「チェギョン、頼むから、少し、じっとしててくれ」
シンが懇願するように言った。
「でも、、、、、お部屋がどうなっているか、気になるんだもの、、、、、、」
「それは、みんな片付いてから、ゆっくり見ればよいだろう」
男手は翊衛士が居るのだが、引越し先に全員が行ってしまうと、チェギョンを元の家に置いておけない。
一緒に連れてきたのは良いが、とにかく、うろうろとするチェギョンが危なっかしくて、シンは結局チェギョンの後ろを付いて回るだけなのだった。
そんな二人を見て、業を煮やしたチェ尚宮が
「殿下、どうぞ、妃宮媽々とご一緒に、お庭でも散策なさっていてください。
今日はお天気も良いですし、マスクをしていただければ、温室に入っていただいても結構ですので、、、、」
と、やんわり退室を促した。
「え!お庭?行ってもいいの?」
「はい、殿下とご一緒でしたら、、、、、」
チェ尚宮は二人にマスクを渡しながら、返事をした。
チェギョンは、シンの手を引っ張るようにして、庭に出て行く。
そして、目当ての温室に入ると、携帯電話でそこに咲いている花をパチパチと写し出したのだ。
「そんなに、写真を撮ってどうするんだ?」
「うん、ここで、写生はできないでしょう?だから、お部屋で画像をもとに絵を描こうかと思って、、、、、」
「絵か?それはいいな」
シンの同意を得られ、チェギョンはやる気が出てきた。
カードに花の絵を色鉛筆や水彩絵の具で描き、それをシンが行くボランティア先に渡してもらったらどうだろう、、、、、チェギョンは、今の状態でも、なにか役に立つことがしたかったのだ。
その思いつきは見事にヒットした。
5ヶ月を迎えるまで、チェギョンは大事をとって広い別荘で過ごした。
シンだけが毎日のように、ボランティアに出かけ、その帰りにチェギョンが描いたカードを渡してくる。
その優しいタッチの絵はいつの間にか評判になり、だれが描いているのか、どうやったら手に入るのか、、、と噂に上っていった。
シンはその話をチェギョンには言わなかった。
また、たくさん描かなければ、とチェギョンなら無理をすることがわかっていたからだった。
でも、皆が喜んでくれていることは、いつも伝えていた。
二人の生活の様子も、宮に報告としてだけではなく、記録としても映像で残されていった。
チェギョンは酷い悪阻も無く、順調な妊娠生活を送っていた。
チェギョンの元にシンがやって来てから、半年が過ぎ、宮のほうでもそろそろ国に戻ってはどうかと言う連絡があった。
チェギョンが大手を振って帰れる日になったのだ。
韓国にチェギョン懐妊のニュースが流れると、国民は喜びに沸いた。
そして、いつまで他国に居させるんだという非難の声が溢れたのだ。
もちろん、二人は謹慎ではなく、親善大使として行っていたのだが、チェギョンが謹慎のまま一度も帰って来ていないので、誤解している人も多かったのである。
大変な歓迎を受け二人は韓国の地に降り立った。
「シン君、やっと帰って来れたね」
「あぁ、大丈夫か?辛くないか?」
チェギョンはもう六ヶ月の終わりで、おなかのふくらみも随分と目立ってきていた。
宮でも、皆が歓迎をし、太皇太后などは、涙を流してチェギョンを抱きしめ、しばらく傍を離れようとしなかったほどだ。
「お祖母さま、また明日もご挨拶に来ますから、、、、」
シンに言われてやっと、チェギョンの手を離した太皇太后。
東宮殿には、毎日のように誰かが訪ねてきて、産み月までチェギョンは退屈をすることがなかった。
そうして、生まれた皇孫は、待望の男児で、皇帝や皇后の喜びも半端ないものだった。
二人にとって、ようやく訪れた幸せ、それは、皇孫の誕生によってもっと大きなものになっていく。
すれ違い離れかけ、それでも惹かれあった二人は、ようやく幸せへの道を歩み始めたのだった。
そして、シンの賢帝への道も、チェギョンの助力を得て開かれていったのである。
END
皆様、おはようございます。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
書き換えというか、書き足しというか、、、、、、いかがだったでしょうか?
どうも、めちゃくちゃ苦しいのは苦手なもので、、、、、、、
ところで、、、、、またしばらくはお休みになります。
私事ですが、50肩になってしまいまして、(実は3回目)それも、以前より酷いやつ、、、、、今回も左肩のみですが、かなり日常生活に支障を来しております。
痛い、、、、、だるい、、、、、、、辛い、、、、、、泣き言を行っても仕方が無いですが、鍼治療で前回治ったので、期待したのですが、今回はあまり効果なし、、それで、鍼治療に加え運動療法も、痛み止め(錠剤・湿布)にも、かなりお世話になっております。
しかし、仕事も少しずつ行かなければならない、、、、、、、、
とにかく、早く治して、また更新できるように頑張りますので、しばらくお待ちくださいね。
皆様も、寒くなってきましたので、体調崩されませんように、、、、、、、
2018/11/20 avchan3