安井はこまかいタッチで、SBに迫る。
SBは半身で安井の足に集中する。
右足で触ってる。こいつ、左SBのやつだったよな・・・
間合いを詰めた安井の左足が、ボールをまたぐ。
中だろ!?
またいだ瞬間、安井の右足がボールを右方向へ押し出す。
そしてそれを読んでいたSBも同じ方向へ動く。
直後、ボールを押し出した安井の右足が、さらにボールの進行方向を鋭角に変えた。
アウトサイド、インサイド。
ダブルタッチでボールが縦に走る。
安井は名古屋SBを完全に振り切り、名古屋ゴールに迫った。
角度がない位置で、奈良沢と1対1。
迫る安井との距離を詰めながら、奈良沢は安井の足を見ていた。
安井の右足が強く地面を踏む。
まだ・・
左足が大きくテイクバックする。
まだ・・・
振り下ろされた左足がボールを叩いた瞬間、奈良沢は体を倒しながら、前方へ飛んだ。
奈良沢の膝がボールをはじき、PA外でダニーがボールを抑えた。
マジかよ・・・
安井は悔しいというより、愕然とした。
今のセーブが、たまたまのビッグセーブではないことは、安井がよくわかったからだ。
例えフリーの1対1でも、あの角度ではこのキーパーは破れない。
「DAN!!」
その直後、センターサークル手前でイヴァンの声。
それを合図に、名古屋の選手は一斉にサイドを駆け上がった。