事件当日のこと Ⅸ | 〜ぷらすなちゅらる〜

〜ぷらすなちゅらる〜

何かを失うと言う事で、得ていくものもあるということを私は知ってる。。はずだったのですが、いまちょっと心が折れてます。

司法解剖からは

10時半ごろに

帰る予定でしたので



10時過ぎから

洋君のお友達や

ご近所の方々が

続々と集まって

来られました。





何人集まっても

みんなコトバが

見つからない状態で

シーンと静まりかえった

沈黙の中で帰りを待ちました。






予定通りの時間に

洋君の帰宅となりました。




亡骸を映像で

撮られたりするのを

避けるために

一旦棺桶に納めて

室内へ入れる事になりました。





まだ、こども達は

会ってすら居ないのに…

棺桶に…。








洋君を乗せた車が

到着すると

中に入れないほど

報道の方で まるで

満員電車の様な

状態になりました。





警察の方が

押し退けて、ようやく

室内へ運び

お布団に寝かせ

はじめてみんなと

対面となるのですが


長男が見当たりません。





探すと、ベッドの中で

丸くなって隠れていました。



「お父さん帰ってきたけん

会いにおいで。」



と、声をかけたけど

返事はなくて

黙ってそばにいたら

少しして、ようやく

布団からでて

お父さんの元へ

一緒に向かいました。







長男にとって

家族の中でも、特に

かけがえのない存在の

父親だったのでしょう。



洋君のいる部屋に来ても

そばに寄ろうとせず

まるで 死を受け入れない!


と、いうような様子でした。



長男はこの後も

家から葬儀場へ

洋君を連れていく時も

いつの間にか

どこかへ消えてしまいました。




区切り区切りの時に

認めたくないのか

そこに居るのが

耐えられないのか…




たった10歳の

彼の心の中を想像すると

不憫で…

胸が張り裂けそうです。



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