こんにちは、弁護士の高島惇です。


先日相談者様より、過去に取り扱った児童相談所対応の件数はどれくらいかとの質問を受けました。
当職としてあまり意識してこなかったためその後確認してみたところ、ここ数年は毎年30〜40件程度受任しており、児童相談所案件を取り扱い始めて10年以上経過しているため、おおまかに計算しても今までに数百件は受任しているものと思料いたします。
そして、相談を受けた件数となるとこの何倍にもなるため(依頼されるかどうかはともかく、ほぼ毎日何らかの相談を受けているのが実情です)、記録上明らかではないものの少なく見積もってもトータルで1000件は超えているかもしれません。

さて、この取扱件数についてどう考えるかですが、取扱件数の多さは良くも悪くも経験値につながりますし、早期の段階で解決までの見立てをイメージして迅速かつ適切に動けるようになったのは間違いありません。
また、比較的シンプルなケースを大量迅速に処理できるようになる結果、他の弁護士ではなかなか対応しにくい難解なケースでも的確に解決する能力が、自ずと培われてきたのかなという見解です(複数の弁護士から受任を断られたケースを早期解決に導いた経験が何度かあり、それは当職の自信にもつながっています)。

その一方で、より重要なのは、各ケースを通じた児童相談所との信頼関係の構築であると理解しています。
すなわち、特定の児童相談所に何件も係属するケースは珍しくないところ、過去のケースにおける信頼関係が別件でのケースワーク(とりわけ指導措置の段階)に好影響を及ぼしているのではないかという体感は、一定程度存在します。
この点、能力的に不十分である、又は価値観が偏っているのではと疑わせる担当者は残念ながら存在するところであって、その場合はどうしても法的措置を視野に入れる形で対立せざるを得ませんし、その後別件で同担当者に当たった際も慎重な対応を講じざるを得なくなります。
もちろん、児童相談所から見ても当職の活動に偏りを感じることは多分にあるでしょうし、立場的な問題もあるため全く中立に振る舞うのが難しいのは理解できるところですが、それでも行政のあり方として一個人の価値観を全面に押し出す姿勢は首肯できません。
児童相談所はもちろん、児童相談所対応を専門的に取り扱う弁護士も必然的に多数のケースを常時処理する立場だからこそ、児童福祉法の理念に基づき誠実に協力しつつ各業務へ取り組むのが、何より重要なのです。

結局、一つ一つのケースを丁寧に取り扱い、児童の福祉実現のために活動するのが保護者側弁護士のあるべき姿勢であって、この繰り返しが結果的に件数として積み上がったに過ぎないものと思料いたします。
相談者様におかれましては、過去の件数も一定程度考慮する余地はあるものの、あまり重視することなくまずはご自身のケースをありのままにご説明いただき、それに対する弁護士の回答を踏まえて依頼されるかどうか検討すべきかと存じます。