肺がん治療中の父が昨日午後緊急入院しました。

もうかなりステージが進んでいて根治治療は諦めなくてはいけない状況だったのですが父と同居している1番下の妹の介護のお陰で在宅、通院しながら昨日のお昼前まで座ってテレビを見て笑っていたのにお昼過ぎに急に『苦しい』と言い出して1番下の妹の付添でタクシーで千葉県がんセンターへ。

そのまま入院となりましたが『今日、明日どうこうって事はないと思います』と主治医から説明を受けて妹は一旦帰宅。

でも今朝5:00前に、『呼吸の乱れが激しくなり危険な状態、会いたい人は会っておいた方が良い』と病院から電話があり慌てて兄弟で駆けつけました。

本人の希望もあり機材、薬剤を使用しての延命治療は行わない方針ですがせめて楽に終末期を過ごして欲しいと18日に緩和ケアの専門医と面会、説明を聞き、緩和ケア病棟への入院を話し合おうとしていた所で、その前日にはビュッフェを予約していたほど食欲もあり見た目は元気でした。

父が最初に肺がんの診断を受けたのは今から21年前の54歳の時。

幸い早期発見で片方の肺を3/4ほど切除する手術と術後治療で一旦は寛解しました。

その後何事もなく還暦を迎え70歳を目前とした69歳の時に母が癌で60歳で他界。

その直後に父の肺がんが再発します。

片方の肺を取ってしまっていることもあり、手術による切除は不可能、抗がん剤か、放射線か、重粒子線かと選択肢があり最も副作用が少なく体への負担も少ないと言われている重粒子線治療を選択し、腫瘍は徐々に小さくなり完全に消えました。

そして72歳、また再発。

そこでも重粒子線治療で腫瘍は無事小さくなりましたが昨年の予後検診で更に再発。

今回も重粒子線で…と望んでいたのですがもう肺が重粒子線治療に耐えられる状態ではないと技師の先生、長年見ていただいていた主治医のお見立てがありました。
セカンド、サードで相談した先生も見解は全く同じ。

選択肢としては分子標的療法くらいしかないが年齢や肺がん既往歴、体力的に見ても成果よりも副作用の方が多くなると思われるとの事で断念。

肺から足や肋骨、リンパ節転移を通した遠隔播種もあり、僕ら子供たち一同、腹を括ってはいたつもりでした。

しかし、昨日の急変、今日会うまでの悪化の速度…

先生は『1人で逝かせず見守るつもりであれば今夜から付き添った方が良いでしょう。この状態だと今夜亡くなる方、3〜4日、頑張って一週間持つ方もいらっしゃいますがいずれにせよ長い時間は残されてません。』とお話ししてくださいました。

兄弟集合後はモルヒネの効きもあり、ひどい苦しさからは解放された様ですが、酸素マスクをつけても尚肩で呼吸している苦しそうな姿を見るともっとああしておけば良かった、こうしておけば良かったって、絵に描いたような後悔が襲ってきます。

タイミング悪く昨年始はコロナ、昨年末から今年始はインフルエンザの後遺症で持病の喘息が悪化し思うように実家に帰れなかった事、以前お土産で持って行き『美味い!これは焼き立てを食べなくちゃ!』と喜んでくれたふみ屋の鰻を食べにいくと約束したのに叶わない事。

仕事で疲れているだろうに毎週末、釣りに連れて行ってくれた優しい父…空手、柔道を嗜んでいて説教にはゲンコツではなく回し蹴り、投げ技、関節技で語る厳しい父…誕生日にお酒を贈ると『勿体無くて呑めないな』なんていいながら一週間も経たずに飲み干すお茶目な父…子猫物語やおしんを見ながらしくしく涙する可愛げのある父…そんな涙脆いはずなのに母の葬儀では気丈に涙を見せなかった強い父…

そんな事を思い返しながら父の顔を見ていたらパチっと突然眼を開けて手を差し出して来たので握ると75歳とは思えない、ましてや末期がん患者とは思えない凄い力で握り返して来ます。

何かボソボソと言ってるので耳を近付けると『痛い、苦しいはないんですがね、どうなっちゃうんだろうと言う恐怖感…先生がこうして手を握ってくれるだけで安心できるんです。素晴らしい事です。』と言ってまた寝てしまいました。

見た所凄く苦しそうだったので心配していたのですが痛かったり苦しかったりしないのなら良かった!でも僕、先生になっちゃいました😅

まあ、出来の悪い息子よりも先生がそばにいた方が心強いでしょうから今晩は敦也先生でいようと思います。

一緒にいられる時間があとどのくらい残っているのか、本当に僅かな時間しか残されていないとは思いますが少しだけ良い時間を過ごさせて貰っているのかも知れない、そう思えました。

仕事関係、釣り、その他プライベートでも色々なお約束を守れず申し訳ありません。

また、特殊な病棟におります関係上家族でも入室できる人数が2名と言う制限もある事、また、できる限り親子での時間を大切にしたい事からお見舞、家族や病院への問い合わせは大変恐縮ですがお断りさせて頂き、近親者には追ってご連絡となります事をどうかご容赦頂きます様、よろしくお願い致します。

わがままを申してすみません。