児童福祉法28条4項に基づく指導措置勧 告
こんにちは、弁護士の高島惇です。児童福祉法28条に基づく入所措置などの承認審判において、裁判所は、児童相談所に対して、期限を定めて、児童相談所の申立てにかかる保護者に対する指導措置に関し報告及び意見を求めることができます(児童福祉法28条4項)。当該制度は、保護者指導の動機づけや実効性を高めるためには児童相談所が保護者に対して行う指導措置に裁判所が関与することが望ましいとの考えから、平成16年の児童福祉法改正によって新設されており、審理中での勧告、及びそれにともなう報告内容を申立て判断における資料として考慮できることに、大きな特色があります。しかし、最近当職が担当しているケースにおいて、裁判所より法28条4項に基づく指導措置勧告が出されたにもかかわらず、かかる勧告に基づく指導措置及び報告を拒絶し、速やかに審判を出してほしい旨児童相談所が強く主張してくることが、相次いで生じました。確かに、以前からこのような対応をしてくる児童相談所は稀にありましたが(もっとも、審理中の勧告を行うケース自体が統計的には少ないため、飽くまで当職個人の経験値ではあります)、ケース記録や外傷に関するカルテなど資料の提出を拒否するといった、円滑な審判進行を妨げるかのごとき児童相談所の動きが目立ち始めており、かかる動きの一環かなと危惧しています。この点、勧告には強制力がないとはいえ、児童相談所による指導に対し保護者が誠実に応じているかどうかは、在宅指導を検討する上で非常に有益な情報なのであって、実際に裁判所としても当事者間のやりとりを把握したいとの考えから勧告を講じている以上、拒絶するのは行政として不誠実な印象を受けます。そして、かつて国家賠償請求において担当者の証人尋問を行った際、「審理中に指導措置勧告がなされる場合は申立て却下の判断に至ることが多いので、できれば(児童相談)所として応じたくない」旨証言してきたことがありました。仮に、申立てに不利に働くとの考えから意図的に勧告への対応を拒絶しているのであれば、それは児童福祉法に基づく適切な審理を妨げるだけでなく、あたかも自己の申立てが正しいと信じて裁判所による真相解明を拒絶するものであって、児童相談所の傲慢な考えと評価されてもやむを得ないのです。施設入所に関する承認は、2年間もの親子分離という非常に強い人権侵害の効果が生じており、その判断は非常に慎重になされなければなりません。そして、仮に在宅指導でも家族の再統合を実現できるのであれば、その実現可能性を吟味する上で法28条4項の勧告は非常に有益な制度である以上、児童相談所として勧告に強制力がないとの理由でいたずらに拒否するのではなく(この点、本来中立公正であるべき行政の立場であるにもかかわらず、当事者性をむき出しにして主張立証してくる児童相談所が最近増えており、その強大な権限を濫用するかのごとき姿勢はただ残念です)、ケースワークの変更も視野に入れる形で柔軟に対応するのが望ましいと理解します。