、
痛い目を見るぞ。」
そんなふうに、
プリンを通じて教えられたような気がしてなりません。
でも、
落ち込んでばかりもいられません。
私は、
重い腰を上げました。
結局、
掃除機を出すハメになり、
床を拭き、
散らかったものを片付ける。
あれ。
これって、
普段の家事よりも、
むしろ余計に働いているのでは。
そう気づいた瞬間、
私はなんだか切なくなってしまいました。
楽をしようと思っただけなのに。
ただ、
のんびりしたかっただけなのに。
人生というのは、
なかなか思い通りにいかないものですね。
でも、
不思議なことに、
部屋が綺麗になり、
プリンの残骸を片付け終わったあと、
私の心は、
なぜかすっきりと晴れ渡っていたのです。
あれだけ重かったはずの気分が、
嘘のように軽くなっていました。
動くときは動く。
休むときは休む。
そのメリハリが、
大事なのかもしれません。
そう考えると、
あのプリンの落下事件も、
意味があったのかなと思ったりします。
もし、
プリンが落ちていなければ、
私は一日中ソファから動かず、
『人間としての尊厳』
を失っていたかもしれません。
そう。
プリンは、
私の堕落を食い止めるために、
自ら犠牲になってくれたのです。
ありがとう、
私のプリン。
私は心の中で、
そっと手を合わせました。
ちょっと大げさかもしれませんが、
日常の小さな出来事の中には、
色々なドラマが隠されているものですね。
みなさんは、
休日をどんなふうに過ごしているでしょうか。
家事を完璧にこなす日もあれば、
私のように、
最低限にして事件を起こしてしまう日もあるかもしれません。
こういうのって、
やっぱり面白いですよね。
完璧じゃなくても、
なんとなく笑って過ごせたら、
それで十分なのかもしれません。
次は、
もう少し慎重に、
冷蔵庫のドアを閉めようと思います。
そして、
今度こそ、
美味しいプリンを、
無事に最後まで食べてみたいなと思いました。
そういえば、
少し、話しは変わりますが、
先日、近所のスーパーに行ったときのことなんです。
夕方の、
一番混み合う時間帯でした。
特売のコーナーに、
たくさんの人が集まっていました。
私も、
なんとなくその人だかりに引き寄せられてしまいました。
こういうのって、
なんだか気になってしまうんですよね。
何が売っていたのかというと、
新鮮なトマトでした。
真っ赤で、
つやつやとしていて、
いかにも美味しそうなトマトです。
しかも、
普段よりも、
少しお安くなっていたんです。
これは、
買うしかないなと思いました。
私は、
一番大きくて、
形がきれいなトマトを、
そっと手に取りました。
ずっしりと、
心地よい重みを感じました。
その瞬間、
なぜか、
遠い昔の記憶がよみがえってきたのです。
子供の頃、
祖父母の家に行ったときの思い出です。
祖父が育てたトマトを、
庭でもぎ取って、
その場で食べたことがありました。
水道の水で、
ざっと洗っただけのトマトでした。
かじると、
中から甘酸っぱい果汁が、
口いっぱいに広がったんです。
あのときの味は、
今でも忘れられません。
スーパーのパックに入ったトマトを見つめながら、
私は、
ふとそんなことを思い出していました。
たかがトマト。
されどトマト。
日常のささやかな買い物の中にも、
思わぬ思い出が隠れているものですね。
そう考えると、
日々の暮らしって、
案外捨てたものではないなと感じます。
忙しい毎日を送っていると、
どうしても、
目の前のことだけで精一杯になってしまいます。
洗濯物をたたんで、
掃除機をかけて、
夕飯の献立を考えて。
気がつけば、
一日が終わっている。
そんな日も、
少なくありません。
でも、
ほんの少しだけ立ち止まってみる。
まわりを見渡してみる。
そうすると、
思いがけない発見があったりするのです。
例えば、
ベランダから見える空の色とか。
道端に咲いている、
名前も知らない小さな花とか。
そういう何気ない景色に、
心を動かされる瞬間があります。
効率ばかりを求めてしまうと、
そういう大切なものを見落としてしまうのかもしれません。
たまには、
遠回りをするのもいいですよね。
予定通りにいかない休日も、
それはそれで、
一つの物語なのだと思います。
人生、
計画通りにいかないことばかりです。
むしろ、
ハプニングの連続と言ってもいいかもしれません。
プリンが落ちたり、
予定外の買い物をしたり。
でも、
そういう予測不可能な出来事こそが、
生活を彩ってくれるのではないでしょうか。
もし、
すべてのことが、
完璧にスケジュール通りに進んだとしたら。
それはそれで、
なんだか味気ない気もします。
少しの失敗や、
ちょっとしたドジがあるからこそ、
人生は面白いのかもしれません。
そういえば、
私の友達が、
こんなことを言っていました。
人生は、
壮大な寄り道みたいなものだよ、って。
最初は、
なんのこっちゃ、と思いました。
でも、
最近になって、
その言葉の意味が少しだけわかるような気がしてきました。
目的地に向かって、
まっすぐ走るのも悪くありません。
でも、
途中で道草を食ってみる。
気になるお店に入ってみる。
知らない路地を歩いてみる。
そういう寄り道のなかにこそ、
本当の宝物が眠っているのかもしれません。
私のプリン事件も、
いわば人生の寄り道の一つだったわけです。
予定外の方向へと、
大きく脱線してしまいました。
でもおかげで、
普段は考えないようなことまで、
いろいろと考えることができました。
たまには、
頭をからっぽにして、
ぼーっとする時間も必要なのです。
がんばりすぎない。
気負いすぎない。
ときには、
自分を甘やかしてあげる。
そういう心の余裕が、
明日への活力につながっていくのだと思います。
さて、
ここまでいろいろと書いてきましたが、
みなさんは、
どんなふうに感じたでしょうか。
共感していただける部分もあれば、
いやいや、それは違うでしょう、と思われる部分もあったかもしれません。
それでいいんです。
人の数だけ、
それぞれの暮らし方があります。
正解なんて、
どこにもありません。
自分が心地よいと思えるペースで、
自分なりの幸せを見つけていく。
それが一番大切なんだろうなと思います。
今日も、
何気ない一日が過ぎていきます。
特別なことは、
何も起こらないかもしれません。
でも、
それで十分なのです。
平穏な日常の中にこそ、
本当の幸せが隠れているのですから。
あ、
そうそう。
冷蔵庫の奥に、
まだプリンのストックがあったはずです。
今度こそ、
誰にも邪魔されずに、
ゆっくりと味わいたいと思います。
冷たく冷やして、
スプーンですくって、
一口食べる。
想像しただけで、
なんだか笑顔になってしまいます。
やっぱり、
甘いものは正義ですね。
疲れた体に、
優しく染み渡っていくあの感じ。
たまりません。
みなさんも、
今日のおやつには、
お気に入りのスイーツを用意してみてはいかがでしょうか。
ちょっとしたご褒美が、
日々の疲れを癒やしてくれるはずです。
さて、
そろそろコーヒーでも淹れようかと思います。
お湯を沸かして、
お気に入りのマグカップを用意して。
湯気が立ち上るのを、
ぼんやりと眺める。
そんな静かな時間が、
私はとても好きです。
それでは、
今回はこのへんで。
また、
日々の小さな出来事をお話しできたらなと思います。
みなさんも、
素敵な休日をお過ごしください。